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2012年9月 8日 (土)

★安中T社専用側線★新型スイッチャーDB301によるタキ入換

 本日2012年9月8日、いよいよ非鉄金属メーカーT社 安中精錬所の焙焼炉に火入れが行われます。焙焼炉とは、亜鉛精鉱から酸化亜鉛を生成するために必要な釜のことです。T社は福島県の小名浜精錬所にも大型の炉を保有しており、亜鉛精鉱の多くは小名浜で酸化亜鉛(亜鉛焼鉱)となり、タキ車で安中へ輸送されていますが、一部は亜鉛精鉱のままトキ車で安中に輸送され、安中の炉で処理されています。

 2012年7月12日から9月5日までの間、T社は安中精錬所の操業を停止していました。これは、2012年4月1日より東京電力の企業向け電気料金が値上げされたためです。焙焼の後工程となる硫酸亜鉛の電気分解には、生成亜鉛1トン当たり換算で3000kWhともいわれる大電力が必要ですが、割高な電気料金を払いながら操業を続ければ、収益に悪影響を及ぼすのは必至です。このため、夏期限定で操業を停止するに至ったわけです。

 亜鉛焼鉱・亜鉛精鉱を輸送する小名浜(宮下)発安中行きの貨物列車(通称:安中貨物)は、9月6日に運転を再開していますが、安中駅到着後の入換は、日没時刻の関係で夏至の前後の時季にしか撮影できないため、今回は操業停止直前の2012年6月17日に撮影した入換の様子を紹介します。

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■亜鉛精鉱荷役設備兼動車庫を出るDB301  17:08

 この日は日曜日のため、亜鉛精鉱輸送用の無蓋車(トキ25000形)の入換はありません。このため、入換用スイッチャーDB301は亜鉛精鉱荷役用の建屋に格納されていました。17時を過ぎると、入換の準備のために外へ出てきます。

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DB301は、以前の記事 で紹介したとおり、2010年新潟トランシス製の30t機です。とある産業機械専門の商社の方に伺ったところ、新潟トランシスの銘板を付けてはいるものの、実際に製作したのは別メーカーとのことです。たしかにキャブやボンネット(ラジエーター)の形状は、ある保線車両メーカーのそれと酷似しています。その方には、同じく新潟トランシスの銘板をつけている新芝浦の重電メーカーT社のスイッチャーの写真も見せていただきましたが、こちらも実際には別メーカーが製作しています。

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17:40発横川行き149Mをやり過ごします。高崎からこの列車に乗って安中へ来れば、入換には間に合います。

107系電車もそろそろ置き換えの時期が近づいていますね。日光線用の0番台については、抑速ブレーキ・トイレ取付改造を施された205系によって置き換えられることが既に決まっています。(本件、半年以上前にとある関係者から聞いていましたが、正式発表されていたかどうかはうろ覚えです…)

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■安中駅に到着する5781列車と、それを迎えるDB301      17:36

17時半を過ぎると、EF510-509牽引の安中行き貨物列車が到着します。

2012年現在、安中駅の入換は、スイッチャーの運転から推進運転時の誘導、分岐器の切替に至るまで、ジェイアール貨物・北関東ロジスティクスが全面的に担当しており、T社の関連会社である安中運輸は関与していません。DB301の車体表記が、先代DD352のように「安中運輸」ではなくT社になっているのも、安中運輸が貨車入換作業から撤退し、スイッチャーの所有者が切り替えられたためです。

このスイッチャーDB301は、交友社『鉄道ファン』誌の連載にも紹介されていますが、車体表記がDD352と同じ安中運輸ではなく、T社になっている理由については、まったく言及されていませんね。まぁ、取材していないのでしょう。

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■EF510-509カシオペア色とDB301のツーショット             17:39

カシオペア塗装の機関車との並び。

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JRの機関車が機回ししている間に、スイッチャーがタキ車を受け取りに行きます。

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さて、このスイッチャー最大の問題は、上の写真の通り、運転士の座席が車体の中央に配置されていることです。ふつう入換用機関車は、運転台がキャブ中央に横向きに配置され、座席が車体側部寄りに前位側を左手に見て着席するように設けられるのが定石です。ところがこのスイッチャーの配置では、キャブのど真ん中に着席した運転士はボンネットが邪魔になり連結部を見ることが出来ません。

