2018年2月17日 (土)

★しなの鉄道坂城駅★石油元売J社の新型スイッチャーDB25-1/DB25-2

 しなの鉄道坂城駅には、石油元売会社J社の油槽所があります。油槽所とは、原油の精製によって得られたガソリン・灯油・軽油・重油などの石油製品を中間貯蔵するための拠点です。日本は原油の全量を輸入に依存していますので、石油精製を担う製油所は、もっぱら海外からのタンカーによる原油受入に便利な沿岸部に設けられています。いっぽう油槽所は主に内陸部に配置され(製油所の存在しない沿岸都市にもありますが)、製油所から石油製品がパイプラインやトラック、鉄道貨車などによってもたらされます。坂城駅では、JRの貨車で運んできた石油類をオンレールで荷卸しできるよう、駅から油槽所へ専用側線が引き込まれています。

2017年3月ダイヤでは、坂城駅のJ社北信油槽所に到着する貨車輸送分の全量が、神奈川県にある根岸駅最寄の同社の根岸製油所から発送されています。列車は定期貨物列車2往復(84/85列車・5774/5775列車)と、臨時貨物列車1往復(8776/8777列車)が設定されています。(入換時刻は後述)

 北信油槽所の専用側線には、2017年9月現在、貨車入換用に2両のスイッチャーが配置されています。これらは法令上の鉄道車両ではありませんが、それぞれDB25-1・DB25-2という記号番号が付与されています。通常は、稼働する方のスイッチャーが上田駅寄りの庫の中に、稼働しない方が屋外の西端の側線の篠ノ井駅寄り(桜の木のあたり)に留置されています。ただし冬期以外は両方とも屋外留置の場合もあります。

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スイッチャーが毎朝庫を出るのは、7:40頃です。

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列車が到着すると、牽引してきたJRの機関車が側線に逃げて、スイッチャーがやってきて貨車に連結し上田寄りに引き上げた後、J社専用側線へ押し込みます。

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貨車が9両以下の場合はこの作業は1回ですが、10両以上の場合は上写真のように編成を切り離して入換を2回に分けて行います。これは、現在常時使用されている積荷の抜き取り口が側線1本あたり9か所(9両分)しかないためです。

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発送前の入換はこの逆手順です。原則として、到着したすべての貨車が次の発送で返却され、南松本駅のように油槽所専用側線内に留まる貨車はありません。

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●入換時刻

■1回目   7:44頃~ 8:15頃 84レ到着後入換

■2回目  10:20頃~10:40頃 85レ発送前入換

■3回目  11:32頃~11:52頃 5774レ到着後入換

■4回目  13:40頃~14:00頃 5775レ発送前入換

■5回目  14:39頃~15:00頃 8776レ到着後入換(冬期のみの臨時)

■6回目  16:45頃~17:05頃 8777レ発送前入換(冬期のみの臨時)

◆留意事項◆

 発送前の入換時刻は、荷役の進捗次第で変動し一定しません。このため上記時刻より20分近く早く始まることもあります。ふつうに考えれば、荷卸しは貨車を9両以下の単位で連結した状態のままで実施できるので貨車の数が増えても荷卸しにかかる時間は変わらないように思えます。しかし実際には、荷卸し前に貨車毎に積まれた品種などを確認する作業を1両ずつ実施し、終わった車両から順次荷卸しを開始する関係で、荷卸し終了までの作業時間は貨車の両数に依存します。また冬期は気温低下により石油製品の温度が融点に近づいて粘度が大きくなるためか、荷卸しにかかる時間も若干長くなります。上記の発送前入換の時刻は貨車の両数が14~18両程度になる冬期基準で記載しておりますので、その他の季節では早まる可能性を考慮した方が良いでしょう。

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入換は原則平日のみで、土日に動きはありません。ただし11月下旬から3月上旬までは土曜日も動くことが多いです。年末は発送元の根岸のJXTG専用側線が12月31日まで動く場合は坂城も31日まで動くことが多いです。年明けはその年の土日の配置にもよりますが遅くとも1月4日には開始することが多いです。お盆はこれも土日の配置次第ですが13~16日はめったに動きません。

また臨時貨物列車は12月~2月が運行のピークで、定期貨物列車と同様に土曜日も運行されます。暖冬の時は2月下旬頃からタンク車の両数が減り始めて、3月上旬頃には臨時貨物列車は運行されなくなります。

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上のように桜の木の近くに留置されているスイッチャーは、その日使用されない方です。

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DB25-2の導入により、当地で2016年に使用されていたJR貨物所有の入換動車303号はお役御免となり、伯耆大山へと移動しています。2017年現在、303号は製紙会社の専用側線の入換ではなく、米子貨物ターミナルから機能移転してきた一般貨物駅の入換に使用されています。

