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2009年9月14日 (月)

【O工場の石灰石輸送】■DS-6形ディーゼル機関車

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■O工場専用鉄道で使用されている DS-6      2012年4月

 DS-6は、D社O工場専用鉄道で貨車の牽引に使用されているディーゼル機関車である。2008年までは、原石線のほか青海線でセメント貨車などを駅へ引き出す運用にも充当されていたが、2009年以降は原石線でのみ運用されている。

  • 運転整備重量:55
  • 車軸配置:B-B
  • 製造年:1981年
  • 製造所:川崎重工業
  • 製造番号:431 4082

形態は国鉄のDD16形に酷似しているが、青海線や原石線に存在する急勾配[1]で重量列車を牽引(推進)するため、運転整備重量はDD16形の48tに対して55tとより重くなっている。塗色は、車体上部がクリーム色、下部がローズピンクで、妻面にはD社の社紋である軍配マークが描かれている。ボンネット端部には、2-4位側(運転士が着席する側と反対側)を確認するためのバックミラーを備え、端梁部は視認性向上のためゼブラ塗装となっている。

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DD16形の最終増備車(65号機)が登場したのは1974年であるので、この車両はその7年後に製作されたことになる。その割には、1エンド側ボンネット側面のラジエーターカバーが、DD16形の初期形[2]と同様の3分割タイプなのが不可解ではある。メーカー在庫のサプライ用部品を使用したのであろうか。

DD16形との形態上の相違点として、1-3位側(通常、運転士が着席する側)の運転室側窓が2連窓化されていることが挙げられる。運用時に前方の確認が必要なため、通常のDD16形の3連窓では支障があったものと思われる。また二つの参考文献掲載の写真を比較すると、1990年代後半以降に後位側の排気筒が撤去されていることもわかる。

●迷走する機関車のスペック

 この機関車のスペックについては、どうも情報が錯綜しているようで、製造番号も3通りくらい発見できてしまった。弊ブログには、その中から最も信頼性の高いメーカー資料のデータを正として記載している。

ないねん出版発行の岩堀春夫著『鉄道番外録3』には、この機関車について「自重56t・製造番号431」との記載があるが、いずれも誤りと思われる。なぜなら、D社O工場へ納入された川重の機関車は、DS-4以降はすべて55t機であるし、川重が製作したディーゼル機関車の製造番号は、350~3700までが欠番となっており(349を最後に3ケタ→4ケタ化)、431という400番台の製番は存在しないからである。おそらく取材の過程で、何かの管理番号を製造番号と取り違えた可能性が高いのではないだろうか。

●DS-6の製造番号、その顛末 (2010年11月18日追記)

 岩堀春夫著『鉄道番外録3』のないねんリストに記載されているDS-6の製造番号「431」の出所が見つかった。産業用機関車調査のバイブルとも言える、渡辺肇著「日本製機関車製造銘板・番号集成」(以下、渡辺台帳とする)である。

渡辺台帳によれば、川重のディーゼル機関車の製造番号は、1972年に製作された川崎製鉄千葉製鉄所向け35t機D3533(製番349)まで、永らく3桁であった。しかし、1972年4月から1975年4月までの間、ディーゼル機関車の製造担当が兵庫工場から大阪車両部へと変更になり、製番の付番ルールも変更されることになった。注目すべき点は、渡辺氏が台帳を作成した段階では、まだ新しい付番ルールが確立しておらず、台帳の隅の方に次のような但し書きがつけられていることである。

「#350以降の製番表については本稿執筆時において川重で確定していない部分があるので、本表は川重の従来の付番方針に則り、できるだけ受注1lot毎にまとめ落成年月も前後しないようにした。」

つまり、製番350以降の機関車の製番は、未確定分を台帳に載せるための仮製番なのである。渡辺氏は、追跡調査を後人に託したわけである。

 しかしながら、その後渡辺氏ようにメーカーへ資料提供を働きかけて製番をまとめる方は現れなかった。岩堀春夫氏も、機関車表を発表した沖田祐作氏も、渡辺台帳のデータをほぼそのまま採用しており、DS-6の製番についても例外なく渡辺台帳の仮製番が引用されている。正しい製番を把握するには、1996年発表のメーカー資料を待たなければならなかった。

  • 『蒸気機関車から超高速車両まで 写真で見る兵庫工場90年の鉄道車両製造史』、川崎重工業株式会社車両事業本部編

このメーカー公式資料には、DS-6について1981年(昭和56年)製造、製番は4082と記載されている。

 製番調査の難しさについては、以前スイッチャー分類学の冒頭でも述べた。メーカーの台帳が基本となるが、多くの企業がそうであるように、資産管理のために作成された台帳は、稀に現物との不一致を起こすことがあり(たいていは税金対策だそうだが)、台帳が必ずしも正しいとは限らない。かといって実車の銘板に刻印されている値が必ず正しいとも限らない。製番の刻印されていない銘板も多いし、刻印があっても左右で異なっていたり、磨耗で読み取りが困難な場合もある。なにが正しいのか、結局は1案件ごとに丁寧に調べるしかないのである。

いずれにせよ、渡辺台帳に掲載された仮製番350以降の機関車の正しい製番は、この資料の登場によりすべて把握することができるようになった。喜ばしい限りである。

(続く)

【脚注】

  1. 原石線には最大25‰の連続勾配が存在する。
  2. 本機関車とラジエーターカバー形状が同じなのは、DD16 15~24号機で、昭和47年度民有車および昭和47年度第2次債務車にあたる。

【参考】

  • けいてつ協会 『知られざる鉄道』 JTB〈JTBキャンブックス〉、1997年5月、2刷。
  • 岡本憲之 『全国鉱山鉄道』 JTB〈JTBキャンブックス〉、2001年9月、初版。

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コメント

DS6はトレーラーにのせられて旅立ったようです
今まではDS7の予備として待機している必要があったのでしょうけど
先日から元南松本信州プレートサービスのDD453が本格的に稼働開始したので
不要になったんだと思います

投稿: 入信よいか? | 2018年4月13日 (金) 21:30

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