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2011年3月 6日 (日)

【くろがね線を読み解く】第89回■戸畑地区専用250t積 溶鋼注入台車

 今回は、くろがね線を観察していてもなかなかお目にかかることのできない貨車「250t積注入台車」を紹介する。

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■250t積 注入台車 250-107   2010年10月

 この貨車でまず印象的なのは、250トンもの重さを支えるための分厚い台枠である。上の写真では中央部が凹んでいるように見えるが、もちろんこれはカメラレンズの歪曲収差によるものではない。そして、車軸配置2+2+2+2の複式ボギー台車も目を惹くところ。各台車の枕バネの外側に、高熱を遮蔽するための遮熱板が取り付けられていることから、製鉄所内の過酷な環境で使用されていたことがうかがえる。2位側には、屋根付の簡易運転台が設けられ、その背後には大きな遮熱板が設けられている。この車両の登場した昭和50年代は、ちょうど機関車の無線操縦化が進められた時期であり、これに対応するためと思われる。

日車の車輌史に、この形式の1次車の図面が掲載されているので寸法を書き出してみると、次のようになる。

  • 形式       … 250
  • 全長(連結面) … 16,800mm
  • 幅        … 2,400mm
  • 高さ       … 2,550mm(簡易運転台部)、1,485mm(台枠部)
  • 荷重      … 250トン
  • 製造年     … 1975年(昭和50年)
  • 製造所     … 日本車輌製造

車輌史掲載の1975年製作分は「250-101~103」の3両だが、写真の車両は1979年(昭和54年)に製作された増備車の250-107である。車番は台枠に印されているほか、車端部の渡り板にも3桁の陽刻がある。増備車の基本的なスタイルは1次車と変わらないが、台枠の断面形状が変更されている。このことから、寸法も1次車とは若干異なる可能性がある。

●貨車の用途を理解する

 「注入」という名称から想像できるとおり、この貨車の荷は液体(溶けた鋼)である。その用途を理解するには、まず「溶鋼とは何か」について知っておかなければならない。幸い、JFE21世紀財団のホームページに大変分かりやすい図解があるので、こちらを左クリックして起動する別ウィンドウを適宜参照いただきたい。

 2011年現在の一貫製鉄所(鉄鉱石から鉄を精錬している、高炉のある製鉄所)では、図解の通り、連続鋳造によって溶鋼を鋼片(スラブやブルーム等)に変え、これを圧延してコイルや鋼管などを製作している。しかし、とある専門家に伺ったところ、連鋳が導入される前は、製鋼と圧延の間に「造塊」というプロセスがあり、製鋼工場で鋳型に流し込んだ溶鋼を、固めて鋼塊にして、これを鋳型から外して圧延していたという。このプロセスで活躍していたのが、今回紹介する「注入台車」である。製鋼工場で、台枠上に並べた鋳型に溶鋼を流し込み、これを圧延工場まで輸送するために使用されていた。したがって多くの製鉄所では、連鋳の導入によりこの種の貨車の多くは用途不要になった。

上の車両も、新製配置は戸畑地区であったが、撮影したのは八幡地区である。戸畑の製鋼工場はまず撮影することはできないが、用途不要となり八幡の遊休貨車置場に運ばれてきたため、偶然撮ることができた。

●廃車後の台車を再利用

 用途不要になったとはいえ、戦前製の2軸貨車がまだ現役で活躍しているくろがね線にとって、1970年代に製作された台車は利用価値の高い廃車発生品となる。2007年には、ホットコイル(熱延コイル)の輸送力増強のため、この車両の同型車の台車を再利用し、コイルスキッドを載せた台枠を新製して台車と合体し、下のような車両が登場している。

110t_hotcoil_2

■新製車体に、250t積鋼塊台車の台車を組み合わせた、110t積 ホットコイル台車  2010年

この車両の詳細は以前の記事を参照していただきたいが、台車部分を拡大して比較してみると…

Nt1026_110t Nt1026_250t
■左が110t積ホットコイル台車の2軸ボギー台車、右が250t積注入台車の4軸複式ボギー台車。
 どちらも日車NT1026台車と同型である。

一見異なる台車に見えるが、枕バネを覆っている遮熱板を除くと、その形態は瓜二つである。

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