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南東側の陸橋の下から上田寄りに出ると、専用側線を遠望できます。スイッチャーによって上田寄りの引上線に入る貨車の長さは季節によって変わるため(1~9両)、牽引している貨車の両数を見ておかないとスタンバイした場所までやってこないこともあり注意が必要です。

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石油製品発送元の根岸製油所は、JXTG社にとっては中長期的には廃止対象とされており、東日本大震災で内陸部への鉄道による石油輸送の重要性が再認識された後にも明確にこの計画を取りやめる発表はなされていません。油槽所は存続しても鉄道輸送が廃止されるというシナリオも無いわけではありませんので、今後の動向にも注目していきたいですね。

●25t液体式ディーゼル機関車 DB25-1、DB25-2

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DB25-1は2016年10月に、DB25-2は2017年4月に北陸重機工業で製作された産業用液体式ディーゼル機関車です。DB25-1は泡緑色、DB25-2は水色に塗装されており識別が可能ですが、将来的に色が変わった場合見分けが困難なほど瓜二つです。弊ブログをご覧の方はお気づきかと思いますが、この2両のスイッチャーは下関駅で入換に使用されているJR貨物DB500形ディーゼル機関車と同型です。ステップや手すりの形状・色など細部は異なりますが、車体形状や扉・窓の大きさと配置など基本形態は同じです。DB500形は、エンジンからの排気を安全に屋外に排出するために火粉除去装置を内蔵している防爆仕様の機関車ですので、ここJ社北信油槽所での使用にも全く問題はありません。

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機関車の銘板を確認すると、以下の通りでした。

  • 名 称 : 25TON液体式ディーゼル機関車
  • 型 式 : HDCB-25LP
  • 自 重 : 26.9t
  • 製造者 : 北陸重機工業
  • 製造年 : 2016年10月(DB25-1)/2017年4月(DB25-2)
  • 製造番号: 3537-L01(DB25-1)/3594-L01(DB25-2)

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DB500形との分かり易い相違点は、端梁にステップが無いことです。DB500の配置された下関駅も、この坂城駅も、入換時の誘導者と運転士の交信は無線によりますが、下関は、従来DE10形での牽引入換時に誘導者がDE10の先頭車端部に乗っていたので、DB500形に置き換えられた後も従前の方法を踏襲できるよう端梁にステップを設けたものと思われます。いっぽう坂城では、誘導者はスイッチャーには乗らず地上から指示しますので、ステップも不要というわけです。

●2両の役割

 DB25-2の導入前は、スイッチャーに正副の役割分担があり、メインで使用される方とめったに動かない予備の関係がありました。しかし現在の新しいスイッチャーになって以降はローテーション制に変わっていて、2017年11月現在では、月の前半と後半で交替して交互使用になっています(入換作業終了後に確認済)。交替時は入換中に一時的に2両連結して重連風になることもあります(もちろん休日の日数は月毎に異なりますので、毎月15日と31日に必ず交替するかというと、そういうわけでもないようですが)。参考までにですが、2017年11月現在、月の前半がDB25-1、後半がDB25-2でした。

●今後の同型機の増備について

 JR貨物では、比較的規模の大きい貨物駅の入換はHD300形ハイブリッド機関車に担わせ、非電化区間の本線及び入換兼務運用はDD200形ディーゼル機関車に、小規模駅は架線を延ばして本線用EL入換にするか、廃止してORS(オフレールステーション)化するのが基本方針です。したがって、DB500形は今後それほど多くは増備されず、本記事で紹介している専用側線向けの同型機の方が漸増していくというシナリオが現実的ですね。参考までに、2017年現在、JR貨物所有の入換動車が配置されている貨物駅を以下に記します(私有機は除く)。

  • 竜王駅
  • 伯耆大山駅
  • 下関駅
  • 西大分駅
  • 延岡駅

DB500形の導入された下関駅以外は、どの駅も架線が荷役線のすぐ傍まで迫っており、線路配線の一部変更や舗装、架線の延長など小規模の改良によりEL入換化もそれほど難しくはなさそうです。現状では、竜王・伯耆大山・西大分・延岡のいずれも、荷役作業の都合で貨車の移動をEL不在中に実施しなければならないため、まだ動車による入換が残っているに過ぎません。特に竜王と伯耆大山は荷役線の入口まで架線が達していますし、竜王に関しては列車到着後の入換は既にELで実施しています。貨物駅が残っても入換動車の廃止は今後もあり得るでしょう。

●坂城駅前の169系静態保存車

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 坂城駅には、しなの鉄道で活躍していた169系電車3両編成が静態保存されています。手前に車止めで終端している側線がありますが、この線路が車両搬入に使用されました。ただし車両入換は終電後の深夜帯にしなの鉄道が保有する軌道モータカーによって行われており、スイッチャーは使用されていません。

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国鉄急行形電車は、直流用・交直両用など系列によらず、新製時の形態の違いから以下のグループに大別することができます。

