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2010年8月 3日 (火)

★仙台★新幹線総合車両センターのスイッチャー

 以前スイッチャーの記事で、撮影が困難な拠点の代表格が製鉄所であると述べました。今回紹介するのは、製鉄所ほど撮影困難ではないものの、通常の専用線とはやや勝手が異なり、難易度的にはちょうど両者の中間に相当する「車両基地のスイッチャー」です。

JR東日本・新幹線総合車両センターは、JR東日本の新幹線車両基地と工場を統合した施設です。かつて国鉄時代には、仙台第一新幹線運転所と仙台工場に分かれており、現在でも車両基地と工場の敷地は川を挟んで離れたところにあります。ここでは、毎年夏休みの時期に工場公開イベント『新幹線車両基地まつり』が開催されています。車両基地のイベントで付き物なのが、イベント開始前と終了後の入換。この車両センターにはスイッチャーが配置されているはずですから、展示する新幹線車両がスイッチャーに牽引されて移動していくシーンを見られるのではないか、そんな期待を抱きながら、友人と3人で夜行バスで駆けつけることにしました。

新利府駅で下車し、工場と車両基地の間の回送線を撮影できるポイントに到着したのが朝7時前。夏の7時はもう真昼間のような暑さで、日差しを遮蔽するものは一切ありません。このまま何も収穫がなかったら…と不安がよぎった、その矢先…

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■イベント当日の朝一番で、工場から電留線へ移動する、E6系。 2010年7月24日

これは嬉しいサプライズ! 先日報道公開されたばかりの、秋田新幹線こまち用新型車両E6系の登場です! 逆光ですが雰囲気は伝わると思います。E6系は、このまま車両基地の東側に留置され、イベント来訪者にその存在感をアピールしていました。

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■E5系と連結されて展示されるスイッチャー。  2010年7月24日

このイベントは本来9:30開場のはずですが、8時を過ぎるとなぜかゲートが開き、なし崩し的に入場が許可されてしまいました。おそらく、新利府駅のホームのキャパシティを越える来場者がいたためでしょう。入場して真っ先に目を惹いたのは、E5系に連結されたスイッチャーです。逆光で撮影には向いていませんので、天気が曇るまで会場内をうろつくことにします。

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■トラバーサー実演の様子。          2010年7月24日

広い敷地内の至る所で様々なイベントが企画されていますが、私が興味を持ったのがトラバーサー実演。使用されるのは、組立工場と台車工場の間にある第1トラバーサーです(第3まであります)。このトラバーサーを製作したのは、日本全国の貨物駅に納入されている貨車移動機のメーカーとして有名な、協三工業です。

E3_into_traverser

実演ですから、ただトラバーサーを動かすだけでなく、きちんと車両を乗せるところから始まります。この辺は本格的ですね。そして、トラバーサーに乗せるために車両を押しているスイッチャーか移動機があるはずと思い、後方を注視していると…

E3_wo_sw

仮台車による自走でした。ちょっと拍子抜けです。工場内を探してもスイッチャーは見当たりませんでした。

天気も曇ってきましたので、気を取り直して最初のスイッチャーを撮影することにします。

Ant20tonhj_1end

■スイッチャーの1エンド側。典型的な北陸重機の規格型。  2010年7月24日

この車両センターに配置されているスイッチャーは、意匠から判断すると北陸重機製の規格型2軸機です。JR東海の浜松工場にも同型機が配置されていますが、真っ先に分かる相違点は連結器です。浜松工場が在来線車両も扱う工場なのに対し、ここは新幹線専業ですから、連結器は新幹線用の密着連結器のみを装備しています。BP管の引き通しも必要ありませんから、ブレーキーホースもなく、端梁部は大変スッキリしています。

Ant20tonhj_2end

■2エンド側の明かり窓がいかにも北陸重機。 2010年7月24日

牽引車両連結面側の視界が良いのも、北陸重機製の特徴です。

Mp_ant20t

■スイッチャーの銘盤。アント工業の本社所在地の住所「新橋」が、
 「SHI
MBASHI」ではなく「SHINBASHI」
となっている。銘盤には打刻ミスが絶えない。

メーカーズプレートを拡大してみると、アント工業製になっています。アント工業は、協三工業と並ぶ移動機メーカーです。ただし、協三工業の移動機はスイッチャータイプなのに対して、アントは小型台車にエンジンが付いただけのようなものが多くなっています。

  • 型  式 : ANT-20TON-HJ
  • 製造年月: 2005年3月
  • 製造所 : アント工業
  • 製造番号: 0130
  • 重  量 : 20t

アント社がスイッチャーを内製しているとは思えませんでしたが、型式を見て納得です。型式の最後の「HJ」は、北陸重機のOEM品であることを表しているからです。つまり実際にこの車両を製作したのは北陸重機というわけです。同社のホームページの納入実績にも、JR東日本に20tディーゼル機関車をOEM供給で納入した旨が記載されています。

●その他のスイッチャー

 さて、そろそろこの辺で、疑問を抱く方が出てくるのではないでしょうか。JR東日本の新幹線車両の整備を一手に担う大型車両工場&車両基地に、なぜスイッチャーが1台しか配置されていないのでしょうか。ふつうこの規模であれば3台程度はいてもおかしくないのではないか、そう思いませんか? 実は、新幹線車両の構成に謎を解決するためのヒントがあります。

