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2009年6月

2009年6月30日 (火)

【くろがね線を読み解く】第4回 ■45DD-12形 (D442)

45dd12_d442_oside

■チキ車を入換中の45DD-12形D442 (公式側)  2010年8月某日(火)、西八幡

 Y製鐵所の八幡地区に導入された構内用DHL(液体式ディーゼル機関車)。

  • 運転整備重量:45t
  • 車軸配置:B-B
  • 全長:13,300mm
  • 幅 : 2,700mm
  • 高さ: 3,750mm
  • 機関: DMF31SB (500ps)
  • 変速機:DBG138
  • 台車: 組立溶接台枠
  • 最高速度: 33.8km/h
  • 製造所:日立製作所

 さきに登場していた、同じ日立製作所製の45DD-9~11形と比較して、全長が伸び、運転室屋根形状jも丸形から台形のものに変更された。日立製作所でのメーカー型式はHG-45BB。1エンド側にエンジンを1機搭載し、2エンド側にラジエーターを配置するタイプで、日立のセンターキャブの1個エンジン機関車である。

前後妻面には遮熱板が貼り付けられ、高熱物を積載する貨車の牽引や高熱場所への接近にも耐えうる仕様となっている。その他、進行方向表示灯、旋回灯、警音器(ミュージックホーン)の搭載も他の構内用機関車と同様である。2・3位側には簡易運転台が設けられ、自動開放シリンダーの装備とあいまって入換運転のワンマン化が実現している。

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■D442の非公式側。機関車は簡易運転台に乗り込んだ運転士により遠隔操縦される。  2009年3月

 形式名「45DD-xx」の「45」は運転整備重量(t)を表し、「xx」は製造所が変わったりモデルチェンジが行われる度に進められていく番号のようである。中には、製造所・車体の形態・エンジン出力いずれもまったく同じであるにもかかわらず、エンジンや液体変速機のメーカーが異なるだけで番号を区別している例もあり、形式の付与にあたっては性能の相違に対する強いこだわりが感じられる。

 本機関車の現在の主な用途は、JR線を介して発送するレールの輸送である。Y製鐵所専用鉄道は、JR鹿児島本線黒崎駅構内の旧西八幡駅部分でJR線と接続しており、レールの発送がある際はこの機関車を目にする機会もあろう。なお岩国駅接続の製紙メーカーN社専用鉄道で使用されているスイッチャー「No3」は、元45DD-12形で、本機関車と同一ロットで製作された姉妹機である。

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【くろがね線を読み解く】第3回 ■70DD-3形 (D704)

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■70DD-3形 D704 製番3240 2009年9月

 70DD-3形は、昭和50年に日本車輌製造で製作された、Y製鐵所の二地区を結ぶくろがね線用のDHL(液体式ディーゼル機関車)である。当製鉄所に導入された日車製の低騒音形のDHLとしては3代目にあたる。

  • 運転整備重量:70t
  • 車軸配置:B-B
  • 全長:17,300mm(連結面間隔) [1]
  • 幅:2,780mm [2]
  • 高さ:4,000mm [3]
  • 機関:神鋼造機 DMF31SB(500ps)×2
  • 変速機:新潟コンバータ DBG138×2
  • 台車:日車NL30A [4]
  • 最高速度:35km/h

 昭和47年に登場した1代目の70DD-1形(D701,D702)は、混銑車や鋼塊台車を直送するため、くろがね線の列車が非電化区間に直通することを念頭に製作されたものである。走行区間沿線が宅地化されているため、車体内部に遮音財が貼付され、多翼形冷却ファンの採用などと相まって低騒音化が実現した。昭和49年に製作された2代目の70DD-2形(D703)では、冷却ファンが大型化され屋上・側面のラジエーター形状が変更された。また機器室屋根上の通風器が、ガーランドベンチレーターから国鉄の電気機関車でも広く使用されている屋上モニタタイプへ変更され、騒音レベルも低減されている。

3代目の本機関車は、台枠より下の台車・床下機器部分が遮音版で覆われ、騒音レベルは65dB [5] にまで低減されている。また、このロットから運転室にエアコンが搭載された。端梁部の連結器周辺には、八幡地区に導入された車両の特徴である「連結器センタリング装置」が搭載されている。日本車輌製造が公開している図面にはブレーキホースが描かれているが、くろがね線の貨車には貫通ブレーキがないため、本機関車でもブレーキホースは省略されている。

◆無線操縦

 本機関車は、他の構内用機関車と同じくテレコン(遠隔操縦)対応である。くろがね線の本線走行時は運転台からの制御となるが、ヤード内での入換時は、下の写真のように運転士が肩からぶら下げたリモコンで遠隔操縦している。

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■入換運転時は、デッキに出た運転士によりリモコン制御される。  2010年8月

