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2012年6月12日 (火)

★335000アクセス突破★西武保谷のE12~ウェスティングハウスの凸形電機~

 今年は、西武鉄道創立100周年を記念して、様々な催しが企画されているようです。その第一弾が、2012年5月13日、西武鉄道 旧保谷車両基地で開催されました。

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武蔵野鉄道時代から起算して100年ですから、設立されたのは1912年ということになります。ここで大手私鉄の設立年を確認してみると…

  1. 1884年、南海電気鉄道(大阪堺間鉄道)
  2. 1894年、名古屋鉄道(愛知馬車鉄道)
  3. 1897年、東武鉄道
  4. 1898年、京浜急行電鉄(大師電気鉄道)
  5. 1899年、阪神電気鉄道(摂津電気鉄道)
  6. 1906年、京阪電気鉄道
  7. 1907年、阪急電鉄(箕面有馬電気軌道)
  8. 1908年、西日本鉄道(九州電気軌道)
  9. 1909年、京成電鉄
  10. 1910年、京王電鉄(京王電気軌道)
  11. 1910年、近畿日本鉄道(奈良軌道)
  12. 1912年、西武鉄道(武蔵野鉄道)
  13. 1917年、相模鉄道(神中軌道)
  14. 1922年、東急電鉄(目黒蒲田電鉄)
  15. 1923年、小田急電鉄(小田原急行鉄道)

となり(カッコ内は設立時の会社名)、東京メトロを抜いた15社のうちの12番目ですから、西武鉄道は比較的「新しい」鉄道ということになります(笑) もっともここ数年間、日本全国で大手私鉄の100周年記念イベントが続いている中での西武ですから、わざわざ調べなくても感覚的に分かる方が多いかもしれません。

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今回の公開に合わせ、同車両基地跡で保存されていたE11形電気機関車E12が、綺麗に補修・再塗装されました。

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 1924年に竣工した西武鉄道E12(武蔵野鉄道デキカ12)は、機械部分をBaldwin(ボールドウィン)社で、電機部分を Westinghouse(ウェスティングハウス)社で製作したもので、設計のベースは、米国のインターアーバン用に量産されていた機関車です。写真のように右側運転台なのは、米国の鉄道が右側通行を基本としているためです。これまで、右側運転台に関しては武蔵野鉄道の島式ホームとの関連が指摘されていますが、私はこの説には懐疑的です。

電車の場合、運転士は一人乗務が基本ですから、タブレット交換時に運転台が反対側にあれば支障をきたすかもしれませんが、機関車は二人乗務が基本です。国鉄の機関車でも、一人乗務が常態化したのは1970年代以降であり、E11形が導入されたのは、機関車といえば二人乗務があたりまえだった頃です。このような時代背景に鑑みれば、タブレット交換と運転台の位置を関連付けるのは無理があるのではないでしょうか。

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 ボールドウィン・ウェスティングハウスが製作したインターアーバン用の凸型電気機関車には、Class Aに始まり、Class B, B-1, C, D, E, S と様々なバリエーションがありました。このうち武蔵野鉄道が輸入したのは Class B-1 です。

Class B-1は、第一次世界大戦後に Class B をモデルチェンジした廉価版で、1923年から量産が開始されています。武蔵野鉄道デキカ11~13は、米国仕様の右側運転台そのままの設計ですが、信濃鉄道1~3や、その後日車(+東洋電機)でコピーされたタイプは、日本向けに左側運転台にアレンジされており、ボンネットも左右逆についています。(B-1ではありませんが、同社の輸入機第1号とも言える秩父鉄道デキ1~5 も、左側運転台ですね)

Class B は、1910年から量産が開始されたモデルで、同時生産された Class D の低消費電力・軽軸重版です。つまり、デキカ11~13は、当時の標準設計の小型機の、更に廉価版ということになります。欧米と比較して劣悪な日本の鉄道インフラには、Class B-1 のようなロースペック機がうまく適合したのでしょう。

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■西武鉄道E12    2012年5月13日、保谷       ■弘南鉄道ED333    2010年5月、平賀

同一ロットで製作されたデキカ13は、2012年現在も弘南鉄道ED333(右写真)として現役です。バラスト散布や冬期の除雪用 として活躍しています。

 日本で活躍した輸入機関車に関する研究は、これまで様々な誌面・書籍で発表されてきましたが、出典・参考文献に並んでいるのは日本の公文書や日本語の書籍ばかりです。この手の機関車は、製造者の所在していた本国の方が、資料は豊富に揃うはずなのですが、きちんと英語やドイツ語の文献にあたって執筆された記事が驚くほど少ないのが気になりますね…。

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コメント

数年前の記事ですが、このE12電気機関車について検索していましたら、
こちらのブログを発見致しました。


この機関車を西武鉄道100周年記念で 綺麗になったことを
この展示のとき、私も見に行きました。


実は、飲み友だちの西武鉄道勤務者から 裏話を聴きました。

この友人は現在も西武鉄道に勤務しております。

以前は電車の運転士もしておりました。

若い頃に電車の運転士になるための研修を 保谷の施設で受講していたとき、
昼休みに仲間とキャッチボールをしていたそうです。

しかし、ボールが暴投して
このE12電気機関車の車体に当たり
凹ませてしまったそうです!!


この展示会のときに 凹み痕跡を捜査しましたが、わかりませんでした!


そんな逸話を コメントさせて頂きました。

投稿: 準急豊島園 | 2016年2月19日 (金) 09:15

準急豊島園さまこんばんは
コメントありがとうございます

西武鉄道職員のわんぱくエピソードをご紹介いただき、楽しく拝見しました(^^;;
同型機は3両ありましたが、凹んだのはE12だったのでしょうか?

凹みは全般検査時に叩き出しで直されたのでしょうかね。

そういえば、見学当時は反対側がまだ痛々しい姿でしたが、その後修復されたのか気になるところです。

投稿: 社長 | 2016年3月 1日 (火) 22:24

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