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2011年9月27日 (火)

【補遺】突放のある貨物駅

 鉄道ピクトリアル2011年9月号が発売されてから2ヶ月がたちました。多くの月刊誌が次号発売と共に店頭から消えるなか、この9月号は(売れ残りかどうかは定かではありませんが)偶に残っているのを目にします。神保町の書泉グランデでは、なぜか臨時増刊号の私鉄特集と並んで平積み!?されていました。そんなに需要があるのでしょうか(笑) やはり『車両入換』という特殊テーマ故なのか。

 その9月号において、冒頭記事「入換の世界 -その魅力、見どころ、見せ場-」を担当されたのは、私の尊敬するライターの一人、岩成政和さんです。「入換とは何か?」の総論が網羅的に解説されております。入換に関する法令や入換合図の話は、鉄道学園の教科書にも載っているのであまり新鮮味はありませんが、DD13形の設計変更(燃料タンク容量の増大)と入換用途の関係などに言及するあたり、思わず唸ってしまいました。

それはさておき、記事の中でちょっと気になる部分がありました。18ページの脚注部分です。実は今回のメインテーマがソレです。

「臨時的なものを除き、突放入換をほぼ連日行っているのは岳南鉄道の比奈だけと思われる.」

弘法にも筆の誤り、岩成さんはやはり専用線はあまりウォッチされていないのでしょう。そこで、まことに勝手ながら2010年現在まだ突放を行っている貨物駅をリストアップしてみました。補足訂正大歓迎です。

1.岳南鉄道 岳南原田駅

 まずはここから。岩成さんが比奈駅を出したので、あえて岳南原田駅の突放をご紹介します。

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■荷役線へ突放されるコキ2両   2011年6月18日

手順は次のとおりです。まず岳南原田駅の荷役線に留置されていたコキ2両に、比奈駅から牽引してきたコキ2両を連結します。次に、一旦4両を吉原方へ引き出し、留置されていたコキ2両を吉原方面の線路に突放します。続いて比奈駅から牽引してきたコキ2両を荷役線へ突放します(上の写真)。突放されたコキに乗っている操車掛が、両手で手ブレーキのハンドルを掴んでいる様子が確認できると思います。

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■荷役ホームへゆっくり差し掛かるコキを追い越して機回し中  2011年6月18日

最後に、機関車が単機で比奈方へ回り込み、先程吉原方面の線路に突放したコキ2両を牽引して比奈へ戻る、という手順です。

上の写真を撮影した日はコキ2両を交換しましたが、3年前に観察した際はED501が比奈から1両連れてきて、荷役線の奥側の1両だけを連れて帰る運用でした。いずれにせよ、岳南原田の突放は現役です。

2.神奈川臨海鉄道 川崎貨物駅

 私鉄の次は臨海鉄道です。川崎貨物駅での突放は連日行われており、岳南鉄道よりメジャーかもしれません。

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■DD5518に突放されるタキ車。    2010年3月27日

上の写真をクリックして拡大すると、突放されたタキを確認することができると思います。この駅では、タキのみならずタンクコンテナを積載したコキや、JR貨物川崎車両所で検査を受けたトキやホキまで突放されることがあり、目が離せません。

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これは東邦亜鉛の私有貨車トキ25000を入換中の一場面。左写真は突放直前のショットで、トキ25000の先にコキが連結されています。右写真は突放直後で、トキの先に連結されていたコキが消えてなくなっているのが分かると思います。右写真では、トキの車体側面中央に操車掛が張り付いていますが、これはトキの手ブレーキがこの位置にあるためです。つまりこの後トキも突放することになります。

3.製紙メーカーO社専用線 春日井駅

 専用線での突放もまだ見られます。もちろん専用貨車がだいぶ減っていますから数えるほどしかありませんが。

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■専用線内でワムを突放中のスイッチャー  2010年1月22日

およそ2年前に目撃した際は、工場の開門後、ワムを牽引して駅に出場する前に1度入換がありました。西側の線路(荷役線)からワムを引き出して東側の線路へ押し込む際に突放が見られました(工場内の写真は通常載せませんが、このアングルは雑誌にも何度か掲載されたのでOKでしょう)。現在どのような運用になっているのかは不明です。

なお読者の西宮後さんの話では、駅からワムを牽引して工場に入線する際に、突放の逆、つまり貨車を牽引しながら切り離す操作が行われることもあるようです。

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これは、数年前に許可を得て撮影させていただいた「公式入換時刻表」です。かなり古いものですが、以前はかなり頻繁に入換が行われていた様子がうかがえます。

4.製紙メーカーH社専用線 焼島駅

もうなくなりましたが、2010年現在現役ということで掲載します。

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■駅のJR授受線から工場に向けてワムを突放中のスイッチャー。   2010年7月31日

