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2012年8月

2012年8月27日 (月)

★日立製作所専用鉄道のスイッチャー★日立物流D25-1

Kasadoworks

 日立製作所笠戸事業所を訪れるのは、かれこれ3年ぶりになります。前回訪問時は、ちょうどスイッチャーのメーカー別の形態分類作業に着手した頃で、その素材となる日立のロッド駆動機を撮り逃すまいと必死になっていた ことを思い出します。その後、様々な方と出会い、現在ではメーカー別の機関車製造リストや、SUPPLY LIST HITACHI DIELSEL LOCOMOTIVES(日立製全内燃機関車諸元表)を入手するに至りました。人との出会いはまったくの偶然ではなく、ブログで地道に研究を積み重ねたことも多少はプラスに働いたのではないかと思っています。

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 2012年7月28日、TX(つくばエクスプレス)の甲種輸送があるということで、訪問しました。前回はD-151(日立製15tロッド駆動機)+D25-1(北陸重機製25t機)の重連で東京メトロ10000系を引き出してきましたが、今回はD25-1単機での出場でした。時刻はこれまでと変わらず10時頃です。

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物流の方に確認したところ、D-151はもう解体されて現存しないとのことです。いっぽう日立製25t機の方は予備機として健在ですが、めったに動くことはないそうです。2009年秋まで頻繁に動いていた方が廃車になったというのも、なんだか意外な話です。

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この日は、TX(つくばエクスプレス)用2000系6連+6連の12両編成を引き出します。TXは、東京秋葉原から千葉県流山市・柏市を通過し茨城県つくば市へ至る路線で、沿線には、高校3年間を柏駅近くの県立高校で過ごした私の同級生が、今でも数多く住んでいます。私が高校生の頃は、常磐新線(=鉄道要覧におけるつくばエクスプレスの正式名称)は開業するあての無い未成線扱いでしたが、あっという間に開業してしまいました。

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最後尾はブルーシートに覆われています。これは、甲種輸送時に牽引する電気機関車のパンタから飛散する油によって次位に連結された車両が汚れないようにするためです。納入先の鉄道事業者からしてみれば、新品が納品された時点で汚れていたら、いい気はしないでしょう。

上の写真1~2枚目を見ると分かりますが、機関車に連結されない側の先頭車にカバーは付きません。たまに、編成最後尾の先頭車にもブルーシートがかけられていることがありますが、これは甲種輸送の途中で進行方向が変わる場合の措置です。

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ブレーキ制御のための引き通しが、連結部から運転室内に向けて伸びています。これはおそらく、MR管の引き通しではないかと思われます。というのも、TXの車両の運転台側は、JRの電車のように密着連結器ではなく自動連結器になっているからです。

密連の場合、BP管もMR管も連結器に内蔵されていますので、密連の先頭車同士の連結面にブレーキホースは不要ですが、自連の場合はそうはいきません。法令上、BP管の引き通しは必須なので、上の写真では自連の下でブレーキホース同士を接続しているのが見えると思いますが、運転室内に引き込まれているのはこれとは別系統のホースです。おそらく、運転室から客室へと入り、台車直上の床面に設けられた点検蓋から床下に入って、MR管と接続しているものと思われます。なお、TX2000系を含む最近の電気指令式空気ブレーキの電車でもMR管の編成内引き通しは標準で行われていますので、先頭車と中間車や中間車同士の連結面に上のようなケーブル接続は不要です。

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スイッチャーが甲種輸送車両から切り離されて踏切を渡るのは、10:30頃です。

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空き地から形式写真を撮影。以前はD-151の次位でうまく撮れませんでしたが、今回は成功しました。背後にあるメーカーも以前は下松駅に連絡する専用線を有しており、笠戸のスイッチャーが入換を担当していました。

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今回は急ぎの用件が無いため、下松駅中線への引き出しまで追ってみます。

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11:11頃、JRの機関車が到着し、中線へ入線します。スカート部をよく見ると、BP管のみならずMR管のコックにもきちんとブレーキホースが接続されていることが分かります。

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その後入換扱いで側線へ入ると、2000系12連を引き出して再び中線へと入線します。

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進行方向向かって右側のテールライトのみを点灯し、入換扱いでの運転です。

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出場したTX2000系12連。このあと、昼過ぎに土浦駅に向けて発車していきました。

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2012年8月22日 (水)

