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2012年11月

2012年11月26日 (月)

ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(7)

 以前紹介した場所から南西におよそ6km、ライン川の土手の散歩道へ行ってみると、かろうじてヤードの端を見られる場所がありました。

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鬱蒼とした森……のように見える緩衝緑地帯を右手に見ながら進むと、

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EH社のコイル輸送貨車が並んでいました。この場所は、この製鉄所で一番大きいヤードの西端に位置し、線路の先にはコイルのストックヤードらしき建物が並んでいます。

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汽笛が聞こえたため5分ほど待っていると、機関車がドイツ鉄道のコイル輸送貨車を推進してやってきました。おそらく中は空で、これから積み込むのでしょう。

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後ろから押していたのはNr.523でした。G1206と同じBB機ですが、寸法は一回り小さい気がします。運転士はこちらを一瞥しても表情一つ変えずに仕事に集中していましたが、人通りのないこの場所に長居すれば、確実に不審者です。すぐに切り上げました。

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ティッセンクルップ製鉄所の鉄道は、ほとんどの区間が築堤の上に敷設されているため、これまで6回の連載で紹介した場所意外に見えるポイントはほとんどありません。ただ、以前見えたヤードから2kmほど南東へ向かうと、パイプラインの隙間からかろうじて見えるヤードがあります。このヤードは、ドイツ鉄道のOberhausen West Bf (貨物専用駅)から製鉄所の専用鉄道に入った貨車の多くが最初に到着するヤードです。

並んでいる貨車を見てみると、石灰石輸送用の灰色の密閉型ホッパー車、鉄スクラップ輸送用の無蓋車、石炭輸送用の開放型ホッパー車、コイル輸送用貨車など、原料系から製品系までほぼすべての種類の貨車が揃っています。障害物の関係で全容を紹介できないのが残念ですが、上の写真はヤードの東側半分です。実際には、西側(写真左手)にも同じだけ線路が広がっています。かなり大規模なヤードですが、これでもこの製鉄所のヤードの中では3番目の広さです。1番広いヤードは南端の通用門の奥にあり、残念ながら外から見ることは出来ません。

(完)

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2012年11月24日 (土)

ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(6)

 ヤードで見られる貨車シリーズ。冷延コイル の次は、熱延コイルです。

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別の場所でトピードカーを撮影 して元の場所に戻ると、熱延コイル輸送用の貨車がヤードから出てきました。これから積みに行くのか、荷はありません。

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G1206のNr.607が推進していました。機関車寄りの無蓋車1両は、控車代わりに使用されているようです。

Hc03 Hc04

積むとこのようになります。ドイツ鉄道のロゴをつけていることからも分かるとおり、このままドイツ鉄道の線路を走行して目的地へと運ばれます。日本ではコイルはコンテナに入れて運ぶことが多いので、製鉄所の中にでも入らない限りこういった状態の貨車を見る機会はありませんね。

(つづく)

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2012年11月21日 (水)

ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(5)

 今回紹介するのは、より「貨物列車らしい」姿をした編成です。製鉄所の貨車というとどうしても鍋車のような特殊な形のものであったり、平台車のような一般の鉄道好きからすると面白みのない車両が多いのですが、冷延コイル輸送用の防水フード付の貨車だけは例外といえます。

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以前の記事で紹介した場所から300~400mほど北に進むと、構内鉄道のヤードと、そこから各工場へ向かって分岐する線路群を俯瞰できる場所があります。この場所では、熱延コイル輸送用貨車、冷延コイル輸送用貨車をはじめ、時には転炉に出入りする鍋車や高炉に出入りするトピードカーを眺められることもあります。その様子は、まさに製鉄所の機関車・貨車の見本市と言っても過言ではありません。

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G1206規格型の80tBB機Nr.528が、防水フード付の冷延コイル輸送用貨車を引き出してきました。内訳は、

  1. Eisenbahn und Häfen社の私有貨車 防水フード付 8両
  2. ドイツ鉄道の無蓋車  引き違い式扉付 8両
  3. ドイツ鉄道の無蓋車  防水フード付   8両

から成る24両編成、なかなか迫力のある編成です。

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機関車次位以降に連結されたEH社の私有貨車8両は、その全長から1両あたりコイルを5~7個積んでいると思われます。積荷が雨に濡れないよう、開閉可能な防水フードを備えています。以前紹介したくろがね線の貨車のドイツ版といったところです。このタイプの貨車は1990年代後半から製造されています。