この専用線も動き方は春日井と同じで、朝一番に開門し、西側の線路(荷役線)のワムを引き出して、東側の線路へ突放していました。

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■荷役線からワムを引き出すスイッチャー。この後、推進して突放する 2009年7月28日

予備機であるはずの25t機の方が、印象に残っています(苦笑) 牽引力不足のため、35t機が1度で入れ換える作業を2度に分けて行うことから、撮影チャンスが多かったものです。

5.石油メーカーJ社専用線 根岸駅

 根岸の突放はあまりに有名でしょう。

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■JR授受線押し込まれるタキ   2010年1月4日 

もちろんJRの線路上に入線する際はおとなしいもので、突放はありません。操車掛も手ブレーキには手をかけず、手スリを握っているだけです。

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■石油の荷役設備の脇の側線に突放されるタキ車。左の青いスイッチャーD504が突放した。

突放が行われるのは奥の荷役線内だけです。

6.石油メーカーJ社専用線 本輪西駅

 ここは連日突放というわけにはいかない場所ですが、一応載せておきます。

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■専用線内で入換中のタキ車     2011年8月10日

冬場は危険すぎてやらないかもしれませんが、今年の夏に訪問したところ、上の写真のように空車のタキを突放していました。操車掛はやはり手ブレーキを両手で握っています。突放といっても根岸のように豪快ではなく、人が歩くような速度でしたので、よく見ていないと気づかないかもしれません。当日肉眼で確認したのは、タキ40000形4両編成の突放でした(写真は撮り損ねました)が、後ですべての写真を確認してみると他のタキ車も突放していることに気づきました。

 そんなわけで、まだまだ突放は健在なのです。

以上

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コメント

はじめまして。

突放の件で社長さま同様に気になりましたのでコメントいたします。
いまや貴重な車扱い列車となった3461レについても富士駅で突放作業は行われています。
(2011年6月に確認。)

但し、これも条件があり、入替をする貨車があること、次位無動のカマが付いていないこと
などがありますが。(当たり前ですが・・。)

意外と細かいところで突放作業はやっているようです。

投稿: 鹿島田 みゆき | 2011年9月29日 (木) 23:05

鹿島田みゆきさん
リンク先の記事拝見しました。たしかに突放していますねsmile
3461列車の富士着は日没が近いですから、夏至前後にあえて撮ろうとしないと、記憶には残っても記録には残りにくいかもしれませんね。

私鉄の事例では、秩父鉄道武州原谷の電機+ヲキ車の突放が抜けていましたので、そのうち時間のあるときに追加しておきます。

投稿: 社長 | 2011年10月 1日 (土) 12:42

はじめまして。
突放の記事、興味深く拝見しておりました。
突放は機関士・操車係・構内係(連結担当)の絶妙なコンビネーションの中での作業で、私も国鉄時代に実習で1度だけやらせてもらった経験がありますが、連結器を開放するタイミングが非常に難しかったですね。
結局はハンプ部に所属したので、突放は殆どやった記憶がありません。
貨物の入換時代、非常に懐かしいです。
長文失礼いたしました。

投稿: キハ181つばさ | 2011年10月 1日 (土) 17:31

キハ181さんはじめまして!
リンク先の記事読みました。懐かしい時代ですね。ハンプ、最近では2004年にドイツのニュルンベルクで見たのが最後です。ロッドスイッチャーが2軸ボギーの貨車を突放していました。

投稿: 社長 | 2011年10月 4日 (火) 13:12

はじめまして。
私も突放入換の記事を大変興味深く拝見いたしました。

黒部峡谷鉄道でも突放が行われています。
起点の宇奈月駅では、結構頻繁に突放がありますね。

同鉄道では、必ず緩急車?(開放型のハ型客車ですが)も連結されますし、かなり興味深いです。
ナローゲージは含めないのであれば、失礼いたしました。

投稿: 浜川崎商店 | 2011年10月 7日 (金) 04:36

浜川崎商店さん
黒部峡谷鉄道の事例紹介、ありがとうございます。なかなか面白そうですねdelicious

ナローだけを意識して除外しているわけではないのですが、旧通産省管轄のいわゆる鉱山鉄道では、手押しや重力を利用した入換などを含め、旧運輸省管轄の鉄道・軌道では見られない方法も多く、挙げていくときりがなさそうな気がしましたので割愛しました。
ただ黒部は私鉄ですから範疇に含めた方が良さそうですね。

今度機会があったら撮ってみようと思います。
ご指摘ありがとうございました!

投稿: 社長 | 2011年10月 7日 (金) 08:40

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