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2009年7月 2日 (木)

【くろがね線を読み解く】第5回 ■くろがね線とは?

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■くろがね線の貨物列車。写真は戸畑行                2011年10月

 「くろがね線」とは、鉄鋼メーカーN社Y製鐵所の戸畑・八幡両地区を結ぶ専用鉄道の愛称である。一般的には、直流電化されている戸畑第一操車場から八幡第二操車場までの区間を指すことが多い。鉄道事業法第二条第六項において定められたN社専用鉄道は、黒崎駅分岐(旧 西八幡駅)-会社工場(戸畑第一操車場)間9.1kmとされている。

 Y製鐵所は、明治30年に着工された官営製鉄所で、工場内で原料や半製品・製品を輸送するための構内鉄道も、明治34年の製鋼・圧延開始と共に運行が開始された。大正14年、T製鉄から借入した戸畑地区に作業所が開設されると、戸畑地区の銑鉄を八幡地区へ輸送する必要が生じ、両地区の間で船舶による熔銑輸送が開始された。しかし生産量が増えるにつれ、海上輸送のリスクと不経済性が指摘されるようになる一方、八幡地区でも鉄の製錬過程で発生する膨大な鉱滓の処理が問題となっていた。これらの打開策として計画されたのが、両地区を結ぶ専用鉄道・炭滓線[1]である。昭和2年3月に起工し、昭和5年に開通した。

 この炭滓線は、戸畑から八幡へは銑鉄を輸送し、製錬工程の一端を担う一方、八幡から戸畑へは埋め立て用の鉱滓を輸送し、戸畑地区の拡張に寄与した。鉱滓の輸送がなくなると、昭和47年10月に社員公募により「くろがね線」と命名され[2]、現在も運行が継続されている。くろがね線の全長はおよそ6km[3]で、開業当初は全線複線電化(現在は単線電化)、最急勾配18パーミル、途中に宮田山トンネル1.18kmがある。

 古いデータで申し訳ないが、1968年10月14日発行の朝日新聞社『世界の鉄道’69』に掲載されている当鉄道のデータを参考までに挙げておく。

  • 鉄道部門従業員数:1950人
  • 電気機関車:5両 [4]
  • ディーゼル機関車:135両
  • 有蓋貨車:14両
  • 無蓋貨車:3122両
  • ホッパー車:559両
  • その他貨車:532両
  • 運転区間:西八幡-戸畑工場
  • 軌間:1067mm
  • 架線電圧:600V
  • 牽引定数:540(換算1両-10t)
  • 最大運転速度:30km/h
  • 閉そく方式:自動閉そく(昭和27年使用開始)

 機関車や貨車・貨物に関する詳細は、今後順次紹介していくことにする。

【脚注】

  1. 開業当初は、八幡から戸畑へ主に廃滓(鉄の製錬過程で排出される廃棄物)を輸送していたことから、「炭滓線(たんさいせん)」と呼称されていた。
  2. 地域住民にとっては「鉱滓線(こうさいせん)」の呼称が一般的であり、ZENRIN発行の地図にも「新日鉄鉱滓線」と記載されている。
  3. 八幡製鉄八幡製鉄所広報部編『八幡製鉄所写真集』(1966年)によると、炭滓線の全長は6.3kmとなっている。一方、松尾 輝夫「八幡製鉄所 専用鉄道の機関車」『鉄道ファン』1967年7月号では6.1kmとなっている。八幡地区の工場縮小で路線延長が短縮されたのかもしれない。なお最新のデータとしては、杉田 肇「新日鉄八幡製鉄所 新形電気機関車85ED-1形概説」『電気車の科学』1977年9月号の説が有力で、戸畑(第一操車場)-八幡(第二操車場)間約5.6kmとされている。
  4. 内訳はすべて60ED形(E601~E605)である。

【参考】

  • 『八幡製鉄所五十年史』、八幡製鉄株式会社八幡製鉄所編、1950年。
  • 『運輸省鉄道局監修 鉄道要覧』電気車研究会、1995年。

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