★365000アクセス突破★大阪環状線に学ぶ、103系KER6ジャンパ栓納めと引き通し

 103系直流通勤型電車は、私の好きな系列の一つです。首都圏から姿を消して久しいですが、関西や広島などJR西日本管内ではまだ現役で活躍中です。無論、弊ブログで撮影ガイドなど企画するはずもなく、今回のテーマは「ジャンパ連結器」を車体に固定するために設けられている「ジャンパ栓納め」です。

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 電車が走行するためには、運転台のある制御車から、主電動機を制御するための主制御器を搭載した車両に対して、引き通し線を介して電気指令を伝達する必要があります。このため、車両同士を連結する際は、連結器同士を接続するだけでなく、引き通し線の接続も必要になります。引き通し線の接続に使用されるのが、ジャンパ連結器(ジャンパケーブル)です。

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ジャンパ連結器は、国鉄新性能電車の場合、(一部の例外を除き)各々の車両の奇数向き(東海道本線を基準とした場合の上り向き)に取り付けられており、隣接する車両のジャンパ栓と連結します。したがって、上の写真のように常時奇数向きの編成端に連結されている車両の奇数向きには、常時未使用のジャンパ連結器がありますので、これを垂れ下がらないように固定しておくため、車体側にジャンパ栓納めが設けられています。

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201系を例に見てみましょう。201系は、先頭車を含めて全車両が片渡り構造で製作されました。奇数向き偶数向きどちらの先頭車も、引き通し線が山側にしかないため、その顔つきには大きな相違点があります。奇数向きのクハ201形(左写真)にはジャンパ栓収めがあり、ケーブルが納められていますが、偶数向きのクハ200形(右写真)には栓納めもケーブルもありません。

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これに対し、103系の場合は、先頭車のクハ103が新製当初より両渡り構造で製作されたため、奇数向き・偶数向きどちらの先頭車もジャンパ栓納め(KER6)を標準装備しています。上の写真では、左側が奇数向き(大阪環状線外回りの先頭車)クハ103-843、右側が偶数向き(内回りの先頭車)クハ103-802ですが、両者の相違点はジャンパケーブルの有無だけです。偶数向きに連結されている802も両渡り構造であるため、奇数向きに供されても都合が良いように栓収めを備えているのです。

●ジャンパ栓納めの無い103系先頭車

 さて、いよいよ本題です。もし貴方の周りに103系マニアがいたなら、こんな質問をしてみましょう。

  • 「103系の先頭車でジャンパ栓納めの無い車両はありますか?」

大抵のマニアは、すぐにこう答えるでしょう。

  • 「クハ103形500番台とクモハ102形には無い」

クハ103形500番台は、京浜東北線向けに投入が開始された偶数向きの片渡り構造車です。編成の奇数向きがクモハ103形であることから、両渡り構造にする必要がなく、新製当初より偶数向き片渡り構造、ジャンパ栓収め無しで落成しています。

いっぽうクモハ102形には、営団地下鉄東西線直通用に新製された1200番台と、筑肥線用1500番台6連を3+3連に分割するためにモハ102形に運転台を取り付けた改造車、さらにクハ79形600番台から改造された川越線用の3000番台、そしてJR西日本の播但線向け改造車3500番台、加古川線向け改造車3550番台があります。いずれも、モハ103形とユニットを組む電動車で方転する必要が無いことから片渡り構造で、偶数向きに設けられた運転台の下にはジャンパ栓納めはありません。

しかし、実は103系にはほかにもジャンパ栓納めのない先頭車が存在するのです。

●ATC車上装置搭載による運用制限、事実上の片渡り化

 営団地下鉄千代田線直通用の103系1000番台は、モハ4ユニット8両をクハで挟んだ10両固定編成で新製投入されました。編成両端のクハは、奇数車番車が奇数向き、偶数車番車が偶数向きに連結されました。クハ103形は本来両渡り構造のはずですから、ふつうに考えれば両端のクハはいずれもジャンパ栓収めを備えていそうに思えます。しかし実際にクハ103形1000番台を観察してみると、奇数車番車にはジャンパ栓収めがありますが、偶数車番車にはないのです(永尾さんのこちらのページ に掲載された各写真を比較してみてください)。

 さらに、クハの正面床下、連結器両脇を観察してみると、これがまた興味深い。奇数車番車・偶数車番車いずれも、ジャンパ栓は山側にしか設けられていない(両端のクハの正面写真を横に並べると、ちょうど左右対称になっている)のです。つまり、103系1000番台は、冒頭で紹介した201系同様、先頭車を含めて全車両が片渡り構造で製作されている可能性が高いのです。これはなぜでしょうか。