台車を見てみると、8両全てが3軸ボギー台車を備えています。上の車両の台車は、ウィング式の軸バネを持ち、3つの軸箱支持装置を2本のリンクで連結した構造のようです。リンクの連結部分には可動域があり3軸での曲線通過にも支障なさそうです。

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2両目以降には、より古風な貨車も見られました。上の2両は、軸バネには重ね板バネが使用されています。右の車両の台車枠の側枠は1枚の板ですが、左のは板状・棒状の複数の部品をボルト締結しているようです。台枠より上の構造は1両目と同じです。

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9両目以降の7両は、ドイツ鉄道の無蓋車です。こちらも防水仕様ですが、金属製の引き違い式の屋根(扉)を備えています。国鉄トキ21500形無蓋車のドイツ版といったところでしょう。このタイプは、1970年代後半から1990年代前半までに製造されたグループです。

上の2両は同型車ですが、右はドイツ鉄道の旧ロゴを、左はDB Cargoのロゴをつけています。DB Cargoは、分かりやすく表現するとドイツ鉄道の貨物輸送部門を分社化した事業者です。台車は板台枠です。

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16両目以降の9両は、同じドイツ鉄道の貨車でも台車が2軸ボギーで全長も短くなっています。コイルは3~5個積でしょうか。上の19両目のみ、金属製引き違い式屋根の貨車が連結され、残りは…

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このような防水フード付のタイプです。1990年代後半からはこのタイプに設計変更され、現在も増備が続いています。Railion(ライリオン)は、旧オランダ国鉄の鉄道貨物部門とDB Cargoが合併して誕生した事業者です。台車はウィングバネで近代的な外観です。

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この全長の短いタイプにも、左のように先述のEHの画像2枚目の貨車と似たような仕組みの台車をもつものがありました。右はライリオンのものとほぼ同型ですが、軽量化のために台枠に梁が無くすっきりしています。おそらく新しい貨車なのでしょうね。

なお現在のドイツ鉄道の貨物輸送子会社は、ライリオン社や米国の物流会社Bax Global社を吸収したDB Schenker社に統合されており、DB Schenkerのロゴをつけた貨車も徐々に増えています。DB Schenker社は、2008年現在、DBグループの全売上の58%を占める稼ぎ頭となっています。鉄道事業者が利益を出すには、貨物を運んでナンボのもの、というのがよく分かると思います。

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俯瞰ポイントの陸橋を通り過ぎてヤードに到着した冷延コイル貨車。この先には、ドイツ鉄道との間で貨車をやり取りするための別のヤード(Oberhausen West Bf=オーバーハウゼン西駅)があるので、てっきりそのまま行ってしまうのかと思いましたが、しばらく停車すると、後ろのドイツ鉄道の貨車を切り離し、

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EHの貨車だけを推進して戻ってきました。先頭の貨車のステップに乗っているオレンジ色の制服を着用した人物が運転士です。肩から提げたリモコンで最後尾の機関車を遠隔制御しています。撮影直後に手を振ったら、笑顔で手を振ってくれました(笑) 

余談ですが、欧米の人間は、日本人よりも非言語コミュニケーションを重視します。したがって、正確な単語・文法を用いて通じる会話をしていても、自分の感情を顔の表情や身振り手振りで相手に伝わるように表現しないと、スムーズにこちらの意図を理解してもらえないことが稀にあります。トラブル対応などの場合、特に顕著です。こういった場所では、とにかく、こちらに(産業スパイなどの)後ろめたい意図が無いことは、示しておかなければなりません。

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EHの防水フード突きの貨車は陸橋の反対側にある冷延工場へそのまま押し込まれていきました。どうやらこの貨車は空車だったようですね。

ところで、製鉄所構内輸送という危険が伴う重労働には外国人労働者や移民(ドイツの場合はトルコ系、アラブ系が多い)が重用されているのかと思いましたが、この日に見たどの編成もみな白人が運転していたのは意外でした。製鉄所にはなにかと秘密があるからでしょうか。そういえば、日本の製鉄所でも外国人労働者が作業しているのは見たことがないですね。

(つづく)

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2012年11月18日 (日)

★405000アクセス突破★万葉線のドラえもん電車

 残暑厳しい9月中旬に、『伏木ヤード祭り』なるイベントに参加するついでに高岡貨物駅を訪問したところ、すぐ近くで万葉線のドラえもん電車に遭遇しました。

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■灼熱地獄の中を爽やかに疾走するドラえもん電車   2012年9月15日、能町口