実は、このスイッチャーが導入された当初、運転士や入換担当の方に感想を伺ったことがありますが、前方視認性についてあまり良い評判は聞きませんでした。注文時に「前が見にくくなるから、座席を真ん中にはしないでください」なんてわざわざ言わないですよね、ふつう。ジェイアール貨物・北関東ロジスティクスの方も、機関車メーカーが製作した(プロ中のプロが設計した筈の)車両が、まさかこんなものに仕上がってくるとは、予想もしなかったでしょうね。

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2両ずつ切り離すのは、日車25t機の入換 と同じです。

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■タキ1200形2両を切り離し、専用側線へと引き込む     17:42

タキ1200形で揃った編成も、2012年9月の運転再開後は珍しくなくなりましたが、この写真を撮影した6月時点では稀でした。

Db30110_2

2両をヤマへ推進し、

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■押し込んだタキを奥で荷役中に単機で駅へ戻るDB301 17:53

荷役中に単機で駅へと戻ってきます。

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■3~4両目のタキを再び押し込む               17:57

また2両押し上げ、単機で戻り。これを合計3回繰り返すと、

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■荷役設備から駅への引き出しは6両まとめて行う       18;27

荷役終了したタキ車6両をまとめて駅へと引き出します。

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タキ車を貨車留置線へ押し込むDB301。微妙ですがS字カーブになっています。

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空車の推進はスピード感溢れ手際よく進みます。

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すべて押し込むと、

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単機で引き上げ、

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■残り6両のうちの2両を荷役設備へ推進するDB301      18:34

再び2両ずつヤマへ。

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■2両荷役中に単機で次の2両を引き取りにくるルーチン   18:42

駅ホームから流し撮り。

Db30119

また2両を引き出します。おっと、この日の最後尾2両はタキ15600形でした。

【参考】

  • 日刊産業新聞 2012年4月6日版
  • 上毛新聞 2012年9月7日版
  • 増子昇、高橋正雄「電解百話」、『ソーダと塩素』、2007年

●2012年9月29日追記

 2012年9月6日に運行再開しておよそ一ヶ月が経過しました。ここで、運行状況を振り返ってみようと思います。SNSでお世話になっている「スーパーゆうづる2号」さんの記録データを参照させていただきます。

日付 曜日 牽引機 タキ車 トキ車
2012/9/1 運休
2012/9/2 運休
2012/9/3 運休
2012/9/4 運休
2012/9/5 運休
2012/9/6 EF510-513   12両 6両
2012/9/7 EF510-515    9両
2012/9/8 EF510-502   12両
2012/9/9 EF510-510   12両
2012/9/10 EF510-513   14両 #2
2012/9/11 EF510-515   12両 6両
2012/9/12 EF510-502   12両 1両
2012/9/13 EF510-501   12両
2012/9/14 EF510-503   12両
2012/9/15 EF510-509   12両
2012/9/16 EF510-511   12両
2012/9/17 EF510-513   14両 #2
2012/9/18 EF510-512   12両 1両
2012/9/19 EF510-514   12両 5両
2012/9/20 EF510-510   12両 5両
2012/9/21 EF510-513   12両 #2
2012/9/22 EF510-512   12両
2012/9/23 EF510-514   12両
2012/9/24 EF510-501   12両 #1 5両
2012/9/25 EF510-504   12両 6両
2012/9/26 EF510-509   12両 #2 5両
2012/9/27 EF510-505   12両
2012/9/28 EF510-501   12両 #2
2012/9/29 EF510-504   12両

※タキ車は、特記のない限りタキ1200形です。ピンク色に着色した日は、所定でトキ車が連結されない休日です。

 #1  … タキ15600形×1両を含む

 #2  … タキ15600形×2両を含む

こうやって観察してみると、運行再開からトキ車がまともに連結されるようになるまでには、さらに10日以上を要していることが分かります。焙焼炉に火入れをしても、すぐには本格操業に至っていない様子が見て取れます。

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