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2010年6月 1日 (火)

★京急ファミリー鉄道フェスタ★保線車両とデト17・18の入換

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■イベントで展示された車両。左の1000形には記念ヘッドマークも掲出。   2010年5月30日(日)

 京浜急行電鉄の車両工場「京急ファインテック久里浜事業所」では、毎年ファミリー向けの公開イベントが開催されています。ここ数年、なぜか天気に恵まれないことが多く足が遠のいていたのですが、今年はある目的のために訪問することにしました。時期的に、引退間近の1000形目当てのファンが多かったと思われますが、私には別の狙いがありました。それは、最近大規模な改造工事が施されたらしい、資材輸送用の事業用車「デト17・18」の走行シーンを捕らえることです。

●保線車両雑感

 とはいえ、せっかく来たのにデトだけ撮影して帰るのはもったいないので、まずは保線車両の展示スペースを訪れてみました。

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■プラッサー&トイラー社製マルティプル・タイタンパ 08-16U型

マルタイやモーターカーなどが所狭しと展示されています。車両の周辺には担当者が張り付いていますので、疑問点があれば何でも聞くことができます。車両研究派には大変ありがたいサービス。モーターカーはすべて、新潟の保線機器メーカー「松山重車輌工業」製のもので統一されているのが印象的です。一方マルタイは相変わらず外国製です。マルタイに関する基本的なことについては…

P_t_0816u_in_detail

パネル説明を直接ご覧いただく方が賢明ですね。ここから先は、上の説明には無いメーカーズプレートについての解説を試みます。

P_t_0816u_makersplate
■マルタイ 08-16U のメーカーズプレート

まずプレート上部には、軌道をデザイン化した社紋らしきロゴがあり、

プラッサー・ウント・トイラー
エクスポルト・フォン・バーンバウマシーネン

と記載されています。オーストリアの保線機器メーカー「プラッサー&トイラー」の正式名称です。直訳すると、「プラッサー&トイラー 鉄道産業機械の輸出」、そのまんまですね(苦笑) 会社名としては、この後に「GmbH」が付いたものが正式な社名になります。「GmbH」は「Gesellschaft mit beschraenkter Haftung」の略字で、日本に当てはめると有限会社に相当します。さしずめ(有)でしょうか。ちなみに(株)の場合は「AG」(Aktiengesellschaft)です。

続いてその下には…

建造及び特許 フランツ・プラッサー 鉄道産業機械工業(有)

とあります。試しに特許データベースを調べてみたところ、マルタイが備える様々な仕組みに関する特許は、フランツ・プラッサー氏とヨーゼフ・トイラー氏が保有しているようです。それで「プラッサー&トイラー」なのでしょうか。

最後に、この機械の詳細が記されています。

  • 建造年  : 2000
  • 機械番号 : 2948
  • 型  式  : 08-16U

「Baujahr」は直訳すると製造年を指しそうな気がしますが、一つ注意が必要。欧米産の機械にあるこの手の表記は、実際に製作された年ではなく、ロットを表すことがままあります。つまり、この機械は「2000年モデル」であって、製造年が厳密に2000年とは限らないということです。文化の違いといったところでしょうか。

また、ドイツの鉄道雑誌を読んでいるとしばしば登場する「Type」ですが、「型」「型式」と訳すと一番しっくりきます。「形」「形式」なら「Baureihe」です。
 (例:DBAG Baureihe 103 → ドイツ鉄道103形電気機関車)

Bf802b_length_weight Re441
■マルタイの車体表記(左)と、(独)セントラル鉄道 Re4/4 1形電気機関車の全長表記(右)

 次は、車端部の表記類です。全長が18.20mあることを表しているようです。欧州の鉄道車両には、みなこのような表記があります(右写真参照)。ただし、彼の地ではこの表記は車体長を表していたハズ…。そう思いパネル説明を見てみると、全長は18,600mmとなっていて、車体表記の18.20mとは数字が合いません。これについて、早速担当者に聞いてみました。

「車端部の表記はあちら(欧州)の規則でついてるんですよ。全長が違うのは、ここ、(両手で連結器を指しながら)この分の差です。ここが20cmあります。」

なるほど。つまり、前後各20cmずつの連結器の長さ(正確には車端から連結面までの長さ)を含めると、

18,200mm+200mm×2=18,600mm

となり、全長を連結面間隔で表現する日本国内の値と帳尻が合います! 聞いてみるもんですね。更に、

「車体表記の自重57000kgも、ああこれはパネルでは約56tになってますけどね、これも運転に必要な燃料を除いた重量でして、実際には燃料1tに加え、散水用の水を1t積むので、59tになります。」