私は赤よりこちらの色の方が好みですね。乗降扉がどこでもドアになっているのも良いアイデアです。

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■工事中真っ只中の高岡駅前へ到着するドラえもん電車 2012年9月15日

駅のレンタサイクルであちこち周遊し、ホテルに戻ると、駅に進入するところを部屋から撮ることができました。ちなみにこのホテルにも貸し自転車があります。

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2012年11月17日 (土)

【くろがね線を読み解く】第121回■旧本事務所と機関区

 北九州市のレンタサイクルは大変便利なツールで、小倉・戸畑・八幡・黒崎界隈を効率よく周遊するにはうってつけである。場合によっては、クルマでは入っていけないような狭隘な場所にも入ることができるため、思わぬ発見に繋がることも少なくない。

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■旧本事務所(2012年)  ※世界遺産眺望スペース設置のため、この場所からの撮影は不可となりましたのでご注意ください。

 八幡地区には、1899年(明治32年)に建設されたY製鐵所の旧本事務所がある。この煉瓦造りの建築物には、戸畑地区の新しい本事務所が完成する1922年(大正11年)までの間、Y製鐵所の中枢機能が置かれていた。現在では実務に使用されていないものの、日本の近代化を象徴する建築物としての価値が認められ、北九州市をはじめとする九州の5県8市などによって結成された世界遺産登録推進協議会により、「九州・山口の近代化産業遺産群」に指定されている。ユネスコ世界遺産への登録を視野に入れ、活動が続いているようだ。

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■八幡の機関区(2012年)  ※世界遺産眺望スペース設置のため、この場所からの撮影は不可となりましたのでご注意ください。

八幡地区には、くろがね線で使用されている機関車用の機関区が設けられている。定期的に使用されている機関車は庫内に留置されていることが多く、外に出ているのは大抵予備の機関車である。この日は、D704(写真中央)とE8502(写真左)を見ることができた。

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■新旧架線作業車(2012年)  ※世界遺産眺望スペース設置のため、この場所からの撮影は不可となりましたのでご注意ください。

架線保守作業用の貨車も、使用されていないときは機関区のそばに留置されていることが多い。これらは、すでに弊ブログ記事にて紹介済の車両である。奥の車両が現在使用されているもので、手前の古典貨車 は既に引退したようだ。妻面の連結器両側に1個ずつ穴が開いているが、かつてバッファーが取り付けられていた名残であろう。

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スペースワールド駅から徒歩でアクセスできる場所は基本的に雑草が生え放題で、草刈は数年に1回実施される程度である。このように見られるのも来春までだろう。

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機関区周辺では、時々不思議な車両を見かけることがある。この15t積み2軸鉄側無蓋車テテ8697は、車体側面に「軌条」「鉄板」「木リン」との表記がある。軌条はレール、鉄板は良いとして、木リンとはなんだろうか? おそらくこれは厘木を指す用語ではなかろうか。厘木とは、重量物を地面に仮置きする際に、傷が付いたり汚れたりしないように、あらかじめ下に敷いておく木材のことである。

往訪するたびに新しい発見があり、興味は尽きない。

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2012年11月16日 (金)

★JR西日本★後藤総合車両所のスイッチャー(引退した協三20t)

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 JR西日本後藤総合車両所は、今年2012年で110周年を迎えました。昨年は、やんごとなき事情により毎年恒例の秋の公開が見送られましたが、今年は2012年11月4日に予定通り実施されました。

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■入換用20tスイッチャーと、目玉の親父列車キハ40 2095

 訪問の目的はもちろんスイッチャーの見物です。米子駅近くのホテルに前泊し、翌朝貸自転車で7~8分走ると、いとも簡単に当所へ到着しました。ホームページの案内では、境線の富士見町駅が最寄駅として紹介されていましたが、1時間に1本しか列車の来ない路線を利用するのは、ちょっと現実的ではありません。また、所内に駐輪場はありますが、駐車場はありませんので、レンタカーでのアクセスはまず無理でしょう。

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 場内最奥に留置されていたのは、所内で検査中の車両の入換に使用されている協三工業製の20t機です。1981年(昭和56年)製で、

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機械番号は06-28-01-001、製造番号はA20090です。製造番号の頭にAが付与されているのは、番号のインフレに対応するためです。

協三工業の機関車の製造番号は元々5桁で、先頭2桁が自重、残り3桁がシーケンシャルナンバーです。しかし、シーケンシャルナンバーは1978年の途中で999まで到達してしまいました。そこで、桁を増やさずに連続的に管理するため、1000両目以降は先頭にAを付与して再び001からの連番となりました。