 ここからは私の推論になりますが、クハ103形1000番台の片渡り設計はATCの搭載と無縁ではないと思われます。営団地下鉄千代田線・常磐緩行線に導入されたATC4型は、その後山手線・京浜東北線に導入されたATC6型同様に車内信号方式を採用しており、2本のレールに流れる信号電流(もちろん交流)を車上装置で受信して運転台に制限速度を現示し、実際の速度が制限速度を超過した場合に自動的にブレーキをかけるシステムです。信号電流は、各制限速度毎に固有の周波数がアサインされていますが、上りと下りでは搬送周波数が異なります。したがって、ATCの車上装置は上り用・下り用が区別され、上り用の装置を搭載した上り向きのクハ103形を方転しても、下り向きの先頭車としては使用することができないのです。つまり、ATC使用線区内におけるクハ103形0番台は、事実上の片渡り構造車というわけです。

 地上線用のクハ103形0番台は、269番以降の多くの車両が高運転台+ATC標準装備ないし準備工事済で落成しました。これらの車両は、ATC区間においてはそのままでは方転して使用することができませんが、将来の転属を考慮すると、非ATC線区では従来通り方転して使用できるため、両渡り構造のまま製造が続けられたものと思われます。これに対してクハ103形1000番台は、特定線区向けで、将来非ATC線区へ広範に転用することはあまり考慮されていなかったのではないでしょうか。このため、奇数向き・偶数向きのクハ103形1000番台は、それぞれ方転不可能な片渡り構造車として製造されたものと思われます。想像の域を出ませんが、ジャンパ栓納めひとつから色々仮説を立てて検証してみるのも面白いのではないでしょうか。

 なお直接ATCとは関係ない事例として、豊田電車区所属の偶数向きクハ103形0番台の中に、ジャンパ栓納めのない車両が何両かあったのを覚えています。これについては、新製時に装備していたものを後年になって撤去したのか、はたまた新製時から省略されていたのか、よく分かりません。どなたか、103系に詳しい方のコメントを期待したいところです。

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2012年8月16日 (木)

★名古屋市営地下鉄★日進工場のスイッチャー

 名古屋市交通局日進工場は、地下鉄鶴舞線・桜通線で運行されている車両の全般検査を担当しています。全検を施行するためには、編成を解いて車両をばらす必要がありますので、自走できない電車を移動するために入換用機関車(スイッチャー)が必要になります。しかしながら、この工場の全検に伴う入換は月に1~2日しか実施されないため、スイッチャーを撮影するのは至難の業。マニアにとっては、まさに難攻不落のスイッチャーとして知られています。

 名古屋へ出張した6月のとある週末、「日進工場のスイッチャーDD351は、最近のサイクルでは毎月中旬に動くことが多いらしい」との情報を入手しました。もちろん動くとしても平日ですから、首都圏に住む私が名古屋まで行くのは難しいのですが(行けても仕事で撮影どころではない)、8月中旬のお盆の後の平日ならば、勤務先は会社休業日ですが日進工場は平日扱いのため、入換が期待できます。早速訪れてみることにしました。

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本日2012年8月16日に訪れてみると、工場建屋前にDD351の姿がありました。しかし、動き始めたのは14時過ぎで、かなり待たされました。

1976年(昭和51年)日本車輌製造製の35t機で、住宅街を走行するため防音構造となっているのが特徴です。今日は、明日の入換のために暫定速報としてアップしますので、車両に関しては後日追記・更新します。

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1両分ずつ引き出してくるため、本格的な入換運転が始まったのは15時以降でした。39番線から鶴舞線用の電車を引き出してきました。

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台枠下(台車周り)がスカートで覆われているという点では、同じ時期に日車で製作された新日本製鐵専用鉄道(通称:くろがね線)向け70t機 との共通点が見出せます。また、この時期の日車の35t機は、基本的にフロントラジエーターのタイプしか製作されていませんが、この車両の場合は国鉄DD13 110号機以前のように、ボンネット先端側面にも通気口があり、通常の35t機とは異なる様相を呈しています。

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キャブ側面には、名古屋市交通局の銘板と、日車の銘板があります。製造番号は3268です。

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工場に引き込まれている線路は38~40番線の3本で、電化されている(入出場する電車が自走できる)のは38番線のみです。したがってスイッチャーDD351の役割は、38番線に入線した電車を、39ないし40番線へ入れ換え、全検終了後に再び組成して38番線へ戻す作業になります。もちろん、新車や廃車の回送時は異なる動き方をすることもあるようです。