  • 非冷房車
  • 試作冷房車
  • 冷房準備工事車
  • 新製冷房車

国鉄電車マニアであれば、屋上機器の配置で、上記のどれなのかを瞬時に識別することができるはずです。たとえば上のクハ169形を見てみましょう。169系量産車は、昭和44年製造の最終増備車のみが新製冷房車、その他が冷房準備工事車の冷房改造車です。この2者の簡単な見分け方は、デッキ(客用乗降扉の部分)の屋根上のベンチレーター有無で、無しが前者、有りが後者です。上写真を見るとベンチレーターはありませんので、クハ169-25~27と絞り込むことができます。実際に保存されているのはクハ169-27ですね。車番を見ればわかるという方もいらっしゃると思いますが、鉄道の保存車両の車番やナンバープレートというのは別物に差し替えられていることがたまにあるので、形から入るというのは非常に大切なのです。ちなみに、クモハ169形の運転台寄りデッキ上の箱型ベンチレーターは、2個あるうちの片方が主電動機冷却風取入口である(室内換気用ではない)ため、新製冷房車でも装備しています。

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2018年2月12日 (月)

■東邦号■2018年1月定期修理終了後の列車

 2018年2月の3連休は、土日祝日にもかかわらず安中行き貨物列車の長編成が見られました。通常日曜日は、編成後部の無蓋車(トキ25000形)は連結されないことが多いのですが、今回は3日間とも5~6両連結されていました。

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 非鉄金属メーカーT社小名浜精錬所では、2018年1月10日から31日まで定期修理が予定されていました。修理期間中は小名浜精錬所での亜鉛焼鉱の生産が停止するため、亜鉛焼鉱輸送用のタンク車(タキ1200形)が編成から外れ、無蓋車のみの編成になっていました。

修理日程は通常、作業遅延の可能性も織り込み済みで予備日を含めて計画されますので、実際に最終日ギリギリまで生産が止まっていることはあまりなく、通常は定期修理終了日のおよそ1週間前には開始します(→過去記事を参照のこと)。今回も、定期修理終了日は31日の予定でしたが、その6日前の1月25日には亜鉛焼鉱輸送用タンク車の連結を再開していますので、予定通りと言えるでしょう。(実際の修理期間は1月10日~29日でした)  今後3月末までは小名浜・安中両精錬所とも修理予定は入っていませんので、しばらくは安定した輸送が見られそうです。

なお修理日程は公開されている情報ですので、内部情報でもなんでもありません(笑) あしからず。

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2018年2月 6日 (火)

◆JR西日本◆113系+クモヤ配給

 2018年1月4日、DD200の甲種輸送列車を待っていたら、電車の配給列車に遭遇しました。

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京都総合運転所(元 向日町運転所)の113系7700番台4両編成と、その最後尾にクモヤ145-1201が連結されていました。113系は、湖西線向けに新製投入されたシートピッチ改善車の耐寒耐雪構造版である2700番台です。JRになってからブレーキ改造により最高速度110km/h化され、車番に5000を足した番号に改番されています。

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クモヤ145は、101系電車の台車と主電動機を流用して車体および主制御器・主抵抗器を新製した事業用車です。この200番台は、交流電化区間内で交直両用電車の先頭に連結して制御車として利用できるよう、パンタグラフ非搭載側(1-2位側)の運転台屋根上に交流検電アンテナを装備しているのが特徴で、たった1両のみのレアな存在です。JRになってから、主電動機のMT46A→MT54化により車番に1000を足した番号に改番されています。


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JR東日本では、電車の配給は機関車や貨車の配給と同様に電気機関車やディーゼル機関車で牽引する方式が主流となっており、クモヤによる配給はなかなか見られなくなっています。久々に良いものが見られました。

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2018年1月30日 (火)

■台湾鉄路管理局■タロコ号ハローキティ塗装

 2016年のゴールデンウィーク、台湾東部の専用線巡りにご同行いただいたブログ読者のタムタキさんと蘇澳新(Su'aoxin)駅で別れた後、東澳(Dong'ao)駅の幸福セメント専用線のスイッチャーの入換を撮影していると、珍しい塗装のタロコ号がやってきました。

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日立製作所製の885系ライクな振り子式車両に、可愛らしいラッピング。

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EVA航空の広告塗装みたいですが、

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車両毎にデザインが異なっておりかなりの懲りよう。

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日本でもJR九州あたりにやってほしいところです。

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妻面は元塗装のままのようですね。

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内装はどんなふうになっているのがとても興味がわきますね。

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タロコ号は通常は通過するはずのここ東澳駅に停車しました。時刻表と照らし合わせてみると、東澳14:20着発の北廻線順行は莒光号ですので、莒光号の編成差し替えのようですね。

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良いものが見られました。

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2018年1月28日 (日)

