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2010年7月 4日 (日)

★日立製作所★笠戸事業所のスイッチャー

 山口県下松市にある日立製作所笠戸事業所は、同社の鉄道車両製造を担う基幹工場です。この事業所は、国内の各鉄道事業者向けの車両ほか、新幹線や海外向け輸出車両の製造も手がけており、ここ数年は、九州新幹線800系や英国鉄道庁向けClass395電車などが注目を集めています。笠戸事業所は瀬戸内海に面しているため、新幹線車両を中心に大型車両や輸出車両はすべて岸壁から航送(船で輸送)されます。しかし、国内向け車両の多くは現在でも鉄道で輸送されており、最寄りの山陽本線下松駅から工場へ引き込まれた専用鉄道を通って発送されています。

この専用鉄道は、駅から東へ1.5kmほど山陽本線と並走し、踏切を渡った後で南に方向を変え、県道を渡り場内へと引き込まれています。その全長は、運輸省鉄道監督局監修『昭和57年度民鉄要覧』によると下松駅-工場間2.4kmとなっていますが、運輸省鉄道局監修『平成7年度鉄道要覧』によると、1.5kmに短縮しています。昭和57年の段階では、日本石油精製と共用の専用鉄道でしたので、日石の区間が廃止されて1.5kmになったものと思われます。

 ブログ「奥野君の専用線日記」でも報告されているとおり、新車の輸送にはこれまで日立製作所製のスイッチャー(15t機と25t機)が重連で使用されていました。ところが2009年夏、北陸重機のホームページで納入実績をチェックしていたところ、日立物流カラーの新型スイッチャーが掲載されていることに気づきました。これはまずい、すわ15t機置き換えか!? 焦りながら、急遽9月に現地を訪れることにしました。

 下松発の甲種輸送列車は、近畿以東の鉄道事業者向けの場合、常に8862レと相場が決まっています。この列車の時刻は貨物時刻表にも掲載されており、出発時刻も正午前後でもう長い間ほとんど変わっていません。ですので、新車の出場も午前中です。午前中に動くとなると、首都圏から始発の新幹線で直行しても間に合いませんので、前泊するか夜行バスで移動することになります。私の場合は、東京駅八重洲口発の広島行夜行バスを西条で途中下車し、JRで下松へ向かいました(広島→徳山間は新幹線)。このルートだと7:40頃には下松駅に着くことができます。

 専用鉄道の沿線でロケハンしながらゆっくり移動し、工場前に着いたのが8時半頃。重連のスイッチャーは門のすぐ奥の見えるところに止まっていました。先頭は、相変わらず見慣れた15t機でしたのでまだ引退はしていない模様。一安心です。9時を過ぎると、重連スイッチャーは汽笛を鳴らして工場の奥へと移動していきました。どうやら新車を奥の方に取りに行ったようです。10時になると、新車を牽引して工場から出場しました。

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■重連スイッチャーが東京メトロ10000系を牽引して出場  2009年9月

どうも違和感があります。後ろのスイッチャーがちょっと見慣れない感じです。

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■下松駅の踏切の東側で、車両を切り離す 2009年9月

スイッチャーは駅の手前で一旦停止し、甲種輸送の車両を切り離します。

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■スイッチャーは、日立製と北陸重機製の重連

残念ながら、重連スイッチャーの次位は、北陸重機製の新車に置き換わっていました。納入実績コーナーで写真を見ていたのであまり驚きはありませんが、古いほう(1969年日立製25t機、製番13104)の行方が気になるところです。

ちなみに上の写真をご覧いただくとわかりますが、スイッチャーの背後の電柱にセクションを表す稲妻のアイコンが付いているのが分かります。電車が自力で出場する際は、専用鉄道区間にも通電できるようになっているわけです。国鉄時代には、新製車両は自力で出場し、配置される電車区や運転所まで自力回送されることも珍しくありませんでした。例えばJR東日本の417系は、15両全車がこの笠戸工場製ですが、ここ下松から山陽本線・東海道本線・東北本線経由で仙台まで自力回送されました。417系が直流区間を自力走行したのは、このときが最初で最後といわれています。

D151
■先頭のD-151 1969年日立製作所製15t機、製番13072

 さて、先頭のスイッチャーは、トワイライトゾーンマニュアル16で既に紹介されていますので詳細は割愛します。以前、当ブログの特集記事で日立のL型スイッチャーを分類しましたが、規格型の15t機はすべてロッド駆動になっています。丸屋根で、ラジエーターは縦スリット折妻形です。同型のもう少し古いタイプになると、ラジエーターは横スリット切妻形です。いっぽう、より新しいタイプは屋根が角ばった台形になっていますので、形態から製造された年代がある程度特定できますね。

D251
■次位のD25-1 2009年北陸重機製25t機

 こちらは2009年に導入された新型です。北陸重機製の25t機で、規格型をベースにしながらも、キャブやボンネットに傾斜をつけた独自の意匠を取り入れており、オーダーメイド機と言えるかもしれません。北陸重機工業のホームページに掲載されている同機関車のスペックは以下の通りです。

  • 全 長  : 6,600mm
  • 幅    : 2,730mm
  • 高 さ  : 3,675mm
  • 機関出力: 330ps
  • 牽引重量: 500屯
  • 走行速度: 30km/h

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2エンド側は窓が大きく十分な視界が確保されており、メーカーとしてもセールスポイントのようです。

●その後

 前掲のブログに報告がありますが、この後しばらくしてスイッチャーの重連運用はなくなり、北陸重機製D25-1が単機で牽引するようになった とのことです。前述のスイッチャーのスペックから考えても、平坦なこの専用鉄道でアルミ車10連を牽引することなど、朝飯前でしょう。無論、工場の規模から考えて予備機が必要ですので、出てこなくなった車両も廃車にはなっていないと思われますが、ロッド駆動のD-151を撮影するのは格段に難しくなりました。そういう意味で、上の写真は滑り込みで撮れた貴重なショットです。 スイッチャー製造者の情報は頻繁にチェックしておいた方が良いと思います。

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