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入換中は、単機で別の線路へ向かうこともあるため、ふだん電車と連結されていて見えない後位側を見るチャンスもあります。

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日進工場では、鶴舞線のみならず桜通線の車両の全検も担当しているため、運がよければ桜通線の入れ換えも見られます。右側運転台が特徴的です。

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このスイッチャーは、所定では明日17日も動くことになっています。今日と動き方・時刻は異なる可能性が高いと思われますが、興味のある方は訪問してみるとよいかもしれません。

●車両搬入時の入換

 名古屋市交通局鶴舞線・桜通線の車両は、車両メーカーからJR→名古屋臨海鉄道→名鉄を経由して、当車両工場へと輸送されます。名鉄大江駅から当工場最寄りの赤池駅までの間は、名鉄の電気機関車が牽引します。

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 2011年10月9日は、山口県の日立製作所笠戸事業所から大江まで鶴舞線の新車N3000形N3101Fの甲種輸送が実施されました。大江から金山までは、デキ重連+N3000形+デキのプッシュプル形式、金山でデキ1両を切り離し、赤池まではデキ重連が牽引しました。

輸送は夜中に実施されるため、普段は関東在住の私がこの撮影だけのために二日連続で休みを取るなど現実的ではありませんが、この日は翌日が体育の日で祝日のため、心置きなく夜中まで張り込むことができたわけです。写真はいずれも日進工場付近で、デキ牽引でやってきたN3000形は赤池駅まで入線(左)したあと、工場を出場したスイッチャーが1本隣の線路を通って駅へ向かい(右)N3000形を牽引して工場へ戻ります。終わってみての感想は……やはりスイッチャーは明るいところで撮るに限りますね(笑)

●日進工場の見学

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 もし貴方が日進工場を見学する機会があったら、案内の方にぜひDLのことについて尋ねてみてください。うまく話が進めば、このように間近で見学させてもらうことも不可能ではありません。(撮影許諾済)

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いちおう、見学ルート上にはこのような説明パネルも用意されていますので、展示物として認知はされているようです。しかし大抵の鉄道マニアにとってこの車両は興味の対象外であるため、興味があって見学していることをきちんと伝えないと、スイッチャーの前を素通りされてしまうかもしれませんね。必要以上に遠慮はしない方が良いです。

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2012年8月12日 (日)

【くろがね線を読み解く】第111回■三菱化学黒崎のスイッチャー、くろがね線を走る!

 JR九州 鹿児島本線黒崎駅と三菱化学黒崎事業所を連絡する、三菱化学専用鉄道。この専用鉄道で貨車の入換に使用されている三菱化学物流のスイッチャーは、Y製鐵所戸畑構内にある日鐵運輸(現 日鐵物流八幡)で全般検査を受けている。通常、専用線や専用鉄道で使用されている産業用機関車が検査を受ける場合、特に小型機関車の場合に顕著であるが、検査を施行する工場までトレーラーで輸送されることが多い。しかし、鉄道事業者のダイヤを支障しないと判断された場合は、鉄道輸送(回送)されることがある。

たとえば、かつて近江長岡駅に連絡していた大阪セメント伊吹工場専用線の電気機関車が名鉄で全般検査を受ける際には、東海道本線を甲種輸送されていたし、2012年現在でも、倉賀野駅・熊谷貨物ターミナル駅で入換に使用されている高崎運輸(現 JR貨物北関東ロジスティクス)の機関車は、JR貨物の列車によって大宮車両所まで回送されている。

 さて、その夢を見たのはとある夜。日鐵運輸で検査を受けるため、三菱化学物流のスイッチャーがくろがね線を走行して戸畑へ回送される、という内容であった。


より大きな地図で 三菱化学物流スイッチャー回送ルート を表示

回送ルートを可視化すると、ちょうど上図のようになる。赤いマークの場所から黄色いマークの場所への回送で、その内訳は、

  1. 三菱化学専用鉄道 黒崎事業所→JR黒崎駅
  2. JR九州 鹿児島本線 黒崎→黒崎分岐(西八幡)
  3. Y製鐵所専用鉄道 西八幡→八幡第二操車場→戸畑第一操車場
  4. Y製鐵所構内鉄道 戸畑第一操車場→日鐵運輸

