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2012年10月22日 (月)

★福岡市営地下鉄★橋本のバッテリーロコ

 福岡市交通局七隈線の車両基地は、終点橋本駅の東側の地上に設けられています。橋本車両基地では、七隈線で使用されている3000系電車の検査・修繕を実施しており、全般検査を施行する際は、4両編成を1両ずつ切り離して分解整備します。自走できない電車を移動する必要があるため、この基地には入換専用の機関車が1両配置されています。

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■橋本車両基地に留置される、福岡市営地下鉄七隈線用3000系電車。

 福岡市交通局のホームページによると、3000系電車の全般検査は、1年あたり4~5編成(16~20両)のペースで実施されています。このため、編成を分割・組成するための入換も2ヶ月に1回程度の頻度でしか行われません。ですから、行き当たりばったりで訪問しても機関車を撮ることはできないわけです。

また橋本車両基地では毎年10月に公開イベントが開催されているのですが、入換用機関車が展示物になったのは過去一度きりらしく、ここ数年の展示物は保線用車両のみとなっています。したがって、イベント時に訪問して撮ることもできません。スイッチャーマニアにとっては、なかなか難儀なターゲットです。

 ところが、諦めかけていた矢先、とある若くて美人で親切な方から、こんな連絡が入りました。

  • 15t機関車は10月12日金曜日午前中に動くようですよ。

これはまたとないチャンスです。この一報が9月の頭だったのが幸いでした。元々、10~11月中に小倉へ訪問する用件があったのですが、その予定をなんとか10月12日の午後にすべく相手先と調整しました。機関車が動くのは午前中のため、撮影後に小倉へ移動しても十分間に合うという算段です。

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 10月12日、ジェットスターの早朝便で福岡空港に着いたのが8時過ぎ、そこから福岡市営地下鉄を乗り継いで橋本駅には9時に着きました。9時半頃になると入換機車庫の扉が開き、中から凸型の機関車が姿を現しました。七隈線と同じく銀色に黄緑色の帯を纏っています。

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凸型機関車は、音をまったくたてずに人が歩く速度で工場棟へ向かうと、3000系電車の先頭車3100形を引き出し、1本隣の線路へ押し込んでいきました。動いた距離はわずかですが、めったに表に出てこない機関車をさほど待たずに見ることができました。

その後はしばらく待っても動きが無いため、車両基地南端で電車の入換を見物することにしました。

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5分ほど歩いて南端へ着くと、ちょうど洗浄線に電車が入ってきました。さすが、ドイツのICEのデザインを手掛けたNeumeister Design の仕事だけあって、どの角度から見ても美しい車両です。鉄輪式リニア地下鉄の車両は、大阪・神戸・横浜などを見れば分かるようにどちらかというと無骨で無機的なイメージがありますが、この車両は温かみのある姿をしており、好感が持てます。なお3000系は68両全車が日立製作所製なのも大きな特徴です。

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先程の3000系が洗浄線から基地へ戻るのと同時に、今度は橋本駅からの入庫車両が地上へ姿を現しました。基地内の線路は、広大な敷地の中に贅沢に配線されているため、入出庫線も複線で、このように入出庫と洗浄を同時に行うこともできます。

そんなことを考えていると、工場棟の方でピッという汽笛の音が聞こえました。

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戻ってみると、中間車3500形+3200形の入換中でした。引き出してきた線路も押し込んだ線路も、先程の3100形と同じです。ということは、この後最後の先頭車3600形を入れ換えて4両編成を組成するというシナリオが見えてきます。そうと分かれば、すかさず基地の反対側へ移動します。

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工場棟側へ到着すると、予想通り3600形を引き出してきました。そして…

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前の3両と同じようにスイッチバックして別線へ押し込みます。

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ATOという最先端のハイテクによって自動運転されている車両が、手旗信号という超ローテクによって誘導されている…そのギャップが良いですね。工場棟へ押し込んで4両編成を組成したまま昼休みを迎えたため、現地を後にしました。なお、この機関車が次回入換を行うのは、11月5日月曜日です。

●入換用15tバッテリー機関車

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■15tバッテリーロコの非公式側。屋内作業もあるため、ヘッドライトと旋回灯が点灯中。

 橋本車両基地の入換用凸型機関車は、トモエ電機工業製の蓄電池で駆動する電気機関車です。しばしばバッテリーロコと称されます。新トモエ電機工業の英語版ホームページに諸元が掲載されていました。

  • 全 長 : 4,990mm
  • 全 幅 : 2,375mm
  • 全 高 : 3,140mm
  • 自 重 : 15 t
  • 主電動機出力:25kW/80kW
  • 牽引力 : 1,980kgf ※1kgf(キログラム重)=9.8N(ニュートン)として計算した場合、19.4kN。
             
    最大:3,061kgf (30kN)
  • 蓄電池容量:390Ah/5hr
  • 牽引速度: 15km/h(最高25km/h)
  • 軌 間  : 1,435mm
  • 製造年月: 2003年11月
  • 製造者 : トモエ電機工業

七隈線の開業が2005年2月3日ですから、このバッテリーロコはかなり早い段階で完成していることが分かります。おそらく、車両搬入時の編成組成にも活躍したことでしょう。

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■15tバッテリーロコの公式側(工場棟側)。運転士が着席するのはこちら側。

 公式側を見てみると、トモエ電機ではなく、日本車輌製造の銘板をつけていました。車体がステンレス製であることを考えると、トモエ電機が足回り・電機部分を製作し、日車で製作したステンレス車体を組み合わせたのではないか、と推測することもできます。しかし、このような一品モノの特注品をわざわざ大手メーカーで製作するとは考えにくいため、おそらく納入先の要望で商流に日車が入ったというだけでしょう。以前紹介した小田急電鉄大野総合車両所のスイッチャーも、トモエ電機製でありながら日車の銘板をつけていますので、蓋然性は高いですね。

 ところで、資料やホームページではこのバッテリーロコは「車両1編成158tを牽引」と紹介されているのですが、3000系電車の重量は、3100形+3200形+3500形+3600形の4両編成でおよそ105tですから、一見するとオーバースペックです。しかし、形式が連番ではなく飛び番になっていることからも分かるとおり、3000系は将来中間車2両を増結して6両編成にできるよう設計されていますので、その場合の編成重量はおよそ157tとなり、要求スペックとほぼ一致することになります。

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