★135万アクセス突破★都営馬込車両基地5500形公開

135万アクセス突破記念は、昨年12月9日土曜日に東京都交通局馬込車両基地で開催された都営フェスタ2017から。

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都営浅草線・大江戸線の車両の全般検査を実施している馬込車両基地の公開イベントは、毎年11月下旬~12月に隔年で開催されています(三田線の志村車両基地と交互開催)。これまで何度か参加していますが、今回は東京都交通局のホームページで展示車両の一部が事前告知され、大江戸線用12-000系が展示されることが分かりました。大江戸線用車両はパンタグラフが架線に届かず自力走行不可能なため、イベント終了後にバッテリー機関車で入換することが確定します。というわけで、この情報を奥野君の専用線日記で有名な奥野さんにお伝えし、ご案内することになったわけです。

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今回の目玉は、2018年春にデビュー予定の浅草線用新型車両5500形の第一編成が展示されたことでしょうか。アルミ車体の5300形は日立製が多いのですが、5500形は総合車両製作所のSustinaS13シリーズのためステンレス車体で、今後の増備車のメーカーの構成にも5300形とは異なる点も出てくるのではと想像しています。先頭車の運転台側は、電気連結器付の密着連結器を装備していますが、どういった意図があるのでしょうか。

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2018年1月25日 (木)

【くろがね線を読み解く】第264回 ■JR九州ロングレール用チキ車検査回送

 2017年5月1日は、朝からY製鉄所の150mレール積込前後の入換シーンを見るため、八幡地区を訪れていた。観察していると、午前8時頃にディーゼル機関車D442が単機で出庫して西八幡付近の製品倉庫東ヤードへ向かい、空車の150mレール輸送用チキ車9両編成を牽引して、前田地区にあるレール積込設備へ入線していくのが見えた。24時間スーパーの屋上駐車場に赴き荷役の進捗を眺めていたが、しばらく始まらないので、どうやら積込は午後開始のようである。時間に余裕があるので、午前中別のターゲットを狙えないか思案していたところ、Twitterに以下の情報が投稿された。

  • 遠賀川留置のJR九州のロングレール輸送用チキ車が、検査のため作業委託先のJR貨物小倉車両所へ送り込まれる

検査回送はまだ見たことがないため、すぐに遠賀川へ急行することにした。

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遠賀川駅構内には、かつて遠賀川レールセンター(九鉄工業レール技術センター)が設けられていて、25m定尺レール、50m長尺レールを溶接してロングレールに加工し、ロングレール輸送用チキ車に積み込む作業が行われていた。しかし2016年4月以降Y製鉄所からJR九州向けに150mレールの発送が開始されると、ロングレール加工目的のレール溶接の必要が無くなり、2016年9月末までに門型クレーンはすべて撤去された。弊ブログでは、まだクレーンがあった頃の過去のシーンも紹介しているので適宜参照願いたい(こちらこちらなど)。

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こちらは、かつてY製鉄所からチキ車で運び込まれた25m定尺レール、50m長尺レールを荷卸しするための門型クレーンがあった場所で、跡地には訓練用の模擬トンネルと模擬ホームが設置されていた。

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かつてレール溶接に使用されていた建屋は内部が改装され、遠賀川施設実習センターとなっていた。先程の模擬体も訓練実習用なのだろう。駅ホーム側に入口が新設された。

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博多方向を見てみると、Twitterの目撃情報の通り単機回送されてきたDE10形1206号機と、その奥には黄色いスイッチャーに連結されたチキ車の姿が見えた。線路脇に九鉄工業の方がいらしたので、入換作業実施の匂いがする。暫く待機した。

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10分ほど待つと、DE10が門司港寄りに移動し、その後を追うようにスイッチャーがチキ車を推進して着発線へ押し込んできた。遠賀川レールセンターは廃止されたものの、2017年現在ではまだJR九州のロングレール用チキ車の留置場所が遠賀川であるため、検査などで貨車の増解結が必要な場合は、スイッチャーによる入換が発生するようだ。

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黄色いスイッチャーは以前から使用されているものと同一だが、車体外板が剥がれて痛々しい。

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スイッチャーはそのまま奥で待つDE10のところまで移動していき、

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チキ車をDE10に連結した。よく見ると、チキ車の台枠上には積付具が一切乗っていない。

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取り外した積付具は線路脇に並べられていた。

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役目を終えたスイッチャーは、元いた場所へと戻る。

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専用側線や貨物駅のスイッチャーは、端梁がゼブラ模様に塗装されていることが多いが、本機はレールセンターの入換用のため、端梁は黒一色である。元々赤色だったキャブ側面のJRマークが、色褪せて灰色になってしまった。