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 上で紹介した目玉の親父キハの車内から、スイッチャーをじっくり見物することができました。状態は良いものの、聞いてみるともう使用できないため解体待ちとのことでした。上の前後からの2枚の写真をよく見ると分かりますが、キャブ側の連結器がそのまま残っているのに対し、ボンネット側の連結器はもぎ取られています。解体するにしては中途半端ですが、その理由はこんなところにありました。

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後藤総合車両所では、気動車のみならず電車の全般検査も実施するため、協三工業製20t機のボンネット側の連結器は、密着連結器と自動連結器の双方に対応した双頭連結器でした。上のとおり、2011年3月に導入された新型スイッチャーEHL-20のボンネット側を見てみると、双頭連結器を先代のスイッチャーから拝借して取り付けています。新型車両なのに、連結器だけ妙に草臥れていますね。

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 イベント終了後、入換があるかもしれないと期待して待っていると、所内で綱引き大会に供されていたDE15形2052号機が外に出てきました。機関車ラッセルの綺麗な形式写真を撮れる機会はなかなか無いので、往訪した甲斐がありました。

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DE15 2052は、1972年11月日本車輌製造によって製作され、国鉄旭川機関区に新製配置されたDE15 1002(製造番号3048)からの改造車です。1002号機は当所、複線単頭形(複線用ラッセルヘッドを片側のみに連結したタイプ)として新製されましたが、降雪時に方向転換するにはラッセルヘッドの旋回と機回しのために除雪する必要がありました。そこで、この作業を廃する目的で1976年2月18日に国鉄旭川工場において単線両頭形(単線用ラッセルヘッドを前後に1台ずつ連結したタイプ)へ改造され、1002→2052へと改番されました。新製された2台のラッセルヘッドには新しい製番3259が付与されています。オリジナルの複線用ラッセルヘッドは、同じく複線単頭形であった1006号機を複線両頭化するために使用されています。

【参考】

  • 『鉄道ピクトリアル』2000年12月号、電気車研究会

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2012年11月13日 (火)

ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(4)

 第1回にて、トピードカーによる溶銑輸送を紹介しましたが、溶銑以外に高炉から出てくるものとして忘れてはならないのが、スラグです。スラグは、鉄鉱石に含まれるFe(鉄原子)をC(炭素)によって還元した結果生じ、O(酸素)、P(燐)、S(硫黄)、Si(珪素)をはじめ、高炉に投入されたFeやCa(カルシウム)などを含んでいます。

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■機関車に推進されるスラグ鍋車とトピードカー   27-4-2012

 スラグには、高炉から排出される高炉スラグと、転炉での二次精錬の結果生じる転炉スラグがあります。このようにトピードカーと共に運用されているスラグ鍋車は、高炉スラグを輸送する車両です。

日本の製鉄所でも、以前はこのような編成がよく見られたようですが、現在の高炉では溶銑と高炉スラグはそれぞれ離れた場所にある出口から排出され、異なる線路上に待機している車両に流し込まれるため、トピードカーとスラグ鍋車が同じ編成内に混在することはあまり無いようです。製鉄所によって溶銑輸送の編成が異なるのは、高炉の設計の違いに由来するといえるかもしれません。

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■機関車に牽引され転炉から出てきたスラグ鍋車   27-4-2012

こちらは、左の方にある転炉から出てきたスラグ鍋車ですから、転炉スラグを輸送していることになります。

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機関車は3軸(C形)機のNr.854です。自重60tクラスと思われます。このタイプは、4軸機とは異なり、ドイツ鉄道を走行する私有機関車にも同型機は無いはずです。製鉄所ならではの機関車ですね。

(つづく)

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2012年11月11日 (日)

【くろがね線を読み解く】第120回■東急車輛製60t積台車

 前回に引き続き、Y製鐵所内専用貨車の中から、八幡地区専用のものを紹介する。

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 この車両は台枠側部に数字3桁の表記が無いが、編成番号が前回紹介した車両 と同じ3*であるため、八幡地区専用の車両と思われる。

  • 荷  重 : 60t
  • 自  重 : 19.6t
  • 形  式 : 60B-2B
  • 記号番号: ユタ2203
  • 製造年 : 1956年(昭和31年)
  • 製造所 : 東急車輛

