« ◆被災地向け燃料輸送列車、根岸駅を発車(2011年3月18日) | トップページ | ★180000アクセス突破!! 【片上鉄道保存機】DD13 552 »

2011年4月12日 (火)

◆主電動機ブラシ調達難による鉄道各社減便情報 ほか

 各鉄道事業者は、今年度から一部列車について編成短縮や減便に踏み切ることをアナウンスし始めました。2011年3月11日に発生した東日本大震災により、電車の消耗部品を製造していた日立化成工業が被災したためです。同社は、電気車(電気機関車や電車)の直流モーターに使用されている電動機ブラシの生産量で国内シェアのおよそ半分を占めており、また最終工程を担っていた子会社の浪江日立化成工業が、東京電力福島第一原子力発電所の炉心溶融事故(メルトダウン)の影響で操業再開が困難になっているためです。

 とはいうものの、首都圏のJR各線や私鉄各社は、ここ10年ほどの間に車両の更新が相当程度進んでおり、直流モーターを使用している車両が主力ではなくなりつつあるため、大きな影響は無いものと思われます。どちらかというと、計画停電による減便の影響が心配です。一方、中京や関西のJR・大手私鉄は、まだまだ直流モーター車両が主力ですから、西日本の鉄道への影響が大きいと思われます。

●対象となる車両

 電動機ブラシを使用しているのは、直流電動機を使用する車両です。制御方式によって分類すると次の車両が対象になります。

  • 抵抗制御車
  • 界磁添加励磁制御車
  • サイリスタ位相制御車
  • 界磁チョッパ制御車
  • 電機子チョッパ制御車
  • サイリスタチョッパ制御車

順に見ていきましょう。

Nankai6300_2
■抵抗制御車の南海電鉄6300系

まず抵抗制御車は、JR各社に在籍する国鉄型車両が最も影響を受けるでしょう。車両の更新ペースが遅く在籍両数も多いJR西日本や関西大手私鉄各社には少なからぬ影響が出るものと思われます。

Jr2113000
■界磁添加励磁制御車のJR東日本211系

界磁添加励磁制御車とサイリスタ位相制御車は、原則として国鉄にしか存在しなかったため、205系・211系・221系・651系・719系などJRの車両に限定されます。

Keikyu1500
■界磁チョッパ制御車の京浜急行1500形(1613F)

これに対して界磁チョッパ制御車は私鉄に多く、ほとんどの大手私鉄で現在でも主力の座を占めており、影響は甚大でしょう。

Eidan6000
■電機子チョッパ制御車の東京メトロ6000系

電機子チョッパ制御車とサイリスタチョッパ制御車は、地下鉄用車両などに多く存在しています。

なお近年車両メーカー各社で製造されているVVVF制御車は、交流モーターを使用しているため対象外となります。

●各社聞き取り調査

 2011年3月25日付の東洋経済に、本件について各鉄道事業者へ聞き取り調査を実施した結果が掲載されています。JR九州・京成電鉄・京王電鉄・東急電鉄の4社は、日立化成工業の部品を使用していない(取引が無い)ため、影響は皆無とのことで早くも安全宣言?を出しています。京浜急行電鉄・小田急電鉄・阪急電鉄・京阪電鉄・南海電鉄については、当面減便するほどの影響は無いものの、今後影響が出ないよう調達の見直しなどが必要になるとのことです。

 逆に、現時点で影響必至なのがJR東日本と西日本、そして近畿日本鉄道。東武鉄道や東京メトロも、部品在庫状況から多少の猶予はあるようですが、対応を迫られることになりそうです。(なおJR西日本については、4月8日の段階で当面減便を回避できる目処が立ったと発表されています。また、本記事は2011年4月現在の報道発表に基づき作成されており、その後の情勢の変化を一切反映しませんので、あしからずご了承ください)

◆原発事故をめぐる報道について

 事故から一ヶ月のあいだ、地上波のTV番組に出演する御用学者達は、口を揃えて「直ちに健康への影響は無い」と連呼してきましたが、INES(国際原子力事象評価尺度)に基づく評価がレベル7と、チェルノブイリ原発事故に並んだいま、あらためて言い分(言い訳?)を聞いてみたいものです。

私が大学時代に所属していた研究室のボスは、数年前まで日本原子力研究開発機構先端基礎センターのセンター長を務めていました。研究室では、文部省はもちろんのこと、日●などのメーカーから依頼を受けて実験を行うことも珍しくなかったですし、学生の方も、自分で就職活動をしない限り、それらのメーカーの原子力部門へ半自動的に進路が決まっている、そんな世界でした。

これは日本に限らないことですが、原子力工学・原子核工学関係の学者は、基本的に電力会社や原子炉メーカーから研究費を調達することが多いですし、学生の就職の世話なども含めて関係が深いわけですから、ステークホルダーに対して不利な発言をするわけが無いというのは、少し考えれば分かる話です。地上波のTV番組では、「いかに安全であるか」という情報ばかりが強調され、「何がどう危険なのか」という情報が伝わりにくくなっているのが現状ではないでしょうか。

というわけで、地上波はNHKの水野解説委員が出演する番組以外は敬遠するようになりました。代わりに、3月下旬頃からこちらのサイトをチェックするようにしています。

http://www.ohmae.biz/koblog/

大前研一氏のプロフィールについてはあえて語るまでも無いでしょう。もともと日立で原子炉の設計などに携わってきた方だけに、政府や東電に対する批判にも説得力があります。コンサルタントらしく、批判するだけでなく何を為すべきかのビジョンをきちんと語っているのも好感が持てます。スカイパーフェクTVで放送された番組の一部は、現在Youtubeで公開されており、必見です。 ↓こちら

福島第一原発 現状と今後とるべき対応策

開始後11分あたりから、原発事故に関する詳細な解説が始まります。CMなしでトータル1時間強と長めの番組ですが、見ておいて損は無いと思います。

●最後に

 弊ブログでは、震災でご苦労されている方々、被災地で復興に尽力している方々に対し、形式的なお悔やみ・励ましの言葉を申し上げることは今後もございません。現地で誰よりも苦労している方々に対して、大きな不自由なく日常を過ごしている者が「ガンバレ」などと無神経な発言をするのはいかがなものかと思います。彼らは、余所者に言われるまでもなく頑張っているのですから。

先日、磐越西線の貨物列車を撮影しに新潟県へ出向いたところ、茨城県北部から来たという20歳前後の青年に出会いました。なんでも、原発から予防的に避難するため、現在は江東区内の仮住まいで家族共々生活しているそう。学生で暇なので、燃料輸送列車を撮りに来た、とのことでした。

被災地から遠く離れた場所で暮らす者に、被災した方々に対してかけられる言葉があるとすれば、「ガンバレ」ではなく、「頑張りすぎて息抜きがしたくなったらいつでも付き合うよ」ではないのでしょうか。青年と話しながら、なんとはなしにそう思いました。

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道路線・車両研究へ にほんブログ村 鉄道ブログ 貨物列車へ
にほんブログ村 (鉄道ブログポータルサイト)

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません

|

« ◆被災地向け燃料輸送列車、根岸駅を発車(2011年3月18日) | トップページ | ★180000アクセス突破!! 【片上鉄道保存機】DD13 552 »

その他」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/63194/51304943

この記事へのトラックバック一覧です: ◆主電動機ブラシ調達難による鉄道各社減便情報 ほか:

« ◆被災地向け燃料輸送列車、根岸駅を発車(2011年3月18日) | トップページ | ★180000アクセス突破!! 【片上鉄道保存機】DD13 552 »