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2012年5月22日 (火)

◆トワイライトゾーン!?◆下野のヤマから

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 本日2012年5月22日、東京スカイツリーがオープンしました。オープンと言っても、建設中から毎日眺めている分、感動はいま一つです。今回の記事は、スカイツリーではなく、スカイツリーが建っている土地と密接に関係するあるものが主役です。

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■東武会沢線上白石駅廃駅跡を望む。写真中央奥が葛生駅。
 そこからカーブしながら手前に伸びる築堤が東武会沢貨物線。

 下野国のある地域は、秩父と並びとある鉱物資源の産地で知られています。それは、自給率100%で輸出すらしているという、いまどき珍しい資源です。採掘された鉱石は、然るべき粒度に粉砕され、あるいは焼成されてセメントとなり、関東を中心に消費地へと発送されます。

業平橋に、日本最初の生コンクリート工場が建設されたのは、戦後の1949年11月。業平橋が選定された理由は、言わずもがな、上の写真の上白石駅から東武鉄道によって原料(鉱石、セメント)を輸送するのに好適であったからにほかなりません。その後、1993年3月30日には上白石から業平橋への貨車輸送がトラック輸送に置き換えられて廃止となり、親会社の創立100周年が目前に迫った2007年10月には、生コン工場も閉鎖されました。その跡地に建ったのが東京スカイツリー、というわけです。

 上白石駅近傍で操業しているセメント工場までは、鉱山から全長およそ3.3kmの軌道(軌間762mmのナローゲージ)が敷設され、ガソリンカーによる鉱石のピストン輸送が行われていました。軌道は1980年12月に廃止されましたが、当時使用されていた車両が、2012年現在、町役場の跡地に保存されています。

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先頭から機関車、鉱車、人車の順に並んでいます。以前、レイルマガジン編集長のブログ『編集長敬白にて紹介されていますので、詳細は割愛します。

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ただ、名取編集長の記述には一つ注意すべき点があるので、この機会に言及しておきましょう。上記リンクの記事には、

1980(昭和55)年12月30日限りで地下に埋設された新しい輸送システムにその任を譲り廃止されてしまいました。

と記載されています。この書き方ですと、まるで1980年12月に新しい輸送システムが運行を開始したかのように読めてしまいますが、実際に走り始めたのは翌年の1981年8月です。現地を訪問したことのある方はお気づきかもしれませんが、その新しい輸送システムのかなりの区間が旧軌道の廃線跡直下にあります。つまり、廃止後にレールを撤去して開削工法で新しい軌道を埋設している部分がかなりあるのです。したがって、廃止と同時に運行を開始するのは物理的に不可能です。

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保存されているNo13は、1962年4月に日立製作所で5両製造された10トン機のうちの1両で、エンジンは日野DS-50(出力95ps)、液体変速機は新潟CB100、動力伝達方式はチェーン駆動です。

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No11(製番12606)~No15(製番12610)は同一ロットで製造されています。

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鉱車の荷重は3tで、最大22両編成でした。

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鉱山労働者を輸送するため、人車も連結されることがありました。妻面の扉が開閉し、中に入って見学できるようになっています。素晴らしい試みです。

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軌道の概要と歴史が簡潔に解説されています。ただ車両を保存するだけでなく、その価値を広く啓蒙していくのも非常に大切なことです。なお、軌道の廃止後に運行を開始した新しい輸送システムは、カ○セルラ○ナーと呼ばれています。

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 カ○セルラ○ナーは、傍目には唯のパイプラインにしか見えませんが、圧縮空気の力で動くゴムタイヤ式のトロッコ、と言えば分かりやすいでしょうか。その軌道は、原則として地下にあるため簡単に見ることはできませんが、積込施設付近や川を渡る部分だけは地表に露出していて、一般道からも軌道の外観の一部を見ることができます。ご覧のように全線複線です(あたりまえか…)。

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トロッコの荷重は1両あたり1.6トンで、直径はおよそ1メートル、全長はおよそ4メートルほどでしょうか。これを3両連結し、3両1ユニットで動いています。同時に最大23ユニットを運行可能で、最高速度は30km/hです。1時間あたりの輸送能力はおよそ300トン、年間輸送能力は200万トンです。元々は、住友商事、住友金属工業、新潟鉄工所、鹿島建設の4社が、旧ソビエト連邦から技術導入した輸送システムです。原理的には、オフィスビルで使用されているエアシューターとほぼ同じものです。日本国内では、トンネル工事のズリ捨て用に期間限定で導入されている事例は他にもあるようですが、恒久的に使用されているのは、ここだけです。

【参考】

  • 住友大阪セメント100年史

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