となる。3のY製鐵所専用鉄道のうち、電化区間である八幡第二操車場→戸畑第一操車場間がくろがね線である。 

早速格安航空会社の空席をチェックしてみると、2012年8月7日の羽田→北九州便、翌8日の福岡→成田便(後述)に空席があったため、訪問してみることにした。

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 八幡駅前の某ホテルに泊まった翌朝、例によって徒歩5分の場所にあるレンタサイクルの無人スポット で自転車を借り、一路黒崎駅へ。相互リンク先の奥野さんと、駅ホームで待ち合わせることに。9時頃になると、JR貨物の171列車が到着した。荷はなく、EH500-70単機であった。

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すると、三菱化学黒崎事業所から、スイッチャーが姿を現した。新潟鉄工所製の35t機D353が、無動力の日本車輌製造製35t機D352と、交検コキを連ねて駅へと入場した。

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三菱化学専用鉄道のスイッチャーは2両あるが、姿形がよく似ているため1両しかいないと思われることもある。しかしよく見ると、ラジエーター、ヘッドライト形状などが異なっているため、識別は容易である。

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D352を切り離し、D353は小倉側へと引き上げていく。この角度から見ると、D352と353の相違点がよく分かる。普段は2両並ぶことはないから貴重な構図である。

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171列車のEH500がD352に連結され、後ろのコキが切り離された。

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上り貨物列車(2012年3月改正ダイヤでは1052列車)を1本やり過ごすと、EH500+D352の回送列車が西八幡に向けて発車した。西八幡は、厳密には黒崎駅構内であるため、EH500の進行方向向かって右側のテールライトが点灯し、入換運転扱いとなっている。

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普段はレール輸送用チキ(返空)を西八幡へ運ぶための構内入換運転なのだが、今日はD352の回送のための運転となっている。構内入換運転のため、営業キロの設定されていない区間に運賃は発生せず、甲種輸送とはならない。

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 一旦奥野さんと別れ、国道3号線に出てレンタサイクルを飛ばすと、西八幡で追いつくことができた。D352に添乗していた方が、スイッチャー内の運転台を確認している。

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EH500が切り離されると、

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Y製鐵所の入換用スイッチャーとの並びを見ることが出来た。

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本日の入換担当は、普段の日立製45t機D442ではなく、同じ日立製のD445である。

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D445に乗ったY製鐵所の運転士は、D352へ接近して一旦停車し、

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地上に降りて、このように連結面を目視で確認しながら連結を行った。D445は、D442同様にリモコン制御に対応しているため、入換作業はワンマン化されている。

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D445に牽引され、D352が製品倉庫東ヤード へ向かっていった。すぐに八幡第二操車場に向けて発車してしまうのかと焦ったが、

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機回しをしただけで、再び定位置の落書きワム前へと戻ってきた。運転士が降りて詰所へ入ってしまったため、暫く動きがないと判断し、再び奥野さんと合流して駐車場に下りてみることにした。

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三菱化学物流のスイッチャーと、Y製鐵所のスイッチャーが、重連を組んで走行することはめったにない。非常に貴重なシーンである。

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三菱化学専用鉄道は、黒崎駅西側で鹿児島本線と分岐してからすぐに工場へと入ってしまうため、このように真横からスイッチャーを見られる場所が無い(黒崎駅ホームからでは距離が近すぎる)。

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製鐵所の機関車は貫通ブレーキの引き通しを持たないため(機能としては存在するがブレーキホースを備えない)、D352とD445を繋ぐのは連結器だけで、BPのホースは繋がらない。

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背後は完成間近の国道3号黒崎バイパス。本来は、裏側の製品倉庫の壁面に製鐵所のロゴが大きく描かれているのだが、道路が邪魔をして見えなくなってしまった。

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D445は予備の機関車であり、こうして外部から撮影できる場所まで出てくることはめったにない。D352と重連を組んでいることとあわせ、非常に珍しい場面である。

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D445の銘板。この機関車は以前の記事 で紹介済みである。1975年(昭和50年)日立製作所製の45t機で、エンジン形式はDMF31SB、出力500ps、トルコンはDBG138である。製造番号は20609010と8桁になっている。理由については、既に別記事で解説している ので参照されたい。

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 昼過ぎになると、詰所からスタッフが出てきたため、奥野さんと別れてレンタサイクルで裏側に回りこみ待機することにした。13時前、音もなく突然現れたD445+D352。

