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2009年7月11日 (土)

【くろがね線を読み解く】第12回 ■沿線で列車を見るコツ

 運行管理についてはもう少し資料が揃った段階でまとめることにして、今回はより実践的な「効率的に列車を見るコツ」をまとめようと思う。(2015年夏までの考察結果はこちら

 くろがね線は、複線時代は最短12分間隔の高頻度運転が行われていた路線で、単線化されてからも運行頻度は高く、1時間も待っていれば列車に遭遇することが多かった。このため、撮影上の話題は場所選びが中心で、運行ダイヤが話題になることはあまり無かったように思う(する必要が無かった)。ところが最近では、(不況の影響なのかどうかはともかくとして)列車の本数は若干であるが減少しており、平日でも2~3時間列車を見かけない日もあるほどである。そこで、できるだけ効率的に列車に遭遇できるよう、知りうる範囲の情報を記すことにする。

 くろがね線は、製鉄所内の工程間輸送のための路線である(第5回 参照)。したがって時代と共に、あるいは工場内の設備集約・統廃合に伴って、輸送する品目・荷姿もアドホックに変化してきたし、固定された運行ダイヤは存在しない[1]。無論、2~3日集中して観察するとダイヤらしきものがあるように思われる(動く時間帯にある程度の規則性が見出せる)との指摘もあるが、私の経験ではそれは一時的なもので、数ヶ月もすれば変わってしまうことが多い。

 これから記載する情報は、2008年~2009年の私自身の観察結果をベースとしている。もちろん、「こうした方がもっと効率的に撮れますよ」、「運行ダイヤはこんな風に決まっているみたいですよ」といった突っ込みどころは色々あると思うので、もしあればコメント欄で適宜ご教示いただきたい。

1.運行時刻を決定付ける要素

1-1.輸送品目の観点

 くろがね線で輸送しているものの大半は半製品で、戸畑地区から八幡地区へ向かうものである。したがって戸畑地区における半製品生産の進捗が運行時刻を決めているといっても良い。もちろん既に述べた通り、逆に八幡から戸畑へ向かうものもある(第11回 を参照)が、このような品目は極端な話「いつ運んでも良いモノ」であり、これが運行時刻を左右することはないと思われる。

1-2.機関車運用の観点

 後日取りあげる予定だが、Y製鐵所の機関車には、戸畑地区配置のものと八幡地区配置のものがある[2]。両地区を結んでいるくろがね線の機関車は八幡地区の所属であるから、機関車は八幡を基点に運用されることになる。

2.運行パターンの予測

2-1.機関区基点

 1-2.の通り、くろがね線の機関車は八幡のスペースワールド駅付近にある機関区に常駐している。現在頻繁に稼動しているのは、85ED-1形(E8501E8502)と70DD-3形(D704D705)の計4両であるから、機関区を見てこれらのうち欠けている車両があれば、その車両が稼動中の可能性がある。

2-2.枝光・中原等沿線基点

 沿線で列車を見かける機会があったら、行先に着目していただきたい。もしそれが戸畑行きだったなら、そう待たずして八幡行きも見られる可能性が高い。理由については1.において既に述べた。運行時刻は戸畑地区の都合で決められているため、戸畑→八幡の輸送が必要ないときには、八幡→戸畑の列車も動かす必要はない。八幡→戸畑の列車が動いているということは、戸畑側で半製品の発送準備が整いつつあるので、返空を兼ねて動いているのだ、と読み取ることができる。また、沿線に色灯式信号機を見つけることがあったら、その現示にも注目しておくと良い

2-3.第一操車場基点

 第一操車場には、戸畑地区各工場で生産された半製品のうち、くろがね線で八幡地区へ輸送するものが順次運ばれてくる。線路が何本もあるが、八幡へ向けて出発する列車は北側から3本目の線路から出てくることが多い。したがって、そこに貨車がいるかどうかを見れば、ほどなく列車が発車するのか、まだ暫く時間がかかるのか、見当をつけることができる。なお、八幡からの列車が到着した後、機関車が付け替えられて、八幡行きの列車が発車するまでの作業は、非常に迅速に行われるため、あまり列車の撮影には向いていないことを申し添えておく。

【脚注】

  1. 例えばJR貨物の列車の運行時刻は、線路の持ち主であるJR旅客会社や荷主らと調整のうえ決定される。そして一度決まった時刻は、運行トラブル等による突発的な変更を除けば、次にステークホルダーと調整するまで(ダイヤ改正まで)基本的に変わることはない。これに対し製鉄所の鉄道は「工程間輸送」を目的としているため、運行時刻は、各工程の進捗を毎回担当者間で確認・調整のうえ(最近では運行管理システムにより)決定される。調整相手がほとんどインサイダーで、列車の運行範囲も閉じているため、あらかじめ固定したダイヤを設定しておく必要はない。先に「ダイヤありき」ではなく、「いつ」「何を」「どこからどこへ」「いくつ」運ぶべきなのかは、各工程の進捗によって決まる。
  2. かつては、戸畑・八幡両地区の機関車整備もそれぞれの地区で独立して行われていたが、2011年現在、車両の全般検査はすべて戸畑地区にあるN運輸で実施しているようである。

【参考】

  • 『八幡製鉄所五十年史』八幡製鉄八幡製鉄所、1950年。
  • 『時間の流れを超えて : 日鐵運輸株式会社50年史』日鐵運輸株式会社編、1993年。

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