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2012年9月25日 (火)

ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(3)

 ティッセンクルップ製鉄所の構内鉄道は、2012年現在非電化ですが、かつてはかなりの区間が電化されていたようです。以前紹介した場所にも架線が張られ、凸型の電気機関車がトピードカーを牽引して走行していました。とはいえさすがに高炉や転炉の傍は電化することが出来ないため、非電化区間を走ることもできる Zweikraftlokomotive(ツヴァイクラフトロコモティフェ=電気・ディーゼル両用機関車)という特殊な機関車が使用されていました。当時の様子は、Youtubeで見ることが出来ます(クリックで別ウィンドウ起動)

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■Museumbahnsteig Gleis 5,  Oberhausen Bf.     27-4-2012

 当時使用されていた凸型機関車は、ドゥイスブルクの隣駅、オーバーハウゼン駅の構内で、スラグ鍋車・トピードカーと共に静態保存されています。使用しなくなった5番線ホームを「博物館鉄道ホーム」と称し、

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■Zweikraftlokomotiven  EH159

副本線に展示した保存車両をホームから見学できるようになっています。カラーリング・形態共に現役時代ほぼそのままです。こういったゲテモノ産業車両を、インターシティも停車するようなターミナル駅の中に保存してしまうあたりが、ドイツですね。

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左がディーゼルエンジン搭載側、右が集電装置・電気機器搭載側のボンネット。電化区間は架線集電で走行し、非電化区間はディーゼルエンジンで走行します。非電化区間から電化区間へ入る際は走りながら集電装置を上げていましたので、架線集電可能な電気式ディーゼル機関車と形容した方が分かりやすいかもしれません。

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EH159(Eisenbahn und Häfen Nr.159)は、1970年ユング・ユンゲンタル社製の80t機で、製造番号は14117。このメーカーは、19世紀から Feldbahn(ナローゲージ)向けの機関車を製造していたようですが、1970年代中頃に機関車製造から撤退してしまいました。したがってこの車両はかなり末期の製品ということになります。

車軸配置はBBで、軸重は20t。日本国内の製鉄所の機関車と比べるとなかなかの重量級ですが、2012年現在、ドイツの鉱山鉄道には自重140tのBB機(軸重35t!)も健在ですし、ドイツ鉄道ICEの機関車401形でも自重80tのBB機(軸重20t)ですから、驚くようなスペックではなく、むしろ標準的といえます。

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■Torpedopfannenwagen                  Oberhausen Bf.   27-4-2012

反対側からはトピードカーが見らます。現役の車両を見られる場所があるのに、わざわざ駅の保存車を見る必要があるのかという声が聞こえてきそうですが(笑)、それは鉄道マニア視点の話。子供達を危険な目にあわせるわけにはいかないので、これはこれで社会科見学の教材として役立っているのではないかと思われます。

 さて、電気・ディーゼル両用の凸型機関車はもうすべて廃車になったのでしょうか。実は、ディーゼル機関車に改造された仲間がまだ現役で活躍中です。

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■Diesellok  EH171 (Geänderte)

その機関車は、製鋼工場付近でよく見かけます。この日は、転炉に投入する鉄スクラップを輸送する貨車の入換に使用されていました。

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Nr.171は、ボンネットが大改造され、前後非対称の歪な形になっています。おそらくエンジンを載せ替えているのでしょう。ボンネット上の集電装置は撤去され、台座のみが残っています。

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電気機器を撤去したためか、Gew(=Gewicht、自重)は若干減って78.7tになりました。Gewの上のUnt(=Untersuchung、検査)は全般検査日付を表し、右にある四角で囲ってある部分の日付が、次回検査予定です。したがってこの機関車は、2004年12月5日に検査を受け、次回が2012年(つまり今年)の12月5日ということになります。無事検査を通れば、来年も活躍する姿が見られるかもしれませんが、どうなるでしょうか。

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鉄スクラップを輸送する貨車。そして最も興味深いのは、

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機関車とスクラップ用貨車の間に連結された、控車とも言うべきこの車両。

用途は……見ればすぐにお分かりでしょうか?

この控車、機関車側はねじ式連結器+バッファーですが、スクラップ用貨車側は自動連結器を備えているのです。つまり、異種連結器間のアダプターとして使用されているわけです。浮き上がりを防ぐため、台枠上に死重を積んでいます。

最初にこの車両を見たときには、機関車と控車がケーブル接続されているため、ケーブルはBPの引き通しで、控車はブレーキ用の台車なのかとも考えました。しかし、控車の車輪周りを見てもブレーキシューが見当たらないため、その可能性は低そうです。ではケーブルは何のためにあるのかという疑問が当然わくわけですが…?

ここからは推測になりますが、控車に引き通されたケーブルは、控車の自動連結器を機関車から遠隔制御するためのもの(ナックルを圧縮空気で動かすための空気管)ではないでしょうか。

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通常、このNr.171を含む入換用機関車は上のようなオートカプラーを装備しています。ここに控車を連結すると、控車を自動解放することはできますが、控車を連結したままその先に繋がった目的の貨車だけを遠隔制御で切り離すことが出来ません。ケーブルの引き通しは控車の自連の遠隔制御用ではないかと思われますが、どうでしょうか。

(つづく)

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