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西八幡からY製鐵所へ入る直前に、幹線道路を橋梁で横断する。Y製鐵所専用鉄道にある下路トラス橋梁は、ここと、枝光駅近くにあるものの2つだけである。普段は、この道路は大型トラックが頻繁に通過するためまともに撮影できないのだが、奇跡的に信号が赤になり、交差点からクルマの姿が消えた。

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今回のベストショット。西八幡からY製鐵所構内にある第二操車場へ向かうD445+D352。レール輸送用の貨車を運ぶときよりも幾分遅い速度で慎重に進んでいった。

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 レンタサイクルで移動すると、奥でスイッチバックした編成が再び姿を現した。今度は先頭がD352、後ろからD445が推進運転している。運転士はもちろん先頭のD352のステップに乗り、後方のD445をリモコン制御している。

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Y製鐵所専用鉄道を、三菱化学専用鉄道のスイッチャーが走行している。編成はいよいよ、くろがね線の出発地、第二操車場へと入線する。くろがね線の八幡側(枝光付近)は障害物が多すぎるため、戸畑側へ先回りすることにした。スペースワールド駅前のスポットに自転車を返却し、八幡駅前からタクシーに乗った奥野さんに拾っていただき、一路戸畑側へ向かう。

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 普段この場所に来るときは、小倉からレンタサイクルで来ることが多いので、タクシーで来ることはめったに無い。早く着きすぎたのか、1本目の戸畑行きには連結されていなかったが、16時頃現れた2本目の戸畑行きに、D352の姿があった。先頭は普段通り85ED形だが、

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鉄スクラップを積んだダンプカーの後ろ、後部補機70DD形の前位に、D352の姿があった。回送車両をELとDLで挟むのは、八幡の機関車を戸畑で検査する際と同じである。

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並んで連結されていると、その大きさも直感的に比較できる。D352の屋根高さは後ろの70DD形とさほど変わらず、意外と大きいことが分かる。

そしてこのシーンは、くろがね線の線路がJRと繋がっている何よりの証拠である。

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後追い。この後、あらかじめ呼んでおいたタクシーに乗り、戸畑第一操車場に向かうと、

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ちょうど入換の真っ最中であった。左が到着四番線に到着したばかりのD352、右が発送七番線を使用して機回し中の70DD形D704、中央は発送六番線でカバー台車を入換中の60DD形。産業用機関車がヤード内に並ぶ。

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70DDが八幡行き編成の最後尾に回り込む頃、85ED形が回行線を走行してきた。発送六番線の貨車を牽引して八幡に向けて出発すると、

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ようやくD352の姿を見ることが出来た。普段はJRの貨車しか相手にしていないスイッチャーが製鐵所の貨車に囲まれる光景も大変珍しい。第一操車場に到着した貨車は、行先別に切り離されて順次運ばれていくため、編成最後尾のD352が到着後すぐに発車することはない。

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先頭のカバー台車に引き続き、今度は前位に繋がれた鉄スクラップ積載のダンプカーが切り離され、スクラップヤードへと運ばれていく。

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迎えの機関車を待つD352。操車場にしばしの静寂が訪れる。

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17時前になると、ようやく日鐵運輸の機関車工場から迎えの機関車がやってきた。充当されていたのはD612で、初めて見る機関車である。D612は「戸・八」札や運用札を一切掲出していないため、この日に非番だった機関車が手配されたのかもしれない。

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いよいよお別れの時。D612+D352が、第一操車場を発車する。

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1日がかりとなったが、大変興味深い車両回送を見ることが出来た。三菱化学黒崎事業所から日鐵運輸までの総移動距離はおよそ13km。この回送運転のために、合計6両もの機関車が牽引にかかわったことになる。なお検査終了時は、逆ルートで戸畑から三菱化学へと返却回送されることになるが、西八幡→黒崎間でスイッチャーを回送する170列車の発前入換が朝9:30頃であるため、返却回送は1日では終わらない可能性があるので留意されたい。

●LCCを活用する

 今回の九州行きが成功した要因として忘れてはならないのが、LCCの台頭である。

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■乗客搭乗中の成田行き最終便。駐機場までは徒歩で案内。 2012年8月8日、福岡空港

今回予約できたJetstar福岡→成田便の座席は、通常運賃に¥850の追加料金が必要なエキストラ・レッグルームと呼ばれるシートピッチの広い座席であった。非常扉付近の座席は、扉の開口幅を確保するため、ほかの座席よりシートピッチを広げざるを得ないため、その部分だけグレードの高い座席として販売しているわけである。これがなかなか快適であった。なにしろ、座って両足を伸ばしても、前の座席の背中に足が着かないほどゆったりしているのである。あと数cm横幅が広ければ、新幹線のグリーン車の座席と比較しても遜色ないといえよう。

