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2010年1月18日 (月)

【スイッチャー分類学】第4回■日立L型

 さて次のターゲットは、日車と共に産業用機関車メーカーの双璧を成す日立製作所のスイッチャーです。日立のスイッチャーの特徴は、L型・凸型ともに洗練された共通の意匠で製作されていることで、キャブやボンネットなどに一目で日立製と分かるポイントがあります。今回はL型エンドキャブの車両を分類します。

 日立製作所の初期のディーゼル機関車は、昭和30年代前半に製鉄所や専用線向けにまとまった数がリリースされています。しかしこれらを規格型と呼べるかというと、正直微妙なところです。一応この時期の車両には、L型機・凸型機ともにキャブやボンネットの形態に共通の特徴があり、人によってはこれを規格型として分類する方もおいでかと思います。私の印象では、車体の形態が納入先毎に結構異なっているので、「規格型の登場」というよりも、「各種オーダーメイド機がまとまった数量産された」と位置づけています。

この時期のグループで比較的最近まで活躍していた車両は、鶴見線扇町のS社K工場専用線で稼動していたC形ロッド駆動25t機「DC-2」などが代表的でしょうか。いずれにしろ現存しませんので、分類の主旨からは外れることになります。本格的なレディメイド機は昭和30年代中頃に登場します。

Htlr15b_old Hk_htcr15b

■写真1 15tロッド駆動初期型(足尾)       ■写真2 15tロッド駆動後期型(下松)

Nt_htcg25b Kk_htcg25b  

■写真3 25t機丸屋根タイプ(速星)          ■写真4 25t機平面構成屋根タイプ(鵜殿)

 L型の規格型は、10tから25tまで5t刻みでバリエーションがあります。20t、25t機の車体は共通で、外観では区別がつきません。

●キャブの特徴

 窓は前後とも2枚で、窓間に煙突が設けられているのが標準形態です。10t機や初期の15t機(写真1)は窓間に煙突がなく、2枚の窓が中央に寄っています。乗降扉は側面に設けられており、10~15t機は3・4位側(2エンド側)に寄せられている(写真1、2)一方、20t以上のものは1・4位側に点対称に配置されています(写真3、4を比較のこと)

 屋根は、初期のものは緩やかな曲線を描いた丸屋根(写真1~3)ですが、昭和47年前後からいわゆる台形屋根(平面構成の屋根)に変更されました(写真4、5)。また一部には、工場設備の制約により扁平屋根に改造されたものもあります。

 煙突は、キャブ前面窓間に設けられているのが標準ですが、一部は納入先にあわせた設計変更ないし改造により、ボンネット上やラジエーターの横に設けられています(写真4)

●ボンネットの特徴

 箱型ながらも角に丸みをもたせたデザインが特徴です。ラジエーターは前面端部に設けられており、初期のものは目の細かい横スリット(写真1)後期のものは目の粗い縦スリット(写真2、4、5)です。初期の横スリットのものは切妻スタイルが標準なのに対し、後期の縦スリットのものは折妻が主流になっています。

 ボンネット側面の点検蓋の枚数は、大きさ(自重)ごとに異なるため、車両を見分けるポイントになっています。

  • 10t機       … 3枚
  • 15t機(初期型) … 5枚
  • 15t機(後期型) … 4枚
  • 20t、25t機   … 6枚

 側面の通気口は長方形のグリル(金網)になっていることが多く、点検蓋より上に配置されているのが標準です。後期の車両では省略されているものもあります(写真2~5)

Htlg25b_yakejima_2 

■写真5 H社N工場専用線のL型25t機。
 前面のラジエーターは縦スリット折妻タイプで、後期の車両であることが分かる。 (焼島)

●走り装置の特徴

 日立の規格型の駆動方式は、10t機はチェーン駆動、15機はすべてロッド駆動です。15t機の初期型は、カウンターウェイトが車輪の外側にある(アウトサイドフレーム)タイプです(写真1)。20~25t機のB型機は、すべてのタイプに歯車駆動とロッド駆動両方の機体が存在します。ギア駆動のものは昭和30年代から存在する一方、ロッド駆動のものも昭和50年代まで製作され続けています。したがって、こと日立製のスイッチャーに関しては、「ロッド=古い」という図式は成り立ちません。25t機にはC型(3軸)のものもあり、こちらはすべてロッド駆動になっています。

 足回りは、初期のものは軸バネに重ね板バネが使用されていましたが、昭和47年前後のモデルチェンジの際にコイルバネに変更されています(写真4、5)。 

●エンジン・液体変速機・装備面の特徴

 エンジンは、基本的に国鉄のディーゼルカー制式の神鋼造機DMH17のものが使用されています。ただし一部は日立製のエンジンです。

 液体変速機は、私鉄のディーゼル機関車同様、神鋼造機TC2系か、新潟コンバーターDF115系のいずれかが採用されています。ただし日立製のエンジンを搭載している車両は、液体変速機も日立製であることが多いようです。

【参考】

  • 「日本の私鉄会社専用線内燃機関車諸元表」『世界の鉄道’70』朝日新聞社、1969年。

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 B.日立のスイッチャー」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。

非常に濃厚な内容で、すばらしいブログで勉強になります。
ところで質問ですが日立製エンジンとは日立のOEM(エンジンメーカーからの購入品)との
理解でよろしいのでしょうか?
日立造船のエンジンでは機関車に搭載できるサイズは無いような気がしますもので。

投稿: 鹿島田 みゆき | 2011年5月 8日 (日) 18:23

鹿島田みゆきさん
はじめまして
コメントありがとうございます。

早速ですがエンジンについてのご質問にお答えします。
日立のスイッチャーに日立製のエンジンが用いられている件につきましては、本文の通り参考文献「世界の鉄道」に記載されております。型式は様々ですが、2軸スイッチャーについてはV4V14/14Tという型式が多いようです。
私の知る限り、この型式はMAN社製のエンジンのものですので、日立がMAN社から技術供与を受けて製造したものと理解していますが、どうなのでしょうか。
日立製のエンジンを搭載していたスイッチャーが製造された昭和30年代は、国鉄でもDF50形500番台に代表されるように、日立がMAN社からライセンス供与を受けて製造したエンジンを搭載している機関車がありますので、私自身あまり疑問には思わなかったのですが…。

「日立造船のエンジンでは機関車に搭載できるサイズは無い」というのは、残念ながら私には良く分かりません。世界の鉄道には、日立造船のエンジンという記載はありませんが…。

投稿: 社長 | 2011年5月 9日 (月) 01:07

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