また、後に登場した85ED-1形からの無線によるブレーキ操縦にも対応している。詳細は85ED-1形の記事を参照のこと。

【脚注】

  1. 70DD-1形は16,300mm、70DD-2形は16,900mmであり、モデルチェンジのたびに大型化されていることが分かる。
  2. 70DD-1形・70DD-2形共に2,737mm。
  3. 70DD-1形のみ3,875mm。
  4. 70DD-1形・70DD-2形共にNL30。
  5. レール中心より側方10m、地上1.2mでの値。なお通常の液体式ディーゼル機関車の騒音レベルは、95dB程度。

【参考】

  • 『日車の車輌史』<戦後産業車両 輸出車両編>、鉄道史資料保存会編、日本車輌鉄道同好部、1999年。
  • 百本 暁生「ディーゼル機関車の低騒音化」、『日本機械学会誌』、日本機械学会、1978年。

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2009年6月28日 (日)

【くろがね線を読み解く】第2回 ■85ED-1形 (E8501)

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■85ED-1形 E8501  2009年9月

 Y製鐵所の二地区を結ぶ専用鉄道で使用されていた老朽化した電気機関車を置き換えるため、昭和51年4月より三菱重工で4両が製作された。電気部分は三菱電機で製作された。本電気機関車の導入により牽引定数が540tから600tへ増えた結果、列車本数の削減が可能になった[1]

  • 運転整備重量:85t
  • 車軸配置:B-B
  • 全長:16,300mm
  • 幅:2,880mm
  • 高さ:4,090mm
  • 電気方式:直流600Ⅴ
  • 1時間定格出力:560kW
  • 主電動機:直流直巻補極付 4極(MB428-BVR)、出力:140kW、端子電圧300V、個数:4個
  • 歯数比: 16:71=1:4.44
  • 制御方式:2段組合せ、弱界磁、バーニヤ制御
  • 制御装置:電磁空気単位スイッチ式、電動カム軸接触器併用式
  • ブレーキ装置:EL14AS空気ブレーキ、抑速発電ブレーキ、手ブレーキ
  • 空気圧縮機:C2000-MA
  • 電動発電機:三相交流440V 10kVA(MG-128S)
  • 製造所:三菱重工三原製作所

 上記スペックの通り、軸重21.25tは我が国の電気機関車としては(登場当時)最大[2]であった。車体は、三菱重工が同時期にスペインへの輸出用に製作していた電気機関車(RENFE269形)に酷似した箱型構造であるが、乗降扉は前面に設けられ、デッキ付となっている。運転室上には、旋回灯、入換作業を1人で行うために必要なITV(Industrial TV)カメラ2台、エアコンが搭載されている。前面端梁部には、夜間の入換作業に配慮してスポットライトと自動開放シリンダーが設置され、運転台からのボタン操作で貨車の開放を行うことができる。屋根上には、車体中央部に誘導無線アンテナが、両端にひし形の集電装置2機が搭載されていたが、現在2エンド側の集電装置は撤去されている。

 主電動機は国鉄電気機関車で広く採用されているMT52の同型品で、エアコン・電動発電機・コンプレッサーなどについても国鉄車両で使用実績のある汎用品が採用されている。なおくろがね線にはATSが導入されているため、2エンド側台車の中央寄りにATS車上子を装備する。

◆防音構造

 騒音の発信源となる台車・床下機器部分には、車体側部を下方へ面一で伸ばす形で遮音板が設けられた。この遮音板は、1エンド側運転室下部に設けられたボタンを操作することにより空気圧で開閉が可能、任意の位置で止めることも可能で、床下メンテナンス時の作業を容易にしている。また、通気口から機器類の騒音が外部に漏れないようにするため、電動発電機やコンプレッサーなどの補機類を1エンド側の補機室に集中配置のうえ鋼板で覆い、冷却風は2エンド側の通気口から取り入れる構造になっている。この機関車が導入された1970年代は、全国各地で新幹線を含む鉄道への騒音訴訟が起こされ、公害問題が取り沙汰されていた時代だけに、防音構造にも当時の車両メーカーが苦心した様子が伺える。

◆無線操縦

 くろがね線で使用されている貨車は貫通ブレーキを装備していないため、ブレーキ力を得るために列車編成最後尾に補助機関車(緩急車)が連結されることが多い。旧型の機関車(E601~605)は、このブレーキ用緩急車を直接制御することができず、各機関車に乗務した運転士が誘導無線で交信し合いながらブレーキを制御していた。

本機関車も、連結相手の貨車がブレーキを装備していないためブレーキホースは省略されているが、ブレーキ弁の5段階の位置に従って自動的に操作情報が無線で発信され、緩急車側で受信しブレーキ制動弁が作動するワンマンコントロール方式となっている。

【脚注】

  1. くろがね線のように市街地に囲まれている路線の場合、車両そのものの防音対策もさることながら、輸送単位を拡大して列車本数を削減することが、騒音対策につながる。
  2. 2010年現在、軸重が21tを超える機関車としては、高炉メーカーJ社の90t機(4軸)と、電気炉メーカーS社の45t機(2軸)があり、いずれも軸重22.5tで日本最大である。なお国鉄在来線では、横川~軽井沢間専用のEF63形電気機関車が軸重18tで最大であった。

