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2009年6月27日 (土)

【くろがね線を読み解く】第1回 ■60DD-3形 (D608)

 記念すべき連載第一回は、国内鉄鋼メーカー最大手・N社のY製鐵所で運用されているディーゼル機関車を取り上げる。この手の話題は、鉄道好きが1000人集まっても、興味を示す方はおそらく10人もいないと思われるが、他所のブログではあまり取り上げられていない話題を、ということで。

●Y製鐵所の鉄道

 Y製鐵所では、構内での半製品の輸送や原料・製品輸送に鉄道を利用しており、戦前から多くの蒸気機関車が導入されてきた。また製鉄所の戸畑地区への拡張に伴い、1930年(昭和5年)には戸畑地区と八幡地区の間で鉄道による物資輸送も開始された。この二地区を結ぶ鉄道は「炭滓線」と命名され、開業当初から電化されており、電気機関車が導入されている。(炭滓線についての詳細は、【くろがね線を読み解く】第5回 を参照)

●ディーゼル機関車

 ディーゼル機関車の導入は1953年(昭和28年)から開始され、これまでに日立製作所や日本車輌製造が車両を大量に納入してきた実績がある。構内鉄道では、昭和40年代までは運転整備重量35~45tのディーゼル機関車が使用されていたが、輸送力の増強を図るため一部を除き60t機へ置き換えられている。今回紹介するのも、昭和50年前後から導入が開始された60t機の一つである。

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■60DD-3形 D608         2009年3月

 60DD-3形は、昭和48~50年にかけて日本車輌製造で9両が製造されたDHL(液体式ディーゼル機関車)である。戸畑地区の構内輸送合理化のために登場した無線操縦対応車両で、運転室屋根上には無線操縦用アンテナ、進行方向表示灯、旋回灯が、運転室前後には警音器(ミュージックホーン)が取り付けられている。D607~以降はエアコンを搭載している。

  • 運転整備重量:60t
  • 車軸配置 : B-B
  • 全   長 : 13,050mm(連結面間隔)
  • 全   幅 :  2,745mm
  • 全   高 :  3,730mm
  • 機   関 : 神鋼造機 DMF31SB(500ps)
  • 変 速 機 : 新潟コンバータ DBG138
  • 台   車 : 日車NL31A (60DD-1形はNL31)
  • 最高速度 : 30km/h
  • 製造番号 : 3200

 60t機の試作1号機である60DD-1形(D601)は、日車製の1個エンジン搭載セミセンターキャブの機関車としては標準的な形態であったが、試作2号機の60DD-2形(D602)では、入換作業効率改善のため2・3位側に簡易運転台が設けられ、全長も伸びている。運転士は通常この簡易運転台に乗り込み、無線機によって機関車の操縦を行う一方、操車場では連結解放等の入換作業も一人で行う。60DD-3形では、基本寸法や装備に変化はないため外観で区別することは難しいが、台枠が25mm縮められた分、連結器の長さが長くなっている。急曲線通過時の連結器の首振りを大きくするためだろうか。

 なお、日本車輌製造㈱が公開している図面では、運転室屋根上の前後各々の方向に長さ2.5メートルほどの無線アンテナ(蝿叩きタイプの八木アンテナ)が設置されているが、写真の通り現在運行されている車両には見当たらない。おそらく小型化したか、設置場所を変更したものと思われる。

【参考】

  • 『日車の車輌史』<戦後産業車両 輸出車両編>、鉄道史資料保存会編、日本車輌鉄道同好部、1999年。

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コメント

はじめまして。先日九州で撮影の折ホテルでくろがね線の情報を探しており貴サイトを拝見させて頂きました。綿密な文献、情報収集に現地での観察が加わり、非常に興味深い内容ですね。残念ながら今回の撮影旅行ではEF81重連や黄タキ専貨(+銀河のちゃんぽん)を優先してしまいくろがね線の訪問は果たせませんでしたが、専用線や専用線EL,DLも大好きな私ですので、次回は貴サイトの情報を頭に叩き込んでから他路線に浮気せずくろがね線に向かいたいと思っております。
帰京後改めてくろがね線や九州レール輸送について調べていたら貴サイト内に当ブログ名が記載されているのを恥ずかしながら先程気づきまして、コメントさせて頂きました。

投稿: はいしゃさん | 2009年8月 7日 (金) 17:09

はいしゃさん様、コメントありがとうございます(^^) ブログご覧いただいたようで恐縮です。化学品輸送は私も興味がありまして、6月に鹿児島への帰省を兼ねて、南延岡や大牟田に寄ってきたところです。

当ブログの情報ですが、まだまだ充実しているとは言いがたい状況で、出典のない記述については、推論の上に推論を重ねているような部分もあります。ですのでもし間違っていたり、観察された結果状況が異なっていたら遠慮なくご指摘くださいませ。そういったご指摘は大変ありがたいです。

なおくろがね線については、企業内鉄道ということもあるので、撮影してもあえてブログに載せていない写真が結構あります(理由はお察しいただけると思いますが)。ですので、撮影に際しては節度ある行動が求められると思いますし、下手をすると撮影そのものが全面禁止にもなりかねません。そのあたり、ぜひご配慮のうえ、お気をつけて撮影を楽しんできてください。またコメントいただければうれしく思います。今後ともよろしくお願いいたします。

社長

p.s.ところで「銀河」とは何でしょうか。。

投稿: 社長 | 2009年8月 8日 (土) 09:36

大牟田は市街地が独特な雰囲気に包まれておりましたが、宮浦や廃線跡などまたゆっくり撮影したい場所の一つです。今でははやぶさなど浮気しそうな撮影ネタがなくなってしまいましたし......
銀河、のり平ちゃんぽんは車利用の際に、八幡のちゃんぽんは八幡駅前ですので電車利用の時に腹ごしらえをする八幡地区の専門店です。お腹が空いていなくても行ってしまうのですが。

投稿: はいしゃさん | 2009年8月 8日 (土) 16:39

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