つまり、いわゆる運転整備重量としては59tが正しいようです。う~む、奥が深いですね。

 マルタイの観察を終えたところで、今度は完全純国産の軌道保守車輌、バラストフィニッシャーに移ります。

Bf802b
■バラストフィニッシャー BF802B型

バラストフィニッシャーは、一言で表現するとマルタイを補助する役割を担っている車両です。バラストスイーパー(左)とバラストコンパクター(右)の2車体で構成されており、前者がバラストを補充し形状を整え、後者がバラストの締め固めを行うようです。詳しくはパネル説明で。

Bf802b_in_detail

 ◆バラストスイーパー

  • 型  式 : MJK-MR1309
  • 自  重 : 28.0t
  • 製造年月 : 2003年(平成15年)2月
  • 製造所  : 松山重車輌工業
  • 製造番号 : 102575

 ◆バラストコンパクター

  • 型  式 : MJK-MR1310
  • 自  重 : 23.2t
  • 製造年月 : 2003年(平成15年)2月
  • 製造所  : 松山重車輌工業
  • 製造番号 : 2637

それにしても、このバラストフィニッシャー。先程のマルタイのように大型の2軸ボギー車ではなく、わざわざ2軸車両の2車体連結になっているのは、やはり製造元がモーターカーのメーカーだからなのでしょうか(笑)。それはさておき、なぜ松山なのかを懲りずに質問してみたところ、

「これはウチ(京急の保線部門)で一から設計して、松山に造ってもらったんですよ。こっちのメーカー(プラッサー&トイラー)にも同じ機能を持った車両はラインナップにあるんですけどね、高額で手が出ない。それなら、と。オーダーメイドでも国内メーカーの方が安いんですよ。松山は保線(モーターカー)で実績がありますので」

との回答。なるほど。京急の車両のあの滑らかな高速走行は、こういった車両の働きに支えられているんですね。私見では、日本の鉄道のストロングポイントは「安全」だと思うのですが、それを支えている保線を担う車両(マルタイ)がほとんど海外製というのは、いかがなものかと思います。特許の問題等色々難しい面はあると思いますが、国内メーカーにも是非頑張ってもらいたいものです。

●どんなイベントも、写真を撮るなら終了後が狙い目!

 いよいよ本題、イベント恒例の「終了後の入換」を狙うために調査を開始します。まずは…

De51
■元 京浜電気鉄道デ51形。1924年(大正13年)汽車会社製。

構内に保存されているデ51。日本初の半鋼製電車としての価値が認められ、登場時の姿に復元されました。昭和40年までは京急線上で現役だったといいます。車内に入って観察できるのは魅力的ですが、さすがにこれは動かないでしょう。

De1
■元 湘南電鉄デ1形。1929年(昭和4年)川崎車輌製。

もう1両の保存車は、デ1。車体表記は「1」になっていますが、実際にはデハ248(元 デ18)です。こちらは、ほぼ同型のデハ268(元 京浜電気鉄道デ83)がホビーセンターカトーに保存されていることで知られています。というより、そちらの方が有名かな?(笑)

この車両は、車内を見学できるだけでなく、床下機器の一部が更新されており(装置の色が、黒塗りではなく地色のライトグレー)、稼動が期待できます。如何せん、線路の行く先を見てみると、あと数十cmのところで構内の線路とは寸断されていました。今後に期待です。

他に入換の期待できそうな車両がないかとウロウロしていると、

Kuto1_in_fabric
■制御付随無蓋貨車クト2

クト2が1000形2連に連結された状態で展示されています。これは現役ですから動くのではないでしょうか。そしてその右には、

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■電動無蓋貨車デト17・18

探していたデト17・18の姿がありました! 半年ほど前、この工場への改造名目での回送が報じられていましたので、もう改造を終えたということなのでしょう。

この車両は、1989年(平成元年)8月に1000形電車の機器を流用する形で新製された、電動長尺軌条運搬貨車デチ17・18がルーツです。レール輸送の主役が保線車両に変化してきたことから、2003年(平成15年)にホイストクレーンを撤去しあおり戸を設けて、電動無蓋貨車デト17・18に改造されました。そして今回、なんと制御装置が界磁チョッパ制御に改造されたとのことです。1000形の引退と共に、共通部品を使用するデトにも、その余波が襲ってきたということなのでしょう。

