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2012年9月 5日 (水)

★370000アクセス突破★阪神電鉄武庫川信号場の入換

 大手私鉄の中にも、中小私鉄のようなローカル色漂う、味わいのある支線があるものです。阪神電鉄武庫川線は、武庫川駅と武庫川団地前駅を武庫川右岸に沿って結ぶ全長およそ1.7kmの路線で、この路線用に改造された車両(7861・7961形電車および7880・7980形電車)が専用で使用されています。これらの車両は、2009年3月の近鉄との相互乗り入れ開始に前後して、連結器を近鉄と同じ柴田式密着連結器に交換してしまった本線用車両とは異なり、いまだに阪神オリジナルのヴァン・ドーン式密着連結器を備えているのが大きな特徴です。

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■左がヴァン・ドーン式密連、右が柴田式密連 2012年8月15日、尼崎

 左が武庫川線用の7861形電車、右が本線用の5131形電車です。このように並ぶと、密着連結器の形と高さが異なるのがよく分かると思います。通常、日本の普通鉄道の車両の連結器中心の高さはレール面から880mmですが、武庫川線用7861形のそれは235mm低く、645mmの高さに付いています。

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日本国内で一般的な密連(柴田式密着連結器)では、空気の引き通し管(BP・MRP)は連結器本体の上下にありますが、ヴァン・ドーン式の場合は上のように連結器頭部(Guide block)の根元に付いているのが特徴です。

ヴァン・ドーン式密着連結器は、米国のVan Dorn Coupler Co.が考案した製品で、日本国内で2012年現在でも採用しているのは阪神電鉄だけです。阪神電鉄は、1921年11月より急行運転を実施するのにあわせて登場した301形電車で、はじめて総括制御による2両連結運転を開始しましたが、この301形に採用されたのがヴァン・ドーン式密着連結器なのです(301形は、のちにトムリンソン式に変更されています)。

1968年4月、密着自動連結器を備える山陽電鉄との間で、神戸高速鉄道を介して相互乗り入れを実施することになりましたが、これ以降は車両や駅に偏差カプラと呼ばれる中間連結器を常備することで、異種連結器の混在に対応しています。

●尼崎車庫から武庫川駅への送り込み回送と武庫川信号場入換

 武庫川線で運用されている編成は、平日・休日とも朝夕のラッシュ時が2本、早朝・日中・深夜は1本です。使用しない編成の留置場所は、武庫川駅構内の本線との交差部です。

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夜間にこの場所で滞泊した編成は、翌朝始発から運用に入り、ラッシュ時間帯が過ぎるとまたこの場所で夕方まで待機します。いっぽう、日中に常時運行している編成は、朝7時過ぎに尼崎の車庫から送り込み回送され、武庫川信号場で本線から連絡線へと進入し、武庫川線の武庫川駅へと入線します。

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■尼崎から甲子園に向かう送り込み回送列車  2012年8月15日、武庫川

武庫川駅への回送列車が尼崎駅を発車するのは、土休日の場合7:15頃です(平日は40分ほど繰り上がりますのでご注意ください)。この日は7890-7990形電車の2両編成でした。武庫川信号場では、連絡線は上り本線から分岐しますが、2012年現在下り本線とのあいだに渡り線が無いため、尼崎からの回送列車は一旦甲子園まで行き、三宮側のY線を利用して折り返し、武庫川信号場へと戻ってきます。

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甲子園から戻ってきた回送列車は、武庫川信号場で一旦停止し、

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連絡線へと進入します。

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本線の武庫川駅は武庫川に架かる橋梁の上にありますが、武庫川線の駅は地上にあるため、本線と分岐した連絡線は途中で急激に高度を下げていきます。

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私鉄らしい急曲線を通過します。この部分の曲線半径は、一体何メートルなのでしょうか。

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物凄い軋み音をたてながら、北側の引き上げ線へと向かいます。

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引き上げ線のさらに北側には、以前は国鉄西宮駅へ連絡する専用側線があり、蒸気機関車が貨車を牽引して走っていたようです。専用側線は、この場所より南側では三線軌条によって武庫川線と線路を共用し、洲先にある軍需工場へと向かっていました。このあたりの詳しい話については、かつて編集長敬白でも何度か特集されていますので、興味のある方はそちらをどうぞ。

■編集長敬白

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奥でスイッチバックするため、3分ほど停車します。

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武庫川駅へ入線します。入線するとすぐに営業列車として武庫川団地前に向けて発車していきます。

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■武庫川沿いの緑地帯に沿って走る武庫川線  2012年8月15日、武庫川-東鳴尾

武庫川線は全線単線で、かつ敷地境界に高いフェンスが設けられているため、撮影できる場所が限られます。

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武庫川駅と隣りの東鳴尾駅の間にある陸橋がよいでしょう。

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■尼崎発甲子園行き回送列車        2012年8月18日、武庫川

日を変えれば、片開きの扉を持つ7861形・7961形電車を撮ることもできます。

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■日中に運行している編成は、そのまま武庫川で夜間滞泊する模様   2012年8月18日、武庫川-東鳴尾

私鉄の電車といえば、車体は鋼製で、おデコは丸く、小型の分散型クーラーを数多く搭載し、パンタは編成端に設けられ(いわゆる前パン)、扉は片開き、というのが私の中での定番です。この条件に当てはまるポイントが多ければ多いほど、より私鉄らしいと感じられます。関東では、京浜急行1000形電車や、小田急電鉄5000形電車がこれに近く好印象でしたが、いずれも既に引退してしまいました。

【参考】

  • 石本祐吉「ヴァン・ドーン式密着連結器について」、日本機械学会年次大会公演論文集、2000年

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