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2009年6月28日 (日)

【くろがね線を読み解く】第2回 ■85ED-1形 (E8501)

E8501_n

■85ED-1形 E8501  2009年9月

 Y製鐵所の二地区を結ぶ専用鉄道で使用されていた老朽化した電気機関車を置き換えるため、昭和51年4月より三菱重工で4両が製作された。電気部分は三菱電機で製作された。本電気機関車の導入により牽引定数が540tから600tへ増えた結果、列車本数の削減が可能になった[1]

  • 運転整備重量:85t
  • 車軸配置:B-B
  • 全長:16,300mm
  • 幅:2,880mm
  • 高さ:4,090mm
  • 電気方式:直流600Ⅴ
  • 1時間定格出力:560kW
  • 主電動機:直流直巻補極付 4極(MB428-BVR)、出力:140kW、端子電圧300V、個数:4個
  • 歯数比: 16:71=1:4.44
  • 制御方式:2段組合せ、弱界磁、バーニヤ制御
  • 制御装置:電磁空気単位スイッチ式、電動カム軸接触器併用式
  • ブレーキ装置:EL14AS空気ブレーキ、抑速発電ブレーキ、手ブレーキ
  • 空気圧縮機:C2000-MA
  • 電動発電機:三相交流440V 10kVA(MG-128S)
  • 製造所:三菱重工三原製作所

 上記スペックの通り、軸重21.25tは我が国の電気機関車としては(登場当時)最大[2]であった。車体は、三菱重工が同時期にスペインへの輸出用に製作していた電気機関車(RENFE269形)に酷似した箱型構造であるが、乗降扉は前面に設けられ、デッキ付となっている。運転室上には、旋回灯、入換作業を1人で行うために必要なITV(Industrial TV)カメラ2台、エアコンが搭載されている。前面端梁部には、夜間の入換作業に配慮してスポットライトと自動開放シリンダーが設置され、運転台からのボタン操作で貨車の開放を行うことができる。屋根上には、車体中央部に誘導無線アンテナが、両端にひし形の集電装置2機が搭載されていたが、現在2エンド側の集電装置は撤去されている。

 主電動機は国鉄電気機関車で広く採用されているMT52の同型品で、エアコン・電動発電機・コンプレッサーなどについても国鉄車両で使用実績のある汎用品が採用されている。なおくろがね線にはATSが導入されているため、2エンド側台車の中央寄りにATS車上子を装備する。

◆防音構造

 騒音の発信源となる台車・床下機器部分には、車体側部を下方へ面一で伸ばす形で遮音板が設けられた。この遮音板は、1エンド側運転室下部に設けられたボタンを操作することにより空気圧で開閉が可能、任意の位置で止めることも可能で、床下メンテナンス時の作業を容易にしている。また、通気口から機器類の騒音が外部に漏れないようにするため、電動発電機やコンプレッサーなどの補機類を1エンド側の補機室に集中配置のうえ鋼板で覆い、冷却風は2エンド側の通気口から取り入れる構造になっている。この機関車が導入された1970年代は、全国各地で新幹線を含む鉄道への騒音訴訟が起こされ、公害問題が取り沙汰されていた時代だけに、防音構造にも当時の車両メーカーが苦心した様子が伺える。

◆無線操縦

 くろがね線で使用されている貨車は貫通ブレーキを装備していないため、ブレーキ力を得るために列車編成最後尾に補助機関車(緩急車)が連結されることが多い。旧型の機関車(E601~605)は、このブレーキ用緩急車を直接制御することができず、各機関車に乗務した運転士が誘導無線で交信し合いながらブレーキを制御していた。

本機関車も、連結相手の貨車がブレーキを装備していないためブレーキホースは省略されているが、ブレーキ弁の5段階の位置に従って自動的に操作情報が無線で発信され、緩急車側で受信しブレーキ制動弁が作動するワンマンコントロール方式となっている。

【脚注】

  1. くろがね線のように市街地に囲まれている路線の場合、車両そのものの防音対策もさることながら、輸送単位を拡大して列車本数を削減することが、騒音対策につながる。
  2. 2010年現在、軸重が21tを超える機関車としては、高炉メーカーJ社の90t機(4軸)と、電気炉メーカーS社の45t機(2軸)があり、いずれも軸重22.5tで日本最大である。なお国鉄在来線では、横川~軽井沢間専用のEF63形電気機関車が軸重18tで最大であった。

【参考】

  • 杉田 肇「新日鉄八幡製鉄所 新形電気機関車85ED-1形概説」、『電気車の科学』、電気車研究会、1977年9月号。

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