【参考】

  • 杉田 肇「新日鉄八幡製鉄所 新形電気機関車85ED-1形概説」、『電気車の科学』、電気車研究会、1977年9月号。

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2009年6月27日 (土)

【くろがね線を読み解く】第1回 ■60DD-3形 (D608)

 記念すべき連載第一回は、国内鉄鋼メーカー最大手・N社のY製鐵所で運用されているディーゼル機関車を取り上げる。この手の話題は、鉄道好きが1000人集まっても、興味を示す方はおそらく10人もいないと思われるが、他所のブログではあまり取り上げられていない話題を、ということで。

●Y製鐵所の鉄道

 Y製鐵所では、構内での半製品の輸送や原料・製品輸送に鉄道を利用しており、戦前から多くの蒸気機関車が導入されてきた。また製鉄所の戸畑地区への拡張に伴い、1930年(昭和5年)には戸畑地区と八幡地区の間で鉄道による物資輸送も開始された。この二地区を結ぶ鉄道は「炭滓線」と命名され、開業当初から電化されており、電気機関車が導入されている。(炭滓線についての詳細は、【くろがね線を読み解く】第5回 を参照)

●ディーゼル機関車

 ディーゼル機関車の導入は1953年(昭和28年)から開始され、これまでに日立製作所や日本車輌製造が車両を大量に納入してきた実績がある。構内鉄道では、昭和40年代までは運転整備重量35~45tのディーゼル機関車が使用されていたが、輸送力の増強を図るため一部を除き60t機へ置き換えられている。今回紹介するのも、昭和50年前後から導入が開始された60t機の一つである。

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■60DD-3形 D608         2009年3月

 60DD-3形は、昭和48~50年にかけて日本車輌製造で9両が製造されたDHL(液体式ディーゼル機関車)である。戸畑地区の構内輸送合理化のために登場した無線操縦対応車両で、運転室屋根上には無線操縦用アンテナ、進行方向表示灯、旋回灯が、運転室前後には警音器(ミュージックホーン)が取り付けられている。D607~以降はエアコンを搭載している。

  • 運転整備重量:60t
  • 車軸配置 : B-B
  • 全   長 : 13,050mm(連結面間隔)
  • 全   幅 :  2,745mm
  • 全   高 :  3,730mm
  • 機   関 : 神鋼造機 DMF31SB(500ps)
  • 変 速 機 : 新潟コンバータ DBG138
  • 台   車 : 日車NL31A (60DD-1形はNL31)
  • 最高速度 : 30km/h
  • 製造番号 : 3200

 60t機の試作1号機である60DD-1形(D601)は、日車製の1個エンジン搭載セミセンターキャブの機関車としては標準的な形態であったが、試作2号機の60DD-2形(D602)では、入換作業効率改善のため2・3位側に簡易運転台が設けられ、全長も伸びている。運転士は通常この簡易運転台に乗り込み、無線機によって機関車の操縦を行う一方、操車場では連結解放等の入換作業も一人で行う。60DD-3形では、基本寸法や装備に変化はないため外観で区別することは難しいが、台枠が25mm縮められた分、連結器の長さが長くなっている。急曲線通過時の連結器の首振りを大きくするためだろうか。

 なお、日本車輌製造㈱が公開している図面では、運転室屋根上の前後各々の方向に長さ2.5メートルほどの無線アンテナ(蝿叩きタイプの八木アンテナ)が設置されているが、写真の通り現在運行されている車両には見当たらない。おそらく小型化したか、設置場所を変更したものと思われる。

【参考】

  • 『日車の車輌史』<戦後産業車両 輸出車両編>、鉄道史資料保存会編、日本車輌鉄道同好部、1999年。

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2009年6月26日 (金)

ご挨拶

はじめまして。社長のブログ Aux Amis des Trains (オザミ・デ・トラン)へようこそ。

当ブログのメインコンテンツは「鉄道」です。

車両・路線・運用・写真撮影・模型など、鉄道に関することならなんでも見境なく取り上げます。また物流・交通関係など周辺の硬派?な話題も織り交ぜながら、週2回程度のペースで更新していく予定です。

ネット上で鉄道関係のブログを覗いてみると、撮影日記的なもの、掲示板形式の情報集約形など、既に魅力的なものがたくさんありますね。そんな中、後発の私が同じことをしてもつまらないので、内容で独自色を出していこうと思っています。お楽しみに。

なお、プロフィール欄記載の他の趣味の話題に転線(脱線?)することも時にはあるかもしれませんが、その際はご容赦くださいませ。また産業関係の話題を扱う際は、関係各社への配慮から社名はイニシャル表記とさせていただき、写真についても、場合によっては撮影日時・場所が特定できないよう加工させていただくこともありますので、ご了承ください。

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■桜島を後にする特急きりしま 2009年6月、日豊本線 竜ヶ水-重富

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