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2010年1月 8日 (金)

【スイッチャー分類学】第3回■日車凸型BB

 前回、日車製のB型(2軸)スイッチャーについて簡単な分類を試みました。今回はその続編としてBB型(2軸ボギー)機関車を分類してみます。

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■写真1 日車製BB型DHLの試作機 鹿島鉄道DD901

 日車製のBB型ディーゼル機関車は、昭和30年に試作されたDL900(製番1766)が最初です(写真1)。この車両は、凸型センターキャブの54t液体式ディーゼル機関車で、神鋼造機DMF36S形エンジンを2基搭載し、液体変速機はDS1.2/1.35、駆動方式はロッド駆動でした。アウトサイドフレームと呼ばれる、カウンターウェイトが車輪の外側についている台車が特徴です。昭和32年6月には、試験のため国鉄に貸し出され、DD42 1と命名されて名古屋で活躍しました。試用は昭和33年3月に終了し、同年7月には常総筑波鉄道(のちの関東鉄道→鹿島鉄道)に売却されました。この車両は、関東鉄道・鹿島鉄道ではDD90 1と命名されて長らく活躍していましたので、こちらの時代の方が有名かもしれません。

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■写真2 関東鉄道DD502(水海道車両基地)

 いっぽう試作機としては、DL900を1エンジン化したスタイルの凸型セミセンターキャブの35t機が昭和31年に製作されました。エンジンはDMF36形で、液体変速機はDS1.2/1.35、同じくアウトサイドフレームのロッド駆動です。こちらはのちの関東鉄道DD50 2(写真2)で、エンジンとトルクコンバーターは換装されているものの、2009年現在でも稼動状態を維持しています。

この時期には、これらのデザインを流用してL型エンドキャブのB型・C型の機関車も製作され、こちらはまとまった数が量産されました。しかし残念ながら凸型のBBについては、製鉄所向けに設計変更した数両が製作されたのみで、量産されることはありませんでした。BB型の規格型は、昭和37年から製作されています

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■写真3 高岡鉄道産業の35t機D352(高岡貨物)

 規格型の最初のものは、凸型・1エンジン・セミセンターキャブスタイルの35t機でした(写真3)1エンド側にエンジンと液体変速機が搭載され、2エンド側は燃料タンクの構成です。エンジンは神鋼造機DMH17系、液体変速機は神鋼造機TC2.5系か新潟コンバーターDF115系を採用しています。したがって系譜上は、DMF31系を採用しているBB型の子孫ではなく、B型・C型スイッチャーを大型化・2軸ボギー化したものです。

 このタイプはもともと、北九州にあるN社Y製鐵所の構内輸送用機関車として、昭和37~39年にかけて開発・量産された車両です(→こちらを参照)。製鉄所の機関車は、高炉付近など高熱で苛酷な環境での使用に耐えられるよう、前後端面に遮熱板を装備するため、ラジエーターはボンネット側面に設けられています。使い勝手が良かったようで、特殊装備を省略のうえ、一般専用線向けにも量産されました。2009年現在ではかなり数を減らしていますが、まだ何箇所かの専用線で現役です。

 その後、45t以上の規格型大型スイッチャーが製作されるようになったのは、昭和45年のことです。

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■写真4 T社F工場Y出荷センター専用線の45t機(四日市) ■写真5 J社M営業所専用線の45t機(南松本)

 2009年現在もセメント輸送に活躍する、T社のスイッチャー「OD451」は、昭和45年に製作された日車製BB規格型大型スイッチャーの第1号機です(写真4)。これもやはり凸型・1エンジン・セミセンターキャブという共通の特徴を持っています。昭和40年代後半以降、この車両をベースにした規格型が、全国の専用線や製鉄所向けに量産されています(写真5)

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■写真6 日本車輌製造豊川製作所専用線の35t機   ■写真7 A社N工場専用線の35t機(南延岡)

 昭和49年からは、45t機に類似した車体を持ちながら若干小型化された35t機も量産され、45t機と双璧を成す一大勢力になりました(写真6、7)

 これら規格型は、日車特有の角ばった車体デザインが特徴で、サイズ(自重)は35t、45t、50t、60tなどのバリエーションがあります。60t以上のものはほとんどが製鉄所向けで、形態も機種毎に細部が異なっておりややオーダーメイドに近くなっています(写真8)

