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2009年10月21日 (水)

【くろがね線を読み解く】第45回 ■上戸畑廃線跡

 今回は若干趣向を変えて、Y製鐵所構内鉄道の廃線跡を紹介する。といっても、製鐵所構内の縮小後、遊休地の大規模な再開発が行われている八幡地区については、痕跡がほとんど残っていないため、戸畑地区とくろがね線が中心となる。

以前取り上げたとおり、2009年現在、N社Y製鐵所専用鉄道は西八幡駅でJR線と接続しており、製品(鉄道用軌条)の発送が行われている。しかし元々は、西八幡駅以外にもう一つ接続駅があった。それが今回紹介する上戸畑駅[1]である。

上戸畑駅のヤードは、現在の九州工大前駅の北側に位置していた。駅廃止後、跡地は再開発され、福岡都市高速道路やテクノセンターなどが建設されている。Y製鐵所専用鉄道が上戸畑駅に接続していた場所は、高速道路がJR鹿児島本線をオーバークロスして南側に分岐する三六町の北側である。もちろんヤードは道路用地などに転用されて跡形もないが、製鉄所構内からヤードに向けて曲線を描きながら伸びていく連絡線の跡は、地図や航空写真などで確認することが出来る。

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■国鉄の上戸畑操車場から北東側へ分岐し、日明本線へ接続していた線路。橋脚とガーダーのみ残る。 2009年9月

 一方、上戸畑駅に連絡していた線路がもう一つある。それが上の写真で示した、日明本線への連絡線である。日明(ひあがり)本線とは、戸畑の第一操車場から東側に分岐して堺川を渡り、日明地区に立地するN社の子会社「N高炉セメント」へ向かっていた専用線のことである。いわば、「製鐵所構内鉄道から分岐する専用線」である。この路線では、Y製鐵所戸畑地区から主に水砕[2]などが輸送されていた。

いっぽう、N高炉セメントでは製品のセメントを各地に発送する必要があったが、既存の日明本線を使う場合、国鉄上戸畑駅へ貨車を出す際に、一旦Y製鐵所構内の第一操車場を経由する必要があり、ここが隘路となる。そこで上戸畑駅への連絡線を建設することになった。この連絡線は、日明本線から分岐して南へ下り、既設の「くろがね線」をオーバークロスして上戸畑駅へ接続していた。このため、線路廃止後も上の写真のようにガーダー橋が残っている。

【脚注】

  1. 上戸畑駅は貨物駅であったが、現在はほぼ同じ場所に九州工大前駅が設置されている。
  2. 水砕(すいさい)とは、高炉から排出される溶けたスラグ(鉄の製錬過程で発生する、不純物を含んだ廃棄物)を水で急冷して得られる微粒子である。高炉セメントの原料として利用される。「水滓」とも書く。

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