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2009年11月14日 (土)

【くろがね線を読み解く】第60回■60ED形(E601)

 『くろがね線を読み解く』シリーズも、ついに連載60回を迎えた。記念に、というわけではないが、60という数字に纏わるこの機関車を取り上げることにする。

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東田第一高炉史跡広場に保存・展示されているE601。ボンネット上の箱は現役時代には無かったもの。 2010年8月

 1930年に開業したくろがね線は、18パーミルの連続勾配を擁し、途中に長さ1.2kmのトンネルがあることから、開業当初より電気運転が実施されることになった。このために、車両メーカーの汽車会社が、電機メーカーの芝浦製作所と組んで製作したのが、60ED形電気機関車 E601である。名前の通り運転整備重量は60tで、車軸配置はD形(B-B)である。登場時の記号番号はE600で、後年になり改番されている。

  • 製造所:  汽車会社 (電機部分は芝浦製作所、のちの東芝)
  • 製造年月: 1929年(昭和4年)3月
             (1930年6月使用開始)
  • 運転整備重量: 60t
  • 車軸配置: B-B
  • 最大長:  11,850mm
  • 最大幅:  2,600mm
  • 最大高:  4,110mm
  • 動輪径: 1,090mm
  • 主電動機出力: 149kW(200PS)×4個 (端子電圧300V)
  • 歯車比:  84:17
  • 引張力:  15,000kg
  • 定格速度: 24km/h
  • 使用電圧: 直流600V
  • 制動装置: 空気ブレーキ、発電ブレーキ、手ブレーキ

Y製鐵所の車両は、運行開始時はねじ式連結器とバッファーを採用していた。このため、1930年に運行開始したくろがね線の機関車も、開業時から運行されているE601とE602の2両はバッファーを備えていた。連結器は、のちに自動連結器に改造された。

●私鉄・専用線の同系機

 東芝が汽車会社と組んでくろがね線向けに開発した機関車は、その後私鉄向けに量産されることになる。私鉄の貨物輸送では、くろがね線の機関車ほどの重量・牽引力は要求されないため、車体を小型化・軽軸重化した車両、いわゆる「東芝戦時型」と呼ばれるシリーズが開発されることになった。この機関車は好評で、海南島の日本窒素専用鉄道向け発注品の引き取り分も含めて、全国の私鉄に同系機が多数納入された。

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■M社専用鉄道の45t機No18。東芝戦時型40t機のルーツと言える存在。  2009年3月、宮浦

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■名古屋鉄道デキ600形603。名鉄に現存する東芝戦時型4両のうちの1両。  2010年11月15日、大江

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■伊豆箱根鉄道ED31形32号機。  2009年1月、三島

 2009年1月現在でも現役で活躍中の車両は、大牟田のM社専用鉄道(元・三井三池鉄道)の45t機No18・19と、名古屋鉄道デキ600形601~604、それに伊豆箱根鉄道ED31形32・33である。私鉄の車両はいずれも40t機である。

M社専用鉄道の45t機と名鉄のデキ600形は、登場時から現在まで同じ台車(板台枠+軸バネは重ね板バネ)を履いており、このタイプの機関車の原形を留めている。伊豆箱根鉄道のED31形は、西武鉄道所属時代から電車用の台車を履いており、足回りに面影はない

※西武31形として使用されていた電気機関車はこれまでに4両あり、このうち東芝によって製造された2両=初代31形33号と32号が、それぞれ現在の伊豆箱根鉄道ED31形32号と33号である。西武鉄道が自社工場で模倣製作した二代目のED31形32号は、のちに東芝製の31号と番号を交換して31号とされ、その後越後交通へ譲渡されED310形311号となっている。いっぽう31→32へと改番された東芝製32号は、遠州鉄道に譲渡されてED21形212号となっている。来歴がややこしいため、出版物の中にも混乱や誤りが見受けられるので注意が必要である。

このシリーズは、どの車両も同じ意匠で製作されているものの、納入先毎にいくつか寸法の異なるマイナーバージョンが存在する。例えばM社の45t機は、全長が12,050mmとなっており、標準的な40t機の全長11,050mmより1m長い。いっぽう車体幅は2,450mmで、ED31形の2,940mmやデキ600形の2,865mmよりも短い。これは、M社の車両が地方鉄道の車両限界にあわせて設計されているためであろう。車体幅の違いはおそらく上の写真でも判断いただけるものと思う。

【参考】

  • 杉田 肇「私鉄の電気機関車」、『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、1984年7月。
  • 松尾 輝夫「八幡製鉄の車両」、『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、1966年2月。
  • 牧原 弘・秦野 泰樹「専用線の電気機関車〈下〉」、『レイルマガジン』、企画室ネコ、1987年3月。
  • 『世界の鉄道’69』、朝日新聞社、1968年10月。
  • 寺田 裕一『私鉄機関車30年』、JTBキャンブックス、2005年12月初版。

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