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2009年10月 9日 (金)

「美祢線赤ホキ終焉」報道の迷走を憂う(4)

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■2009年9月の宇部線内の列車。3月には11連(美祢線内13連)だったホキ車も、7連(美祢9連)と減車が行われている。

 美祢線・宇部線の石灰石貨物列車廃止について、最初に大規模な特集記事を組んだのは、レイルマガジン2009年7月号である。

森 友紀 「美祢・山陽・宇部線石灰石輸送 DD51・DE10 撮影地ガイド」

がそれで、体裁としてはRMによくある列車の運用分析と撮影地の紹介が中心である。特集の組まれ方そのものに問題があるとは思わないのだが、後半部分に見逃せない記述がある。美祢線・宇部線の石灰石輸送が「2009年5月に休止される」こと、またその根拠として「セントラル硝子宇部工場のガラス製造が5月で休止になる」ことを取りあげているのである。

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■ホキ車を牽引し、セントラル硝子専用線へ入線するDE10形。専用線には遮断機・警報機無しの踏切が多いため、踏切毎に先頭の保安要員が安全を確認のうえ、進んでいく。

 前半の撮影地ガイドを蟠りなく読み進めていた私は、ここにきて首を傾げてしまった。おいおい、ちょっとまて。。第2回で取り上げたとおり、この貨物列車で輸送している石灰石はガラス原料ではないので、宇部工場のガラスフロート釜の操業停止と、貨物列車の廃止を関連付けるのは、ちょっと無理があるような気がするのだが。5月廃止の噂そのものは、ネット上で速報的にはかなり広まっていたもので驚きはないし、それに触発されて多くの鉄道ファンが沿線へ繰り出したのも理解できる。問題なのは、対価として原稿料が発生する雑誌という媒体で、ネット情報と同じ水準でモノを語るのはいかがなものか、ということである。

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■専用線最後の踏切は信号機付。要員がスイッチを押すことにより、車道側が青から赤へ変わる。

 我々鉄道ファンが鉄道貨物輸送について分析する際、産業関連の報道に敏感になっておくのは大切なことではある。件の記事の著者も、セントラル硝子の報道発表をキャッチしていたのだろう。

セントラル硝子によるフロート釜休止に関するニュースリリース (2009年3月2日発表)

しかし、当該雑誌に掲載されている文言から察するに、「フロート釜停止に由来する5月廃止説」は、インサイダーへの取材に裏付けられた情報ではなく、あくまでも著者個人レベルの「予測」「推測」の域を出ないものである。

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■踏切信号を赤に変え、工場へ侵入する貨物列車。

 レイルマガジン誌は、1980年代に創刊されて以降、私は毎月愛読していた。専用線や製鉄所の機関車など、あまり雑誌の売り上げに貢献するとは思えないようなマニアックなネタについても、関係各社へきちんと真正面から取材をして、硬派な記事を掲載していたそれが最近では、「次に話題になりそうなネタは何か?」という観点で集められた記事が、誌面の多くを占めている。目先の売上増に固執するあまり、ウラの取れていない噂レベルの情報を流したりせず、地に足のついた取材をしてほしいものである。今後、今回のような記事が量産されないことを期待したい。

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■工場へ到着。写真は2009年3月のもので、まだホキ車が11連と長かったため、先頭のDE10は踏切手前までやってきていた。

(続く) 

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