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2009年11月25日 (水)

【くろがね線を読み解く】第65回■高炉改修期間中の運用は?

 先日、N社Y製鐵所に関して興味深い報道があった。

 記事リンク: http://www.asahi.com/business/update/1122/SEB200911210067.html

以下、asahi.com(2009年11月22日付)より引用

八幡製鉄所第1高炉、解体へ 停止後、再稼動めど立たず

新日本製鉄が八幡製鉄所(北九州市)の戸畑第1高炉を解体することが分かった。1959(昭和34)年に稼働し、98年に停止した後も予備として保存されていたが、再稼働のめどがつかず廃炉を決めた。現在、同製鉄所で唯一操業している第4高炉は数年後に2カ月程度かけて改修する見込みだが、代替の炉がなくなるため、この改修期間中は長年続いた「高炉の火」が消えることになりそうだ。

上記のアサヒコムの記事では、第4高炉改修の時期について明言を避けているが、仮に高炉が停止した場合、くろがね線にはどのような影響があるのだろうか?

Nyn_200909silverweek
■2009年9月のシルバーウィーク中に運行されていた、くろがね線の貨物列車。
 戸畑の熱延工程が止まっているためか、上のように熱塊カバー台車
 の運行が中心で、ホットコイルや冷延コイルの輸送はほとんど行われなかった。

 くろがね線は、以前の記事で述べた通り、戸畑で生産した半製品・製品を八幡へ運び、逆に八幡で発生した鉄スクラップ等の副原料を戸畑へ運ぶための路線である。

まず、高炉が停止した場合、当然転炉も停止するので、溶銑輸送は完全にストップすることになる。戸畑の圧延工程が停止すれば、熱延コイル・冷延コイルの生産が停止するので、これらを八幡へ輸送する必要も無くなる。このため、単純に考えれば、高炉停止期間中にくろがね線を運行する必要はないかもしれない。しかし、高炉停止に先駆けて戸畑地区で粗鋼(半製品)のつくりだめがなされるならば、高炉停止期間中もくろがね線での輸送は続く可能性がある。

アサヒコムの記事の後半部分には次のような記述がある。

解体作業は今夏から始めており、11年度前半までに更地にする。八幡の総務部は「屋外設備の腐食や劣化が進み、安全性も考えて解体を決めた。第4高炉の改修時は、スラブ(鉄の半製品)などを他の製鉄所から運んでくることになる」と説明している。跡地の利用方法は未定という。

鉄鋼製品の物性・組成は、溶鋼の成分調整を行う転炉で決まる。このため、仮に上のアサヒコムの記事に書かれているように他の製鉄所(の転炉)で生産された粗鋼をもってきても、高級品・特注品に特化したY製鉄所で求められる品質には合致しないのではないだろうか。どちらかというと、高炉が止まる前に、Y製鉄所で作りだめして保管しておく方が現実的ではなかろうかと思う。

さて、鉄道マニアの視点でこの報道を見ると、機関車のイレギュラー運用に興味が沸くところである。高炉停止期間中は溶銑輸送が停止するため、専用線や専用鉄道を使用する他の工場が休転[1]時に行うように、高炉付近で使用されている機関車や貨車の一斉点検・修理に着手する可能性もある。そうなれば、普段は絶対に目にすることが出来ないトーピードカー輸送専用の機関車がくろがね線を回送されるシーンを見ることが出来るかもしれない。

高炉停止は数年先になるようだが、はたしてどうなるか。

【脚注】

  1. 製造業で、工場が設備点検等のため一定期間操業を休止すること。業界毎にある程度時期が決まっているが、詳細を掲載するのは控えておく。経験的には上半期のどこかで実施されることが多い。無論、事業計画変更に伴う設備改修などイレギュラーなものについては、この限りではない。

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コメント

久しぶりにN社のホームページをチェックしてみたところ、バーチャル工場見学の絵が若干修正されていました。
従来、鉄スクラップの投入先は転炉のみでしたが、最新の絵では矢印(実線)が電気炉へ向かい、転炉へも矢印(点線)が向かっています。
いっぽう、ないねん出版の岩堀春夫著『鉄道番外録11』に、くろがね線について取り上げた記事があり、鉄スクラップの行き先を「電気炉」とする記述が複数箇所ありました。このことから、くろがね線で八幡から戸畑へ運んでいる鉄スクラップのメインの行先は電気炉で、転炉へも行くことがあるということのようです。これを受け、記事本文を修正しました。

投稿: 社長 | 2010年1月27日 (水) 16:26

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