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2010年2月16日 (火)

◆専用線入門◆スイッチャーの動きを先読みする

 専用線のスイッチャーの動き方には、ある程度規則性があります。この規則性、既にあちこちの専用線を観察してきた方にとっては、いわば暗黙知となっている部分です。「専用線を読み解く」からには、須らく「暗黙知」は「形式知」に変えるべきだと考えています。ですのでこの記事では、スイッチャーの動きをより一般化した形で整理します。あらかじめ整理しておくことで、未知の専用線を訪問した際も、またJRのダイヤ改正で貨物列車の発着時刻が変わった場合も、慌てることなく事前に動きを把握することができます。

 スイッチャーは、荷主が貨車の荷役・発送・到着などのために業務上必要があって動かされています。動かすためは、燃料人手保守メンテナンスのためにコストと時間がかかります。ですから、基本的に無駄な動きはありません。貨車を連結せずに単機で行ったり来たりするなど、一見無意味な動きでも、大抵の場合は、錆取り、慣らし運転、除雪、乗務員訓練など、必要があっての動きです。ですから、スイッチャーが動くところを捉えたい場合は、「なぜその日・その時刻にその動きが必要なのか」という視点を持つことが重要になってきます。以下、オザミ工場を例に説明します。

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上図をベースにすると、スイッチャーの動きは次のように分類することができます。(入換の名称はあくまでも便宜上のもので、正式なものではありません)

●製品を発送する拠点の場合(主に工場)

A.積車発送時の入換

  1. 貨車貯留線から空の貨車を引き出して、荷役線に据え付けるための入換(荷役前入換
  2. 1本の貨車編成を荷役中に移動する入換(荷役中入換
  3. 荷役の完了した貨車を着発線に移動するための入換(発前入換
  4. 着発線の貨車編成を、最寄の貨物駅の授受線まで引き出すための入換(駅授受入換

B.空車到着時の入換

  1. 最寄の貨物駅の授受線に到着した貨車編成を、工場内にある着発線まで引き込むための入換(駅授受入換
  2. 着発線の貨車を、貨車貯留線へ移動するための入換(着後入換

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■工程A4 駅授受入換のため、油槽所から貨車を引き出すスイッチャー 2009年11月、塩浜

Aの積車発送時の入換で、荷役ホームが短いなど、一度に荷役できる貨車の両数に制約がある場合は、A1~A3をループ処理で何度も行う場合があります。逆に制約がない(一度で荷役が完了する)場合は、A2は省略されます。また、駅から分岐する専用線の終端がそのまま荷役線になっているようなところで、貨車の編成が短い場合は、A1~A3がすべて省略されることもあります。Bの空車到着時の入換で、駅授受を終えて工場到着後に機回しの必要がない場合は、B1~B2を一度にまとめて行ってしまう場合もあります。

これらの入換作業は、A1→A2→A3→…と単純に上から下に向かって順次実行されることもありますが、大抵の専用線では、同時に行われます。例えば、空の貨車と荷を積んだ貨車を連結して、A1(荷役前入換)とA3(荷役後入換)を同時にやったり、B2とA1を同時に実施する(到着した空車を直接荷役線に移す)パターンもあります。

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■工程B2 駅から着発線に到着した空のコンテナを、貨車貯留線へ移動するスイッチャー。
       着発線は行き止まりのため、駅からコキ車を牽引した最奥のスイッチャーは、
       コキ車と共にプッシュプルで引き出される。  2010年2月、伯耆大山(許可を得て撮影)

駅と拠点の往復(駅授受入換)も同様で、A4・B1単独パターン(拠点から貨車を伴って駅に出て行き単機で戻ってくる、単機で駅に出て行き貨車を伴って戻ってくるケース)と、A4・B1一体パターン(往復ともに貨車を伴っているケース)があります。上の塩浜の写真は、A4・B1一体パターンで入換を行っているところを捕らえたものです。また同じ専用線でも、荷の量(貨車の編成長)や種類によって異なる動きを見せる場合があります。

なお、上の説明は貨車で製品を発送するケースを考えています。したがって、倉庫や油槽所・出荷基地などストックポイントの専用線や、製品の納入先(需要家)の専用線は、製品を受け入れる側になりますので積空が逆になり、入換手順も若干変わります。

●製品が到着する拠点の場合(ストックポイントや需要家)

C.積車到着時の入換

  1. 最寄の貨物駅の授受線に到着した貨車編成を、工場内にある着発線まで引き込むための入換(駅授受入換
  2. 着発線の貨車を、荷役線に据え付けるための入換(荷役前入換
  3. 貨車を荷役中に移動する入換(荷役中入換
  4. 荷役の完了した貨車を貨車貯留線に移動するための入換(荷役後入換

D.空車発送時の入換

  1. 貨車貯留線の空の貨車を、着発線に移動するための入換(発前入換
  2. 着発線の貨車編成を、最寄の貨物駅の授受線まで引き出すための入換(駅授受入換

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■工程C1 到着した酸化エチレンを積んだコキ車を工場(ストックポイント)内へ移動するスイッチャー。
       数十メートル後ろを、塩浜に戻るDD51形重連が後追い。   2009年11月、塩浜

C1~C4、D1~D2については、それぞれA1~A4、B1~B2の事情がそのまま当てはまります。これらの一連のプロセスは一見複雑に見えますが、スイッチャーの移動距離を最適化するための工夫と考えられます。移動距離を少なくすれば、燃料費や作業時間が圧縮できますので、コスト削減に繋がります。

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■工程D1 空のタキ車を貨車貯留線から着発線へ移動するスイッチャー 2009年1月、村井

むかし、「倉庫番」というパソコンゲームがありました。このゲームの主人公のミッションは、倉庫内に散らばったブロック状の荷物を所定の位置に移動するというものです。主人公は、荷物1個を押すことはできますが、2個以上を同時に押したり、逆に引っ張ることはできません。そのような制約の中、最小の移動距離ですべての荷物を所定の位置に移動できるかどうかが課題になります。専用線でのスイッチャーの動きは、このゲームの戦略を彷彿とさせます。

さて、今回の記事で動き方を一通り分類しましたので、次回はそのナレッジを撮影にどう生かすか、の話。

※スイッチャーの撮影時刻を把握する方法については、鉄道ピクトリアル2011年3月号に記事を掲載させていただきました。続きは雑誌記事にてお楽しみください。

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