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なお、JR九州遠賀川レールセンターは廃止されたが、九鉄工業レール技術センターは組織上まだ存続していて、2017年現在の所在地は鳥栖駅北側のJR九州博多保線区鳥栖保線管理室と同一になっている。九鉄工業のホームページを確認したところ、2016年にレール技術センターを移転したとあるので、かつてレールセンターのあった鳥栖に再び移転したことになる(鳥栖レールセンターのあった場所とは異なるが)。Y製鐵所から150mレールが提供されるようになり、溶接によるロングレール製造が無くなっても、25m定尺レールの現場敷設時や50m長尺レールの保線区での工務による溶接作業は残るので、溶接技術の維持および継承が必要なことは変わらない。組織上残っているのはそのためと思われる。

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遠賀川から北九州タまでは、当日中に走行。列車番号はよく分からないが、八幡駅付近を12:24頃に通過した。編成は門司港寄りから順に以下の通りであった。

  • DE10 1206
  • チキ5719
  • チキ5535
  • チキ5809
  • チキ5718

積付具の無い、いかにも検査目的という風情のチキ送り込み列車。

Longchiki_kokura22

北九州タから西小倉までは、翌5月2日に試2593列車というJR貨物の貨物列車として運転された。貨物時刻表では西小倉9:46着となっているが、JR九州小倉総合車両センター前には10時頃到着した。編成は小倉総車セ寄りから以下の通りであった。

  • DE10 1559
  • コキ200-53
  • チキ5718
  • チキ5809
  • チキ5535
  • チキ5719

検査対象のコキ200が連結されていた。

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小倉総車セに入ると、右手に小倉総車セの入換用機関車DE10 1637(車籍は既にない)が現れ、

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奥に進んでいく検査貨車の編成とすれ違い。

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DE10 1637が手前でスイッチバックしてチキ車の後ろに連結すると、チキ車を牽引してきたDE10 1559がその横を通り過ぎて西小倉方向へ戻っていった。


Longchiki_kokura26

JR九州のチキ車は、小倉総車セ内の西側にあるJR貨物小倉車両所で検査しているため、右手に押し込まれていった。今回の追っかけにより、遠賀川レールセンターは廃止になったもののレアケースではあるがスイッチャーによる入換がまだ実施されることが分かった。

【注意】
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2018年1月21日 (日)

【くろがね線を読み解く】第263回 ■小倉地区D107の送り込み回送

 2017年某月某日、小倉駅前と訪れると、興味深いものが見つかった。

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小倉地区で機関車整備を行っている工場の手前の留置線が見え、3両の機関車が留置されていた。すべて、車体の上から順にオレンジ、クリーム、青、黄色の4色で構成されたY製鐵所標準塗装に変更されている。左から順に、D108、D107、右端はナンバーが見えないがおそらく45t機のD503と思われる。

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Y製鐵所小倉地区のD107は以前正面からの写真を紹介しているが、今回は側面から見ることができた。色が変更された以外は、特に変わったところは見受けられない。

本機関車については、2017年12月に発売された岡本憲之編・著『ニチユ機関車図鑑』に写真と図面が掲載されている。大脇崇司氏の執筆担当範囲である内燃機関車編のP163によると、ニチユ(日本輸送機)からはD103~107、D201~203の計7両のほぼ同じスタイル・寸法の機関車が納入されたとのことである。2017年現在では、D103、106、107、201、202が現役稼働中で、D203が戸畑地区に転じている。D203は、私自身2014年の起業祭で工場見学バスの車窓から目撃しており、戸畑の機関車整備工場の西側の屋外に留置されていることを確認済みである。その時はクリーム色と紫色のツートンカラー(いわゆる住友金属物流標準塗装)であったが、2017年の起業祭の日は戸畑地区の製鋼工場付近に留置されており、車体色も上写真と同じY製鐵所標準塗装に変更されていた。以下に諸元を記す。

  • 名  称 : 25tディーゼル機関車
  • 形  式 : DL25-HC-1067
  • 自  重 : 25t
  • 全  長 : 7,000mm
  • 全  幅 : 2,580mm(手摺等突起物を含む、後付けの簡易運転台は含まず)
  • 全  高 : 3,370mm(標準装備の旋回灯を含む、後付けのアンテナは含まず)
  • 軌  間 : 1,067mm
  • 車輪経 : 860mm
  • エンジン: 新潟鐵工所DMH17C(竣工時。のちに新潟原動機DMF13Sに換装)
  • 液体変速機:新潟コンバーターDB115
  • 最終動力伝達方式:ロッド駆動
  • 制動装置: 単独空気ブレーキ、手ブレーキ

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別の日に見ると、機関車留置場所に姿が見えなかったが、しばらくすると右手奥からD307(汚れて茶色になった2軸ボギーの機関車)がD107とサイドポール付の長物車を牽引してきて、スイッチバックし、推進で岸壁の方へ向かっていくのが見えた。

