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2011年6月 1日 (水)

【衣浦臨海-JR貨物-三岐】フライアッシュ輸送の真実

 5月に発売されたレイルマガジン2011年7月号、本日書店で立ち読みしましたが、5分もしないうちに本を片手にレジに向かってしまいました(笑)

実を言うと、RMは毎月購入しているわけではありません。今回も、岩成さんの遠州鉄道の解説記事にビビッときたものの、いやいやこれだけでは買うまいと一時は思い留まりました。しかし、相互リンクさせていただいている南野さんの記事

「三岐鉄道開業80周年 徹底解説、三岐鉄道!」

を読み、ギブアップ。即購入してしまいました。

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以前ブログ上で、西武顔の電車があまり好きでなはないとカミングアウトしましたが、そんな私でも思わず購入してしまうほど、濃い内容になっています。石炭灰(フライアッシュ)輸送の貨物列車のダイヤが外的要因で変更される件についても詳報があり、とても読んだだけではすべてのパターンを覚え切れません(笑) じっくり読んで頭の中を整理する必要がありそうです。貨車や機関車の回送のダイヤについても言及されており、大変重宝しますね。

 

●鉄道ファン2011年7月号には、郷田恒雄氏による残念な記事が…

 書店でざっと立ち読みしてみたところ、同じ日に発売された別の雑誌にも、碧南市-東藤原間の石炭灰(フライアッシュ)輸送に関する「車扱列車を見てみよう! 4」という記事がありました。内容は、このうえなく残念な仕上がりでしたが。

致命的な部分を一点指摘させていただくならば、次の箇所でしょうか。

thunder今回の車扱貨物では、東藤原から碧南市に向けて、火力発電所内の排煙脱硫装置で使用する炭酸カルシウム、碧南市から東藤原に向けて、コンクリート混和材として再活用される石炭灰(フライアッシュ)の双方向輸送が実施されており、

この記述によって誤解が広まることを懸念します。碧南市から東藤原へ貨車輸送しているフライアッシュはコンクリート混和材ではありません。そもそもコンクリート混和材を必要としているのは生コン工場であって、セメント工場ではないのです。セメントとコンクリートの区別がついていないのでしょうか(苦笑) 困ったものです。

百歩譲って、セメント工場で使用するセメント混和材(フライアッシュセメントの原料)だと好意的に解釈したとしても、やはり無理があります。というのも、以前弊ブログのコラムに書いたように、日本国内で出荷されているセメントは「普通セメント」「早強セメント」「高炉セメント」の3品種だけで全出荷量の95%以上を占めており、フライアッシュセメントの出荷量は全体の数%にも満たない微々たるものなのです。ですから、このような品種の原料を、鉄道貨車で土日も休まず大量輸送する必要などないのです。

それでは、フライアッシュはいったい何の原料として利用されているのでしょうか。これを理解するには、セメント生産プロセスの基本をおさえておく必要があります。

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●セメントの原料

 セメントの4大原料は?と聞かれてすぐに答えられる方には、もう解説の必要はないでしょう。「石灰石」「粘土」「珪石」「鉄原料」ですね。この4つを粉砕・混合して焼き固めたのがセメントクリンカであり、これを粉砕して石膏を混ぜたものがセメントです。(ちなみに、これに砂利や砂などの骨材、さらに必要に応じて混和材等を混ぜて水で練ったのが生コンになります)

近頃は、増え続ける産業廃棄物の処理が課題になっており、国の政策的な後押しもあって、セメント業界でも2011年現在ではすべてのセメント工場で原料・燃料として産廃を受け入れるようになっています。原料のうち、石灰石の主成分は炭酸カルシウムですから産廃で代替することができませんが、粘土の主成分は二酸化珪素(つまり石と同じ)ですから、代替が利きます。量として多いのは、発電所から排出される石炭灰(フライアッシュ)と、自治体の下水処理場・浄水処理場などから出てくる汚泥、建設現場から排出される土壌、ごみ焼却場から排出される焼却灰などです。特に石炭灰は、発電所の炉で脱硫の際に加えた石灰石の成分であるカルシウムが含まれているため、セメント原料には好適です。現在では、粘土のほとんどは産廃で代替されているのが実情なのです。

●数字でみるFAの鉄道輸送

 セメント協会の資料によれば、セメントを1t生産するのに必要な粘土の量は200kgといわれています。そして、粘土代替の産廃のうちフライアッシュ(以下、FAとする)の占める割合は、1/3~2/3程度といわれています。したがって、セメント1tを生産するのに、原料としてFAがおよそ70~130kg使用されていることになります。原料/製品の質量比で表現すると、7~13%ということですね。

さあ、これを踏まえて、碧南市→東藤原間のFA輸送をみてみましょう。まず輸送されているFAは、35t積貨車16両編成で1日1本ですから、1日あたりの輸送量は

35×16=560t

になります。いっぽう、太平洋セメントのホームページにもあるとおり、藤原工場の年間セメント生産量はおよそ215万t(平成19年度実績)です。単純計算で1日あたり5900t弱のセメントを生産していることになります。5900tのセメントを生産するのに必要なFAは、前述の値を用いて 

5900×(0.07~0.13)≒410~770t

となり、貨車で受け入れている560tにかなり近い値になることがわかります。

どうです? こんな風に計算してみると、FAは粘土代替のセメント原料として利用されているという紛れもない事実が、数字のうえでも理解できると思います。

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