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2009年11月17日 (火)

【くろがね線を読み解く】第62回■60ED形(E603)

 戦前の輸送量増大に伴い、日本車輌製造によってくろがね線向けに製作されたのが、60ED形電気機関車 E603である。電気部分は東洋電機の製作。車体は凸型だが、長いボンネットと大きなキャブは、スイスのクロコダイル風である。国鉄にたとえるなら、車体をEF58形の発生品に乗せかえる前のEF13形に近い。また、レール面から台枠上面までの高さは1,550mmに達し、巨大な動輪とあいまって腰高な印象を受ける。本機関車は、関門トンネルが開通して国鉄EF10形が運行されるようになるまで、九州最大の電気機関車であった。

 前後ボンネット内には、抵抗器とこれを冷却するための送風機、コンプレッサーが点対称に配置されている。キャブ内は、2・3位側に運転席、1・4位側に手ブレーキが配置され、中央部には現代の主制御器に相当する各種スイッチ類が並べられている。登場時の記号番号はE602で、後年になり改番された。

  • 製造所:  日本車輌製造 (電気部分は東洋電機)
  • 製造年月: 1936年(昭和11年)3月
  •  (1936年4月使用開始)

  • 運転整備重量: 60t
  • 車軸配置: B-B
  • 最大長:  13,266mm
  • 最大幅:  2,740mm
  • 最大高:  4,035mm
  • 動輪径: 1,250mm
  • 主電動機出力: 187kW(250PS)×4個 (端子電圧300V)
  • 歯車比:  76:17
  • 引張力: 15,000kg
  • 定格速度: 24km/h
  • 使用電圧: 直流600V
  • 制動装置: 空気ブレーキ(ウェスチングハウス製)、発電ブレーキ(非常用)、手ブレーキ

●私鉄・専用線の同系機

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■東急電鉄長津田工場の入換機、ED301 2009年6月

 1944年(昭和19年)、日本車輌は東洋電機と組み、くろがね線のE603をベースに40t電気機関車2両を製作した。一つは、近畿日本鉄道デ25、もう一つは豊川鉄道54である。後者は、納入時に豊川鉄道が国有化されていた(現:飯田線)ため、国鉄ED301となり、その後ED2511に改番された。1963年に廃車になると、同年5月に伊豆急行に払い下げられ、貨物輸送や工事列車の牽引機として活躍した。1994年10月6日付で廃車となって以降は、車籍のない機械扱いで東急電鉄に譲渡され、長津田工場の入換機として細々と活躍していたが、2009年6月、解体された。

【参考】

  • 杉田 肇「私鉄の電気機関車」、『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、1984年7月。
  • 松尾 輝夫「八幡製鉄の車両」、『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、1966年2月。
  • 『世界の鉄道’69』、朝日新聞社、1968年10月。
  • 寺田 裕一『私鉄機関車30年』、JTBキャンブックス、2005年12月初版。
  • 『日車の車輌史』<戦前産業車両・旧外地鉄道編>、鉄道史資料保存会編、日本車輌鉄道同好部、1997年。

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