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2010年2月 3日 (水)

【スイッチャー分類学】第6回■日立凸型1エンジンBB

 2エンジン機の特徴について述べた前回に引き続き、今回は1エンジン機をとりあげます。1エンジン機は、キャブや足回りなどについては2エンジン機と同じ特徴を持っていますが、1エンジンのため車体は前後非対称で、センターキャブながら1エンド側のボンネットが若干長くなっています。1エンド側にエンジンを格納し、2エンド側にラジエーターと燃料タンクという構成です。

また1エンジン機は、主たる活躍の場が製鉄所であるという点も大きな特徴です。35tクラスには専用線で活躍したものも多いのですが、45t以上は製鉄所向けの方が多く、専用線で活躍しているものも製鉄所から譲渡された車両が多くなっています。

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■写真1 C社U工場専用線の35t機(宇部岬)    ■写真2 K社の45t機(兵庫県)

 1エンジンBB型は、35tから5t刻みで上は80tまでバリエーションがあるようです。「あるようです」と曖昧になるのは、製鉄所向けの機関車が多く調査が行き届いていないためです。また製鉄所の機関車は、死重を積んで自重を嵩増ししているものもあるため、分類上は45t機でも、必ずしも実際の自重が45tとは限りません。あくまでも「45tタイプ」とご理解ください。

専用線向けは35t機がポピュラーです(写真1)。45t以上はほとんどが製鉄所向けです。かつては、平成筑豊鉄道金田駅から分岐するM社T工場専用鉄道でセメント輸送に活躍していた50t機や、北野桝塚の大手自動車メーカーT社専用線で稼動していた60t機がありましたが、これらは数少ない専用線向けの重量機です。注目なのは、水島臨海鉄道の50t機D501、D506で、民営鉄道向けに納入された1エンジン機で今でも現役なのは、この2両だけです(写真3、4)

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■写真3 水島臨海鉄道の50t機D506(非公式側)  ■写真4 同型車のD501(公式側)

●キャブの特徴

 窓や乗降扉・屋根については、2エンジン機と同じ特徴を持っています。乗降扉は1・4位側に点対称に配置されており、煙突は1エンド側のみです(写真1~4)昭和47年前後から、丸屋根が平面構成の台形屋根に設計変更されたのも、2エンジン機と同じです(写真5、6)

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■写真5 N社I工場専用線の45t機 (岩国)      ■写真6 N社の45t機(北九州市)

●ボンネットの特徴

 ここが1エンジン機の特徴がもっともよく出る部分で、2エンジン機との決定的な相違点は、ラジエーターです。2エンジン機の場合、ラジエーターの放熱器素はボンネット端部(妻面)にあり、内蔵ファンにより妻面の開口部から吸気された空気で冷却されます。これに対し1エンジン機の放熱器素はボンネット両側面にあり、側面から吸気してボンネット上部のファンから排熱します。この仕様変更は、ちょうど国鉄DD13形の初期のものと111号機以降の関係によく似ています。111号機以降は、冷却機構の見直しによりラジエーターが前面から側面へと移りましたが、構造的にはこれと同じ変更と思われます。

1エンジン機が側面ラジエーターになっている背景には、製鉄所での使用を意識していることがあると思います。製鉄所構内では、高熱を発する銑鉄輸送専用貨車(=混銑車、トーピードカー)や、灼熱の溶けた金属化合物(溶滓・鋼滓)を積んだ鍋台車を連結して輸送する必要があります。このため、これらの貨車の連結面となる妻側に冷却機構がある構造は、排熱処理上も好ましくないと思われます (昭和30年代には、当時まだエンジン出力が小さかったこともあり2エンジン機が製鐵所で採用されていましたが、それも過去のことです)

1エンジン機は、ラジエーターカバーの形状が自重により異なっていて、見分けるポイントになっています

  • 35tクラス … 「日」の字型の上下2分割タイプ(写真1)
  • 45t以上 … 「目」の字型の上下3分割タイプ

ただし45t以上の一部機種には、さらに細かく上下4分割のものや、一体カバーのもの(写真2~4)などがあります。昭和40年代後半以降の新しい機種になると、上下2分割をさらに左右でも2分割した「田」の字型4分割タイプ(写真5、6)や、6分割タイプがあります。「田」の字型4分割や6分割タイプは、すべて45tクラス以上の車両です。

ボンネットのラジエーターの配置にもバリエーションがあり、端部寄り(写真2)キャブ寄り(写真5、6)、その中間(写真1、3、4)の3パターンが確認できています。端部寄りのものは製鉄所向けが多いようです。

●走り装置の特徴

 1エンジン機も、35tクラスのものに関しては、2エンジン機同様に歯車駆動の機体とロッド駆動の機体が並行して製作されました。しかし45tクラス以上のものになると、ロッド駆動は非常に稀です。私の知っているのは、岩手県釜石市にあるN社K製鐵所で、国鉄駅と製鉄所の間で石灰石を積んだホキ車の入換に使用されていた45t機DD451、452 だけです。

台車は、昭和30~40年代前半頃までの初期のものは板台枠に軸バネは重ね板バネ(写真1)ですが、その後モデルチェンジされて、貨車のような鋳鋼製台枠に枕バネはコイル(写真2~4)になりました。さらに昭和40年代末頃からは、組立台枠に固定枕梁、軸バネはコイル(写真5、6)となっています。

●エンジン・液体変速機・装備面の特徴

 エンジンは、35tクラスの一部の車両を除き、基本的に国鉄のディーゼル機関車に採用された神鋼造機・新潟鉄工のものを1台搭載しています。

  • 35tクラス … DMH17S(SB) (Sは過給器付を表す)
  • 45t以上 … DMF31S(SB) (国鉄DD13形と同型)

 液体変速機は、次の通りです。

  • DMH17系向け … 神鋼造機TC2.5系 または 新潟コンバーターDF115系
  • DMF31系向け … 神鋼造機DS1.2/1.35 または 新潟コンバーターDB138系

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