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D307の運転士は、先頭の貨車の先頭に乗り、D307をリモコン制御している。D107には運転士は乗っていないため、重連ではなく無動力回送と思われる。

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岸壁から先は右手に進み、高炉や製鋼工場のある方へ向かっていった。前後の車輪を連結するロッドがかろうじて見える。いまどき2軸の機関車が溶銑輸送に使用されているとは思えないので、スラグ輸送に使用されていると思われる。回送の目的はよく分からない。

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D107は左に連結されているD307の推進で、右手に進んでいった。この日は雨が降ったり止んだりで機関車がクリアに見えなかったが、この場所を通過してくれれば2軸機なら車両全体が障害物無しで足元まで見える。今後、天気が良く光線の強い日に再訪したいところである。

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2018年1月20日 (土)

■さようならDE10■大牟田-仮屋川操入換

 鉄産労のホームページに掲載された、2018年1月17日付の業務速報によると、2018年3月17日のダイヤ改正までに、JR大牟田駅にHD300形ハイブリッド機関車が配置されるとのことです。来月上旬に製造元東芝府中事業所最寄りの北府中から岡山貨物ターミナル(2017年3月ダイヤ改正で西岡山から改称)までHD300形28号機の甲種輸送の予定がありますので、所属は岡山機関区ですね。使用駅は新南陽か大牟田、いずれかの駅に配置されると思われます。順番からすると、今月中旬に同じく岡山機関区へ甲種輸送された27号機が新南陽配置で28号機が大牟田配置でしょうか? JR貨物のDE10は、本線走行運用が残る仙台、東新潟、新鶴見、愛知などを除き、原則としてHD300への置き換えが進んでいます。本記事では、これまでに撮影した数少ない写真の中から、大牟田-仮屋川操間のDE10入換を振り返ります。

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■仮屋川操から貨車を牽いて到着したDE10 1748   2017年9月3日、大牟田

まず直近の写真から。こちらは昨年9月に仮屋川操-宮浦間を連絡する三井化学専用鉄道における架線電源断のため、2軸の22t機関車重連が使用されていた時に撮影したDE10 1748です(再掲)。一番ノーマルなJR貨物大宮車両所による更新機です(窓回り黒に灰色屋根)。現在では本線(停車場外の閉塞区間)を走行不可能な入換動車になっており、キャブ側面に黄色の「入動」の表記があります。

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■仮屋川操へ向かうDE10 1560   2015年8月29日、大牟田-仮屋川操

3年前の夏に訪問した際の入換機は、1560号機でした。こちらは広島車両所による更新機で、前後妻面の白帯が中央で分離してヒゲのようになっているのが特徴です。

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■仮屋川から貨車を牽いて到着したDE10 1528    2012年1月28日、大牟田駅構内

ちょうど6年前の1月の入換担当は1528号機でした。こちらは白帯が太い入換動車色。この日は往復とも撮影しており、

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仮屋川操行の1エンド側も。この当時は、化成品を積んだコキ200形の脱線事故の影響で、自重が軽くなる空のコンテナはコキ104形・コキ106形に積み替える運用が行われていました。上の二写真を見ると、仮屋川操から大牟田に到着した液化塩素用タンクコンテナは中身が空なのでコキ106形1両に1個ずつ積まれていますが、反対に大牟田から仮屋川操へ向かう濃硝酸タンクコンテナは、三菱化学黒崎事業所で荷を積んでいるのでコキ200形1両に2個ずつ積まれているのが分かります。

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■仮屋川操から本線に進入したDE10 1583   2009年6月18日、仮屋川操-大牟田

こちらは9年前の初夏、1583号機です。サツマイモのような入換動車色が特徴でした。

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■仮屋川操で貨車授受のために並んだ、DE10 1208と三井化学No.18  2009年9月20日、仮屋川操

かつては仮屋川操の南側に踏切があり、入換作業の合間に遮断機が開くと、三井化学専用鉄道の電気機関車と並ぶシーンも見られました。こちらは国鉄色の1208号機です。九州配置のためナンバープレートは車体と同じ朱色なのが特徴です。

これ以前はフィルムの写真しかないため取り込めておらず本記事ではここまでとしますが、こうして数年間の記録を眺めてみるだけでも、実に様々な様態のDE10が大牟田-仮屋川操間の入換に使用されていたことが分かりますね。今年中には、再訪してHD300と三井化学専用鉄道の機関車の並びを撮りたいものです。

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2018年1月19日 (金)

【くろがね線を読み解く】第262回 ■誰そ彼時の一操入換

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■第一操車場に到着した黄昏時の列車    2017年5月2日 18:01、戸畑

黄昏時のくろがね線も、趣があり、悪くない。牽引機はもう一年以上E8502のまゝである。

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第一操車場で折り返しのため入換中のE8502。奥にはD705の姿も見える。E8501が復活する日は来るのだろうか。