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■イベント会場から京急久里浜駅へ来客を輸送する臨時電車。幕は「貸切」。

 イベント会場から京急久里浜駅までは、来客輸送用の臨時電車が運転されています。この列車は、乗り場から直接久里浜駅側へは進入せず、一旦北久里浜駅側の引き上げ線まで移動し、スイッチバックして本線へ転線し久里浜駅へと向かっていました。このことから、おそらくイベント終了後に他の駅へ戻る車両も、この列車と同じルートで本線へ出て行くものと思われます。そうと分かれば、撮れる場所まで早速移動です。線路と平行する幹線道路を1km強歩いたところに、若干俯瞰気味で撮れる好ましい場所がありました。

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イベントが終わると、展示されていた車両が次々に出場します。最初に出て来たのは、この記事の冒頭の写真で一番右に展示されていた2000形。

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続いて、右から3番目に展示されていた1000形が出場。この後も何度か車両が引き上げては、奥へと戻って行きます。そして…

1356f_w_kuto1

クト2を牽引した1000形2連が姿を現します。品川寄りから1356形+1351形の構成です。雰囲気的にクト牽引専用電車に見えなくも無いですが、この2連が営業運転に使用されることはあるのでしょうか。

【2010年6月27日追記】
 6月27日(日)、「1000形ありがとう」運転で、上の1356+1351が営業運転に使用されました。詳しくは、別記事にて。

続いて…

Deto17_come
■デト18を先頭に工場から出場。ヘッドライト形状に変化が見られる。

遂にデト17・18の登場です! 集電装置はシングルアーム式(Σパンタ)に交換され、床下機器や台車も真新しいものになっています。よく見ると、正面にあった「救援車」の表記も無くなっています。デトは予想通り…

Deto17_turn

北久里浜側の引き上げ線で一旦停止し、しばし小休止の後、

Deto17_bye 

スイッチバックして電留線へと出場していきました。

本線走行は原則として平日だけ、なかなか撮ることのできない事業用車両を、日曜日に狙い通り捕らえることが出来、有意義な一日となりました。

【参考】

  • JTBキャンブックス『京急の車両』、佐藤良助、JTBパブリッシング、2008年5月1日、第3版。

●デト17・18の出場

 2010年5月31日(月)、デト17・18が久里浜の車両管理区を出場し、品川まで本線走行した様子が報告されています。となると、上の写真は本線初走行前に動いた様子を捕らえたことになりますね。なかなか感慨深いものがあります。

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コメント

こんにちは。京急のデト&クトですか。この手の電車は好きなのですが、なかなか撮影出来ません。私の地元近鉄のモト(たまにしか動きません)は何回か撮影していますが…

京急のデトは結構動いているみたいですね。うらやましい…

投稿: RUIDO | 2010年6月 2日 (水) 13:09

RUIDOさんこんにちは

いえいえ私など、近鉄のモトはまだ本線走行を撮れていないので、逆に羨ましいですね~happy01
近鉄は路線網が広域に渡るので、どう動くの私にはまったくわかりませんsweat02

京急は本線一本+支線の構成ですので、運行パターンが単純ですね。月木朝10時頃に神奈川新町で待っていれば、動くかどうか分かると思います。普段新町にいるデト11・12はいま工場入場中ですので、普段走らないデト17・18が代走すると思われます。ある意味レアでしょうか。

投稿: 社長 | 2010年6月 3日 (木) 14:56

京急のデト週2日運転なんですね。情報ありがとうございます。ただあまり平日休みを取れないのでなかなか行けなさそうですが。(と言いつつ今高岡にいます(笑))

近鉄のモトは不定期ですが東生駒〜五位堂、五位堂〜橿原神宮前、塩浜〜桑名(東方操)でよく動きます。五位堂にある工場の一番本線側の出発線に昼頃止まっていたら動く確率が高いです。(説明下手ですみません)

投稿: RUIDO | 2010年6月 4日 (金) 06:55

RUIDOさん、情報ありがとうございますsun
五位堂ですね。
次回大阪方面へ行く際は参考にさせていただきます~

投稿: 社長 | 2010年6月 6日 (日) 23:19

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