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2010年4月21日 (水)

【防爆仕様のスイッチャー】その構造と分類(解説編)

Shiohamano10_11

■石油メーカーS社専用線のスイッチャーNo11、No10。
 日立の規格型をベースに、防爆仕様にアレンジされたスイッチャー。 2010年4月13日、塩浜

 専用線などで活躍するスイッチャーを撮影していくなかで、ふと思うことがあります。それは、これほどまでに車両の個体や形態に注目が集まりながら、車両研究の進んでいない分野は他に無いのではないか、ということです。例えば、JRであれ民営の鉄道であれ、あるいは海外の鉄道であれ、鉄道趣味者の中には、車両のメカニックな部分に着目する方が必ずいるもので、各分野での車両研究も相当進んでいるように思います。しかしスイッチャーに関してはどうでしょうか。

 もちろん、資料が無いわけではありません。寸法や装備などの諸元データについては、朝日新聞社「世界の鉄道」の1969年版・1970年版で一通り網羅されています。データが古いことを除けば、この分野の資料としては最も重宝するものです。また、専用線・スイッチャー研究界の大御所・岩堀春夫氏の投稿記事も、忘れるわけにはいきません。岩堀氏は、1980年代には鉄道ファンの連載「専用線の機関車」に、また1990年代以降はないねん出版「鉄道番外録」に、スイッチャーの解説記事を掲載しています。鉄道ファンの連載は、撮影記録と車両解説が中心で、なかなか読み応えがあります。いっぽう番外録の方は、あくまでも豊富な写真とないねんリスト(機関車の車番・製番情報も含めた車両一覧)がキラーコンテンツとなっています。これは、「いつどこに配置されていたスイッチャーが、次はどこに転属した」といった、いわゆる「動静情報」を把握するには都合がいいのですが、車両そのものの仕組みに関してはほとんど情報が得られません。車両研究派の私にとっては、やや不満の残る内容です。

 分からないことは自分で調べてみるしかない、というわけで、今回のテーマは、あまり取り上げられることの無い「防爆仕様のスイッチャー」です。この段階でつまらないと思われた方は、他のページへどうぞ(笑)。所詮、隙間ネタを狙う当ブログのことですので。

●防爆とは?

 そもそも、このテーマで鉄道趣味誌に解説記事が載ることがありませんね(苦笑)。「防爆」とは、読んで字の如く「爆発」を「防ぐ」ことです。石油化学コンビナートや鉱山など、爆発する可能性のある物質を取り扱う場所では、安全面への配慮から、設備や機械の設置方法・構造・取扱方法などに対し、様々な規制がかけられています。主な根拠法令は、高圧ガス取締法、鉱山保安法、労働安全衛生法、火薬類取締法などです。これに加え、各事業者が独自に基準を設けているケースもあるようです。私の友人の一人は、大手石油メーカーで営業職に就いており、入社後2~3年間は神奈川県内某所の石油化学工場に勤務していました。以前聞いたことがあるのは、工場構内で使用する自転車のヘッドライトがすべて取り外されている、というエピソードです。フィラメントに引火の危険があるという判断なのでしょう。まあこれは極端な事例だとは思いますが。

●スイッチャーの防爆構造

 鉄道車両で防爆構造が要求されるものは、主に石油メーカーや化学工場に引き込まれた専用線で、貨車の入換に従事する機関車(スイッチャー)が中心です。電気機関車の防爆形は、(集電装置と架線の間で発生するスパークを嫌うため)自ずと蓄電池で駆動する機関車になります。蒸気機関車の防爆形は、外部から供給した蒸気で駆動する無火機関車です。いっぽうディーゼル機関車の防爆形は、基本的に排気に含まれる火の粉を除去するだけですので、ELやSLほどの特徴はありません。火の粉の除去方法には、次の3種類があります。

  • 金網
  • スパレスター
  • 水槽

最初の金網は、最も構造が単純かつ低コストで取り付け可能なものです。現役のスイッチャーにもまだ多く見られます。エンジンの排気に含まれる火の粉を、煙突の先端に取り付けた金網で捕捉するというシンプルなものです。火の粉の飛散防止という意味では、SLの煙突についている「回転式火の粉止め」と似たような役割を果たします。

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■化学メーカーA社専用線のスイッチャーD35-1。煙突の先には金網を取り付けている。 2009年6月、南延岡

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■上のD35-1と同型の、製紙メーカーN社専用鉄道のスイッチャーD35-2。
 
防爆の必要が無いため、煙突の先端に金網は無し。     2009年1月、石巻港

二番目のスパレスターは、煙突の先端もしくは途中に溶接して取り付ける、円筒形の専用装置です。見た目の形状から、よくマフラーと間違われますが、マフラー(消音装置)ではありません。エンジンからの排気は、装置内部で螺旋状の気流となり、遠心力で火の粉が除去される仕組みです。日本国内では、福原愛のCMで有名な?株式会社サンダイヤが、シェアの9割以上を占めているようです。鉄道車両のみならず、自動車や船舶にも広く利用されています。

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■石油メーカーC社専用線の12号機。煙突にはスパレスターを装備。   2010年3月、四日市

三番目の水槽は最も安全な装置です。排気を水の中に通すことで、完全な火消しが実現します。残念なのは、排気処理用の水槽が外部から確認できないことが多いということです。観察するだけでは防爆仕様なのかどうか分かりにくいのが難点です。これも、その形状から燃料タンクとよく間違われます。

(つづく)

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