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第一操車場を八幡方向へ出て右に曲がった先(道路の下)にある閉塞信号機は死角で見えないので、手前に中継信号機が設置されている。この信号機も日中明るいと点灯していても見えないことが多かったが、LED化されてからは近づけば確認できるようになった。JRと同じで、普段は横三つの「停止」を現示、出発前だけ縦三つの「進行」を現示する。斜め三つが「注意」に相当するが、そのパターンは見たことが無い(第一操車場を発車してから次の信号が注意というケースは、先行列車が内方にいたりしない限りまずないため)。

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2018年1月18日 (木)

★台湾製糖★橋頭糖廠の保存スイッチャー(日立編)

前回の続きです。2016年のゴールデンウィーク、台湾到着初日の午前中は高雄の保存車を見学し、美麗島の交差点近くにある中国料理屋で昼食後、午後はMRTに乗車して橋頭糖廠駅を目指しました。

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この日は日曜日で貨物列車の運行や専用線の入換は期待できませんので、保存車巡りに決めたわけです。

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駅前には、「戀戀五分車」というサトウキビ輸送用貨車を改造した車両が留置されていました。五分車の五分とは「五分五分」と同じ半分という意味で、何の半分かというと国際標準軌である1,435mmの半分、つまり軌間762mmのナローゲージのことですね。看板に「有機・樂活・美食・咖啡」とあるので喫茶店なのでしょうか。営業している雰囲気ではありませんが。

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5分ほど歩くと、台湾糖業博物館の正面入口に到着。これは台湾製糖有限公司の橋頭糖廠跡地にオープンした博物館で、廃業後の工場内を見学することができます。産業観光というやつです。

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入って左手に進むと、日本でも見慣れたデザインのスイッチャーが貨車を連結して佇んでいました。そう、台湾製糖には日立製作所が合計61両の産業用ディーゼル機関車を納入しており、そのうちの2両がこの博物館に静態保存されているのです。

●日立HR-16C液体式ディーゼル機関車

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まずはこちらの機関車。L型エンドキャブの3軸ロッド駆動で、カウンターウェイトが車輪の外側に付いています。連結器はピンリンク式です。軌間762mm用とはいえ車体がだいぶ大きく感じられます。日本国内にも、ナローゲージ時代の小坂鉄道や茨城県の日立鉱山専用鉄道、三重県の近鉄(現三岐鉄道)北勢線、岡山県の下津井電鉄、愛媛県の別子銅山専用鉄道など、軌間762mmながら車体の大きな鉄道がいくつかありましたが、それらを想起させます。ナンバープレートが残っていて849と読み取れました。

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後位側から。自重は16tですが、ナローゲージ鉄道としては比較的長距離を高速で運転するため、軸受は円錐コロ軸受を採用しています。運転台は横向きに配置されていますが、ハンドル・レバー類が左右両側に対称に配置されており、左右どちら側からでも運転できるようになっていました。

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公式側から。ラジエーターも自重16トンクラスの機関車としては大型です。

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渡辺台帳によると、日立から台湾製糖へ納入されたHR-16Cは、1967年に45両、1969年に9両が計上されています。1967年の45両は、製造番号だけでなくNo.801~845と車番まで記載されているのですが、1969年のものは車番未掲載となっています。そこで、物証を元に特定してみることにします。

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こちらがNo.849の銘板です。日立の海外向け産業用ディーゼル機関車の銘板は楕円形で、国内向けの長方形とは異なります。製造番号は「HITACHI」と製造年「1969」の間にある陰刻を読み取る必要があるのですが、この車両は保存状態が良く、13090とすんなり読めました。渡辺台帳によれば1969年に納入された9両は、製番13052~13054の3両と13090~13095の6両で、この車両No.849が13090ですから、後続がNo.850~854、前はNo.846~848と特定することができます。まとめると、HR-16Cのリストは以下の通りとなります。

ロット 製造年 製造両数 製造番号 車番
1967 40 12874~12913 801~840
1967 12928~12932 841~845
1969 13052~13054 846~848
1969 13090~13095 849~854

※ロット3については、実際に実車の銘板に刻印されているのは1968年との説がありますが、
 真偽のほどは定かではありません。物証が無いと俄かには信じがたいですね。

日立評論第50巻第3号82ページによると、HR-16Cの諸元は、以下の通りです。

  • 名  称 : 日立HR-16C形液体式ディーゼル機関車
  • 形  式 : 3軸ロッド駆動エンドキャブ形
  • 自  重 : 16t
  • 軌  間 : 762mm
  • 全  長 : 5,400mm
  • 全  幅 : 2,200mm
  • 全  高 : 3,300mm
  • 軸  距 : 2,100mm
  • 車輪経 :  770mm
  • 連結器高さ:485mm
  • 最大引張力:5,333kg
  • 最高速度: 33.5km/h
  • エンジン : DH-24L (220PS/1800rpm)
  • 液体変速機:CB115-1
  • 空気圧縮機:C-400
  • 制御装置: 機械、電磁空気式非重連
  • ブレーキ装置:空気式ブレーキおよび手ブレーキ
  • 連結器 : ピンリンク式