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■写真8 N社Y製鐵所の60t機(北九州市)

総じて、日車の産業用機関車はそのほとんどが1エンジン機であることが大きな特徴です。試作機を除くと、2エンジン機が製作されたことは非常に稀で、DD13形など国鉄向けの機関車や、私鉄・臨海鉄道向けの同型車の一部にとどまっています。

●キャブの特徴

 規格型は凸型セミセンターキャブスタイルが標準で、窓は前後とも2枚ずつ、乗降扉は側面に設けられています。また、入換時の視界確保のため、窓の下のボンネット近くに明かり窓があいていたり(写真3、8)、窓の端の部分だけが下に向かって直角に拡大されていたりする(写真3、4)のも、日車共通の特徴です。

●ボンネットの特徴

 昭和30年代後半~40年代前半に製作された初期の35t機は、製鉄所向けの車両をルーツとすることから、ラジエーターは側面に設けられています(写真3)。昭和45年以降に量産された45t以上の大型機も、一貫してサイドラジエーターです(写真4、5、8)。もっともこの時期は既に、国鉄DD13形も冷却機構の見直しでラジエーターを前面から側面に移していた時代ですので、製鉄所への展開を念頭においた設計なのかどうかはわかりません。ただし、昭和49年以降の新しい35t機は、専用線向けと割り切ったのかフロントラジエーターに戻っており、注目に値します(写真6、7)

 ボンネット側面には点検蓋が設けられていますが、その枚数にも共通点があります。初期の35t機は、1エンド側6枚・2エンド側6枚の配置です(写真3)。しかし昭和45年以降の35、45、50t機はすべて1エンド側8枚・2エンド側3枚の配置で共通です(写真4~6)。ただし機種によっては、ボンネットの最もキャブ寄りに空気清浄機用ルーバーが設置されていて、本来その位置にあるはずの点検蓋1組(2枚)が省略されていたり、逆に1枚多いものもありますので(写真7)、枚数だけにとらわれずあくまでもスペースで考えてください。
60t以上の大型機は製鉄所向けで、点検蓋の形状や配置は機種毎に異なる(納入先の要望に応じて作り分けられる)ため、分類は割愛します。

●走り装置の特徴

 規格型は、登場時からギア駆動のもののみが製作され、私の知る限りロッド駆動は存在しません。台車は、初期のものは板台枠軸バネは重ね板バネですが(写真3)、昭和45年以降のものは貨車のような鋳鋼製台枠が採用されて枕バネはコイルになっています(写真4~6、8)。昭和50~55年頃モデルチェンジが行われ、以降は組立台枠+固定枕梁軸バネはコイルになっています(写真7)

●エンジン・液体変速機・装備面の特徴

 45t以上の大型機のエンジンは、基本的に国鉄のディーゼル機関車DD13形に採用された神鋼造機DMF31系のものが一貫して採用されています。製鉄所向けの車両は、車体が箱型だったり、運転室が無かったりして外観はさまざまですが、エンジンに関しては基本的に同じです。強いて言えば、パワートランスミッションやインタークーラーの有無で出力に若干のバリエーションがあるだけです。いっぽう初期の35t機はDMH17S、昭和49年以降登場の新しい35t機は小松のエンジンを適宜物色する感じで、機種ごとに異なっているのが特徴です。

 45t以上の大型機の液体変速機は、国鉄DD13形や私鉄のディーゼル機関車同様、神鋼造機DS1.2/1.35か、新潟コンバーターDB138系のいずれかが採用されています。これに対して35t機は、神鋼造機TC2.5系もしくは新潟コンバーターDF115系、およびその後継製品が採用されています。なお製鉄所向けの大型機については、カミンズなど海外由来のものに切り替えたり、液体式をやめて機械式に変更するなど、各種工夫がみられます。

【参考】

  • 『日車の車輌史・図面集』<戦後産業車両 輸出車両編>、鉄道史資料保存会編、日本車輌鉄道同好部、1999年。
  • 土岐 實光「戦後の入換用ディーゼル機関車とDD13形」『鉄道ピクトリアル』電気車研究会、2007年12月。

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