JR東海の新幹線はすべて16両編成です。このため、車両を検査するには運転台の無い車両単位で分割して移動する必要があります。その結果、以前の記事で紹介したように、車両の移動にはスイッチャーが必要になります。

いっぽう、JR東日本の新幹線はどうでしょうか。八戸延伸時に10両編成化されたE2系を除き、大半が6~8両編成です。このためE4系などは、当初から入換運転を考慮して設計されており、4+4に分割しても4両だけで自走できるのです。こうなってはスイッチャーの出る幕はありません。工場内で車両を小移動する際は、協三工業製・アント工業製の移動機(アント)が各1台ありますからこれで充分であり、長い編成を移動するためのスイッチャーは、1台あれば事足りると言うわけです。

それでは、かつて200系全盛だった頃はどうだったのでしょうか。200系には入換運転機能などありませんから、現在のJR東海浜松工場同様に、スイッチャーがもっと必要だったはずです。E系列が導入されて、必要なくなったスイッチャーはどこへ行ったのでしょうか。

去って行ったスイッチャーを追い求めて、翌25日にJR東海浜松工場を訪れてみました。こちらの車両工場も、ちょうど同じ時期に公開イベント『新幹線なるほど発見デー』を開催しているのです。そして、仙台で活躍していたスイッチャー2台のうち1台が、まだ現役で活躍しています。

Hamamatsu_l6

■イベントで展示されたスイッチャー、L6。機械番号06-28-01-006。  2010年7月25日

こちらがJR東日本 仙台総合車両所から譲渡された、L6です。協三工業製の15t機で、左右非対称の半キャブになっています。詳細は、以前の記事で紹介済みですので割愛します。

Hamamatsu_l9

■L9は北陸重機製。機番06-28-01-009   2010年7月25日

同時に展示されていたL9は、北陸重機製20t機で、浜松工場へ新製配置されたものです。以前の記事で動くところを紹介しましたが、今回は前面に車両が連結されていない綺麗な姿を見ることが出来ましたので、ついでに紹介します。

  • 記号番号 : L6
  • 製造年月 : 1992年(平成4年)2月
  • 製造所  : 日本車輌製造
  • 製造番号 : 3397
  • 自  重 : 20t

日車のメーカーズプレートをつけていますが、冒頭の仙台のスイッチャーと同型で、北陸重機のOEM品です。

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■L-11もやはり北陸重機製。機番06-28-01-0011   2010年7月25日

こちらのL11も以前紹介しました。アントの銘盤をつけていますが、北陸重機のOEM品です。こちらも、車両を連結していない状態の1エンド側を撮影することができました。

L6_l9_l11

■まるでスイッチャーが主役と言わんばかりの配置。   2010年7月25日

目玉であるはずの100系新幹線食堂車が端に追いやられ、スイッチャーメインで展示されています。とても新幹線のイベントとは思えませんね。嬉しいやら嬉しいやら。

 土日二日間で仙台から浜松まで駆け巡り、25日午前中は新京成800形さよなら運転まで掛持ちしたため、やや疲れが残る週末となってしまいました。仙台のスイッチャーの動くところは撮ることができませんでしたが、その元同僚を浜松まで追いかけて撮ることができたのは、良かったと思います。

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コメント

どうもです。仙台→浜松ですか…凄い工程ですね。私も大阪→四日市→大阪→秩父→安中→大阪という動き方をしていたので人のことは言えませんが(笑)

仙台のスィッチャー+E5系は面白い組み合わせですね。E5の鼻の長さでスィッチャーがかなり小さく見えてしまいます。あと浜松工場はどう見ても「スィッチャー撮影会」ですね… 行きたかった…

投稿: RUIDO | 2010年8月 3日 (火) 10:24

RUIDOさん、こんばんは。
仙台車両所はやはり平日に行った方が良さそうな感じでしたね。午後は石巻港に寄ってきましたので、無駄足にはなりませんでしたが…。
浜松のイベント終了は15時でしたが、実を言いますと入場したのは14時半でした(^_^;) 午前中に新京成を撮ってからの移動でしたので、スイッチャーだけ撮って帰った感じです。

それにしましても、大阪←→安中は日帰りですか?

投稿: 社長 | 2010年8月 3日 (火) 18:29

社長さん。安中は最初夜行バス日帰りを考えていたのですが、今は比較的休みが取れるのと武州原谷を撮影したかったので 木曜発夜行バス→金曜武州原谷撮影→高崎1泊→土曜安中撮影→東京から夜行バスで帰り という工程でした。

新京成経由だったんですか!実を言うと「新京成」と鉄道を知ったのは先週だったりします(笑)
さよなら運転の記事も読みましたがもっと早く知っておけばよかったと後悔しています…

投稿: RUIDO | 2010年8月 4日 (水) 17:13

RUIDOさん、こんにちは

なるほど。高崎で一泊ですか。たしかに安中の朝一の入換は、泊まると楽そうですね。
私の場合、早起きして上野始発に乗らないと間に合わないので、いつも妥協して11時過ぎのを撮っています(^^;)

これから9連休。明日の10時過ぎには大牟田です。

投稿: 社長 | 2010年8月 6日 (金) 19:24

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