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2009年11月16日 (月)

【くろがね線を読み解く】第61回■60ED形(E602)

 60ED形電気機関車 E602は、E601と共に1930年のくろがね線開業時から使用されていた電気機関車である。東芝製のE601とは異なりこちらは三菱製で、電機部分は三菱電機、機械部分は三菱造船所で製作された。

 基本設計は、同時期に三菱が製作していた私鉄向けの車両と同様、ウェスチングハウス社製電気機関車の流れを汲んでおり、凸型の車体形態や機器配置も同社製の機関車と同等である。乗務員用扉も運転台横の前面(1・4位側)に設けられている。ただし、60t機のため全長は長く大型で、車体側面の明かり窓は4つ、中央部にルーバーを備える。車軸配置はD形(B-B)で、台車は鋼板切抜き形の棒台枠、動輪径はE601より大きくなっている。登場時の記号番号はE601で、後年になり改番されている。

  • 製造所:  三菱造船所 (電機部分は三菱電機)
  • 製造年月: 1929年(昭和4年)3月 (1930年6月使用開始)
  • 製造番号: 30
  • 運転整備重量: 60t
  • 車軸配置: B-B
  • 最大長:  12,266mm
  • 最大幅:  2,600mm
  • 最大高:  4,122mm
  • 動輪径:  1,250mm
  • 主電動機出力:168kW(225PS)×4個 (端子電圧225V)
  • 歯車比:  80:18
  • 引張力:  15,000kg
  • 定格速度: 24km/h
  • 使用電圧: 直流600V
  • 制動装置: 空気ブレーキ、発電ブレーキ、手ブレーキ

 この機関車も、運行開始時はねじ式連結器とバッファーを採用していたが、のちに自動連結器に改造されている。

●私鉄・専用線の同系機

 三菱造船と三菱電機により同時期に製作された同型の電気機関車には、1927年(昭和2年)製の伊那電鉄デキ10(のちの岳南鉄道ED321)や、1927~29年製の三河鉄道10形12~14(のちの名古屋鉄道デキ303~305)、一畑電気鉄道1(現:名古屋鉄道デキ306)、大阪鉄道1001~1004(のちの近畿日本鉄道61~64)がある。これらの機関車の設計をほぼそのまま、車体と出力を大型化したのがE602である。

Chm_deki1 Chm_deki1_2

■秩父鉄道デキ1形1 2009年5月、三峰口

上に挙げた私鉄機[1]はいずれも小型の30tクラスの機関車なので、同型とはいえ60t機のE602とはボンネット形状も異なっている。むしろ、オリジナルのウェスチングハウス機である秩父鉄道デキ1の方が、実車のイメージには近い。

【脚注】

  1. これらの機関車のうち今でも現役なのは、名古屋鉄道デキ303・305・306の3両のみである。

【参考】

  • 杉田 肇「私鉄の電気機関車」、『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、1984年7月。
  • 松尾 輝夫「八幡製鉄の車両」、『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、1966年2月。
  • 牧原 弘・秦野 泰樹「専用線の電気機関車〈下〉」、『レイルマガジン』、企画室ネコ、1987年3月。
  • 『世界の鉄道’69』、朝日新聞社、1968年10月。
  • 寺田 裕一『私鉄機関車30年』、JTBキャンブックス、2005年12月初版。

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