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2010年1月 5日 (火)

【スイッチャー分類学】第2回■日車L型・凸型B

 日本各地で活躍中のスイッチャーのうち最大派閥を成すのは、日本車両製造製の2軸機です。下のような形の車両は、専用線に興味の無い方でもよくご覧になったことがあると思います。

Nssg25bb  

■写真1 製紙メーカーN社F工場の専用線で活躍する日車製25t機。ワム80000を牽引して富士駅へ向かう。

このタイプの規格型車両は、メーカー型式では「DBG25」と呼ばれています。頭のDは動力方式(ディーゼル「diesel」機関車のD)を表し、Bは車軸配置(2軸)、Gは駆動方式(歯車「gear」のG)、数字2桁は自重と思われます。

 日車製のディーゼル機関車が初めて登場したのは昭和30年のことです。昭和31年から製作された10~20tクラスの小型のものは入換専用のスイッチャーでした。昭和30年代まではロッド駆動方式のものも製作されていたようですが、昭和39年から上の機種に代表されるような規格型の量産が始まりました。

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■写真2 吉原のN社F工場専用線の15t機(手前) ■写真3 浮島町のJ社メンテナンスセンター専用線の15t機

Nslg25bb Nslg25bc  

■写真4 安中のT社A精錬所専用線の25t機      ■写真5 西上田のO社U営業所の25t機

これら規格型は、日車特有の角ばった共通デザインを採用しており、サイズ(自重)は10~25tまで5t刻みでバリエーションがあります。生産コスト削減と納期短縮のため、受注生産ではなく、同じ図面を流用して10両程度の単位でまとめて製作する手法がとられたことから、金太郎飴のように同じ形の車両が日本中に大増殖することになりました。

●キャブの特徴

 規格型の標準スタイルは、キャブ前面の窓が4枚で、そのうち1枚が乗降扉を兼ねているものです(写真1~4)。10t機は例外的に3枚窓で、乗降扉は側面にあります。10~20t機はL型エンドキャブ、25t機は凸型セミセンターキャブのスタイルです。ただし昭和46年頃から25t機もL型エンドキャブに変更されました(写真4)。昭和56年頃からは、15~25t機は車体寸法が共通化され、ラジエーターの面積など細部の違いを除いて、ほとんど同じ形に統一されました。またこのときから、それまで前面に設けられていた乗降扉が側面に移り、4枚に分割されていた前面窓が35t機同様の2枚窓に変更されました(写真5)

●ボンネットの特徴

 L型エンドキャブ、凸型セミセンターキャブいずれのタイプも、1エンド側ボンネット内にエンジンを格納しています。凸型セミセンターキャブの2エンド側には燃料タンクなどがあるようです。ラジエーターは1エンド側ボンネット前面に設けられています。側面には点検蓋が設けられ、その枚数により機体のバリエーションを知ることができます点検蓋の枚数は、10t機は4枚、15~20t機は6枚となっています(写真2、3)25t機は、L型エンドキャブのものは6枚(写真4、5)、凸型セミセンターキャブのものは1エンド側6枚・2エンド側2枚です(写真1)。15t機(写真3)と、4枚窓のL型25t機(写真4)は形態が酷似していますが、25t機の方がボンネットも車軸間距離も長くなっています。

●走り装置の特徴

 この規格型は登場時からギア駆動ないしチェーン駆動のもののみが製作され、私の知る限りロッド駆動は存在しません。初期のものは軸バネに重ね板バネが使用されていました(写真1~4)が、昭和49年頃のモデルチェンジの際にコイルバネに変更されています(写真5)

●エンジン・液体変速機・装備面の特徴

 エンジンは、基本的に国鉄のディーゼルカー制式の神鋼造機DMH17のものか、もしくは日野の自動車用汎用エンジンDA59系/DK10系が採用されています。

 液体変速機は、私鉄のディーゼル機関車同様、神鋼造機TC2系か、新潟コンバーターDF115系のいずれかが採用されています。

●記号番号

 これは、メーカーに拠らず言えることなのですが、各使用者がスイッチャーに付与している記号番号は、「DB1501」「DB256」などのように、D+車軸配置+運転整備重量+車番であることが多いようです。ただし、JRや私鉄など一般の鉄道事業者のように、付番ルールが各社内で明確に規定されているわけではありませんので、すべてのスイッチャーがこのルール通りの付番になっているわけではありません。例えばY製鐵所の日車製スイッチャー「D622」は、62t機の2号機ではなく、60t機の22号機です。かような事情もあるので、例えばDB256を「DB25形」と呼称するのは、あまり適切ではないでしょう。記号番号をそのまま読むか、もしくはメーカー型式で呼ぶのが妥当です。

【参考】

  • 『日車の車輌史・図面集』<戦後産業車両 輸出車両編>、鉄道史資料保存会編、日本車輌鉄道同好部、1999年。
  • 日本車輌製造(株)鉄道同好部「100周年を迎える日本車輌製造(株)」、『鉄道ピクトリアル』電気車研究会、1996年1月。

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