CAの応対も非常に洗練されていて、若いスタッフが多いのによく気配りが行き届いていた。英語の機内放送も、大手航空会社の国内線のようにカタカナ英語ではなく、さすが外資系と思わせる流暢なもの。機内サービスについては、私は何も期待していないのでまったく問題は無かった。飲み物が欲しければ、搭乗前にペットボトルを購入して持ち込めば済む話で、わざわざ機内で割高な飲料を購入する必要性は皆無である。

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■福岡空港内の自動チェックイン機。操作は大変シンプルで、大手航空会社より分かり易いほど。

 ところで、移動中のサービスレベルは問題ないとして、利用者が一番気にするのはやはり発着地のアクセスであろう。羽田空港から私の現在の自宅最寄駅までは、エアポート快特で70分前後かかるのだが、成田空港ならばアクセス特急で40分前後とかなり近い。しかも幸いなことに、京成電鉄がジェットスターとタイアップ して夏休み期間限定の臨時列車を走らせている というから、至れり尽くせりである。私の場合は、この臨時列車が無くても上り終電に間に合うので問題は無いが、東京都下や神奈川・埼玉方面にお住まいの方には朗報ではなかろうか。好評ならば、今後のダイヤ改正時に定期列車化もあり得るかもしれない。

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■福岡空港のジェットスター顧客対応カウンター。
  外資系だけあってパツキンのチャンネーの姿も。(撮影許諾済)

なお今年の11月3日、例年通りであれば福岡県大牟田市で炭鉱電車の公開イベントが開催される見込みである。加えて11月2日から4日までの3日間は、起業祭なるY製鐵所のイベントも控えている。例年飛び石となるためどちらも訪問できなかったが、LCCを最大限活用して、今年こそは訪問するつもりである。

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2012年8月11日 (土)

★360000アクセス突破★広電被爆電車651形

 2012年8月6日、広島に原爆が投下されて67年となりました。今年は、昨年とは異なり脱原発運動もジワジワと浸透している ようで、この時期広島のホテルはどこも満室。仕方なく、西条駅前のホテルに泊まることにしました。

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 私は、両親が共働きだったこともあり、小学3年まで学童保育所に通っていました。そこでは、毎年夏になると、先生に引率されて街のコンサートホールへ行き、映画上映会に参加するのが通例でした。映画といっても、子供受けするスタジオジブリ作品などではなく、原爆の記録映画です。いま思えばディープですね。(そもそも1981~83年当時は、まだジブリはメジャー化していませんでした)

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30年近く前のことですのであまり詳細は覚えていませんが、たしか主人公は被爆して白血病を患った女性で、骨髄移植を繰り返しながら生き続けるものの、最後は若くして他界してしまう、そんな内容でした。まだ当時は子供でしたので難しいことはわかりませんでしたが、うつ伏せになった患者の背中に、指の太さほどの巨大な注射針が刺される様子が、目に焼きついています。当時としては、若干トラウマになっていたかもしれません。

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大学に入る頃になると、地球温暖化やオゾン層破壊などの環境問題が社会的にも大きく取り上げられるようになりました。大学で理学部化学科に進んでいた私は、「放射線化学」を専攻しました。原子核物理学が、放射線を出す側の原子や素粒子を研究する学問分野であるのに対し、放射線化学は、放射線を受けた原子・分子の振る舞いを解明するものです。オゾン層や電離層などの上層大気では、太陽からの放射線(太陽風)にさらされた原子・分子が、地表付近とは異なる挙動を示します。このため、実験で似たような状況を再現するには、真空に近い状態まで空気を抜いたガラスの容器内に微量の原子・分子を封入し、加速器で放射線を当てて、イオン化や励起の状態を観察する必要があるわけです。

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こういう分野ですから、当然ながら物理化学はもちろんのこと、放射線や加速器のオペレーションに関する知見が不可欠になりますので、指導教官も原子核物理から転向したような、そっち系のムラの人もいました(苦笑)

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そして、私が大学院修士課程のとき、その事故は起きました。言うまでもない、東海村JCOの臨界事故です。日本人は、あれから一体何を学んだのでしょうか。