資料には記載されていませんが、エンジンDH-24Lはその型式から三菱製のエンジンと判断できます。車輪径こそ、軌間1,067mm向けのディーゼル機関車のそれ(860mmまたは910mm)より一回り小さいですが、動力系は自重25~30tクラスの機関車とほぼ同じ出力のエンジンにDF115系トルクコンバーターの組み合わせを採用し、最高速度30km/h以上を担保しています。

●日立HR-30C液体式ディーゼル機関車

次に、機関区のはずれにポツンと留置されていた軌間1,067mmの機関車も見学。

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台鉄と糖廠の貨車輸送に使用されていた、言わば台鉄に連絡する台湾製糖専用側線の機関車です。こちらも3軸ロッド駆動のL型機で、アウトサイドフレームです。やはり車体の大きさが目を惹きます。ラジエーターがさらに巨大化しているため、全長もより長く感じられますね。軸受も同じくコロ軸受です。

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ご覧の通り、連結器は台鉄で採用されている柴田式自動連結器で、貫通ブレーキ用のホースも装備しています。いよいよ専用線のスイッチャーらしい姿ですね。ちょっと残念なのは、周囲の植物が邪魔であまり綺麗な角度からは撮れないことでしょうか。

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こちらもNo.13のプレートが残されていました。渡辺台帳によると、日立から台湾糖業(旧台湾製糖)へ納入されたHR-30Cは、1969年に4両、1981年に3両が計上されています。

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こちらがNo.13の銘板です。この車両も製造番号13082と読めました。渡辺台帳によれば1969年に納入された4両は、製番13080~13083ですので、ロット1は特定できます。またロット2については、製造番号が製作指示番号+追番方式に改められた後の製造となるため、製作指示番号20751をベースにシーケンシャルナンバー2桁が後ろに付くことになります。まとめると、HR-30Cのリストは以下の通りとなります。

ロット 製造年 製造両数 製造番号 車番
1969 13080~13083 11~14
1981 2075101~2075103 15~17

※ロット2については、日本国内向けであれば屋根形状が丸屋根から台形屋根に
 設計変更された後の製造となりますが、現物の屋根形状がどうなっていたのか興味深いです。

日立評論VOL.52 NO.8 90ページによると、HR-30Cの諸元は、以下の通りです。

  • 名  称 : 日立HR-30C形液体式ディーゼル機関車
  • 形  式 : 後部運転室、ロッド駆動
  • 自  重 : 運転整備重量30t/空車28.5t
  • 軌  間 : 1,067mm
  • 全  長 : 7,500mm
  • 全  幅 : 2,600mm
  • 全  高 : 3,500mm
  • 軸  距 : 3,200mm
  • 車輪経 :  910mm
  • 最大引張力:9,000kg
  • 最高速度: 32.9km/h
  • エンジン : 三菱12DH20TL (515PS/1800rpm)
  • 液体変速機:NIIGATA-TWINDISC CBF138
  • 制御装置: 機械式(エンジン制御)、電磁空気式(逆転器・トルクコンバータ)
  • ブレーキ装置:27LA自動貫通ブレーキ、手ブレーキ
  • 連結器 : 柴田式自動連結器

車輪径は、日本国内向けの産業用ディーゼル機関車や国鉄・私鉄・臨海鉄道向け液体式ディーゼル機関車の標準である860mmより大きい910mmです。これは、旧型国電や0系新幹線と同じ値です。なぜ標準品を採用しなかったのか興味深いですね。エンジンはこれまた三菱製で、762mm向けのHR-16Cのものと部品レベルでの互換性があるとのこと。動力系に採用された、500PSクラスのエンジンとDB138系トルクコンバーターの組み合わせは、45~60トンクラスの大型産業用機関車と同じものです。この機関車は台鉄の駅と糖廠の間で貨車連絡に使用されていたものですので、牽引力重視の設計なのかもしれません。

ところで、液体変速機のメーカー名が新潟ではなく新潟-ツインディスクになっていますが、これは輸出品だからでしょうね。CBF138(DB138およびその後継品を含む)は、元々新潟鉄工所(→新潟コンバータ)が米国ツインディスク社からライセンス供与を受けて製造しているものです。日本国内ではNIIGATAで通りますが、第三国で販売する製品にはTWIN DISC社の名前を入れないといけないのでしょう。現在でも、日立ニコトランスミッション(旧新潟コンバータ)社製のDF115・DB138系の液体変速機の銘板には、「LICENSED BY TWIN DISC,INC.USA」の表記があります。

<つづく>

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