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おそらく、チェルノブイリの事故以降、理科系の人間の中にも(単に理系アタマを持っているという意味ではなく、実験・研究の経験があるという意味の理系人間)、原子力発電に夢を抱けなくなっている者は少なくないと思いますし、賛成する者も、その理由は代替手段が他に無いというきわめて消極的なものが主流でしょう。事実、1990年代以降、各大学にあった「原子力工学科」「原子炉工学科」の中には、「エネルギー工学科」のように暖簾を変えているところも見受けられます。「原子力」というキーワードが入っていると学生が集まらないからです。ホットな分野では無いということですね。

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 2011年3月に福島で起きた原発事故に対し、様々な議論・検証があります。学問に忠実な者は、地震や断層と原発の立地について、あるいは原発の構造やオペレーションについて、問題点を指摘するかもしれません。カネに忠実な者は、解決するあての無い放射性廃棄物の処理問題や、廃炉・そして除染に係るコストを勘案した場合に、本当に原発に経済合理性はあるのか、と問うかもしれません。理念に忠実な者は、脱原発を訴えるかもしれません。貴方や周りの人々は、何に忠実でしょうか。

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 広島には、出張も含めて10回以上訪問しています。被爆電車を見て、感じるものの「幅」は、これからも拡げていきたいと思っています。

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2012年8月 4日 (土)

ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(2)

 前回、ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道を走行するトピードカー を紹介しましたが、今回は同じ場所で見られる原料輸送列車を見ていきます。

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現地に到着してすぐに見られたのは、コークス工場前で入換中の石炭輸送用ホッパー車です。奥のコークス工場のすぐ向こう側にはライン川に臨む岸壁があり、

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艀で運ばれてきた石炭が陸揚げされています。

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入換作業に従事している4軸機関車Nr.604は、マシーネンバウ・キール(MaK[1])の貨物用レディメイド機関車G1206をEHが購入したものです。ドイツ鉄道の線路上を走行する貨物専業の私鉄会社にも、ほぼ同型の車両が何両も納入されているほか、フランス国鉄BB61000など隣国でも同型機が活躍中です。したがって、あまり希少価値は無いかもしれません。

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■EUROPORTE G1206 (Nr.1729/1574)     2-5-2012, Völklingen

参考までに、同型機2両を紹介します。ドイツ南西部のザール地方、フェルクリンゲン駅に停車中のEUROPORTE所属の同型機です。左の赤と右の青で重連を組んで使用されています。EUROPORTEは、フランス・英国を中心に貨物輸送サービスを展開している物流会社です。

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コークス工場の入換を行っている最中、奥の高炉方面から別のホッパー車が姿を現しました。同型車ですが、左の貨車の汚れが黒っぽいのに対し、右は白っぽくなっています。これは、右の貨車が石灰石輸送に使用されているためです。

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高炉では、鉄鉱石・石灰石・コークスを上部から投入して、下部から炭化鉄と不純物(スラグ)を取り出します。この貨車は、高炉まで石灰石を運び、空で戻ってくるところです。

長い編成の最後尾に、黄色と朱色のツートンカラーの機関車が見えると思いますが、これは後部補機ではなく、1本奥の線路を走行する別の機関車です。

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その機関車は、トピードカーを牽引していました。Nr.507は、丸みを帯びた車体を持ち、600番台の機関車よりだいぶ古びています。こちらの方が好みです。

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続いて、規格型G1206のNr.603がコークスを積んだ貨車を牽いてやって来ました。

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焼きあがったコークスは、別の場所で使用するために貨車で運ばれます。この貨車の車体側面には、UICコードの表記が見当たらないため、製鉄所構内輸送専用貨車の可能性が高いと思われます。

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別の場所では、粉末石灰(炭酸カルシウム粉末)を輸送するためのホッパー車も見ることが出来ます。粉末石灰は、製銑工程に欠かせない焼結鉱の原料となります。通常、石灰石の粉砕設備を製鉄所が自前で持つことは少なく、こうして石灰メーカーから仕入れる段階で、必要な粒度ごとに区別して受け入れています。粒度の大きい石は上のような無蓋ホッパー車で、粒度の小さい粉末はこのような有蓋ホッパー車で輸送されます。

なお5両編成の貨車のうち、青緑色をしている奥の3両はB Cargo(ベルギー国鉄の貨物輸送部門を民営化した会社で、現在の正式名称はSNCB Logistics)所属の車両です。欧州では、このように専用貨車から成る国際貨物列車も珍しくはありません。

(つづく)

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