この写真は、三菱化学のスイッチャーが黒崎から戸畑へ回送された今夏 、待ち時間を利用して偶然撮影したものだが、現在残っている平台車の中ではかなり古いグループと思われ、貴重な姿を記録できたことになる。この場所は日替わりで車両が入れ替わっていくため、目が離せない。

Tokyu60t02

板台枠の台車をはいた貨車の割合は減りつつあるが、なにしろ絶対数が多いことと、リーマンショック以降は輸送力増強の必要がなくなったために貨車の新製がストップしている(最後の新製車は、2007年に登場したカタ110-1 である)ことなどから、当面は活躍を続けるものと思われる。

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2012年11月 7日 (水)

★400000アクセス突破★鹿児島市電 花電車

 先週、墓参と維持管理契約のため帰鹿したついでに、鹿児島市電の花電車を見てきました。

当日、花電車が車庫のある交通局前を発車するのは午後一でしたが、午前中の墓の掃除を思いのほか念入りに行ったため、ギリギリになってしまいました。本当は谷山行きを専用軌道区間で撮りたかったのですが、途中で追い越されては目もあてられませんので、専用軌道区間の始まる郡元で待機することにしました。

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郡元は、1系統(鹿児島駅前-交通局前-谷山)と2系統(鹿児島駅前-鹿児島中央駅前-郡元)が合流する電停であると同時に、2系統の折り返し駅でもあります。しかし、構内に折り返しのためのY線などは存在せず、2系統は1系統の本線上で折り返す必要があります。このため、この駅の前後がしばしば隘路区間となります。列車が道路信号・軌道側の信号待ちで停車する時間が長くなりがちなので、時間に余裕のないときに先回りするには好都合なのです。

郡元には、デルタ線があります。上の写真手前にあるのが1系統の線路で、奥から左右二手に分岐するのが2系統の線路です。2系統が通常使用しているのは、写真奥から右手に分岐する線路です(写真右にホームがあります)。

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歩道橋でスタンバイすると、ほどなく、チンドン屋の様なおはら祭のメロディを奏でながら、花電車がやってきました。この日の花電車は、全線全区間を走行しますので、1回は専用軌道区間でも撮っておきたいところ。墓参りの前から中央駅で借りていたレンタサイクルで先回りします。

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2軸単車にもかかわらず、思いのほか軽快な走りっぷりです。谷山ですぐに折り返してくると、

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郡元へ向かっていきました。花電車を専用軌道区間で撮った写真はなかなか見ませんね。

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先程述べたとおり郡元の近辺は隘路区間ですから、自転車で追いつきます。花電車は、普段定期列車の走行しないデルタの一辺を走行して2系統の線路へ入線、中央駅方向へ向かいます。

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2系統の沿線はビルが多いため、きっちりと光の当たる場所が少ないですが、なんとか隙間を見つけて後追いを一枚。

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中央駅周辺でも信号待ちのため長時間停車しますので、やはり追いつきます。

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若き薩摩の群像とのツーショット……と言いたいところですが、アミュランが出来てしまったので、仕方なくそのツーショットを。醜悪な観覧車と形容されることもありますが、「乗りたい」と子供にせがまれると、ついつい乗ってしまうのが親心ではないでしょうか(笑) ちなみに、ゴンドラをよく見ると透明なのが2台あると思いますが、分かりますか? スリルを味わえるスケルトンタイプです。

中央駅前はとにかく信号待ちで止まりますので、また先回りして甲突川を渡ります。市電と甲突川といえば…

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明治維新の立役者、大久保利通とのツーショットですね。花電車の速度を見誤ってタイミングが少しずれてしまいました。大久保さんには申し訳ないですが次回の楽しみとしましょう。なお地域住民にとっては釈迦に説法ですが、西郷隆盛像は国道10号線沿いにありますので、残念ながら市電とのツーショットは撮れません。

このあと花電車はいよいよ市街地の中心部・天文館へと向かいます。相当数のクルマと歩行者が予想されますので、まともに撮れないと判断し、国道10号線を使ってショートカットして先回りすることにします。

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市役所前付近で市電通りへ戻ると、先行列車に追いついてノロノロ運転の花電車を迎え撃つことが出来ました。

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撮影している私の姿を見て、自家用車が一時的にゆっくり走ってくれたので被らずに済みました。感謝!

鹿児島駅前での折り返しのために10分以上停車しますので、

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定番の並びを撮ります。この後、交通局前への返しは老舗百貨店山形屋の前で撮ろうかとも考えましたが、その場所は夜景のためにとっておくことにして、桜島の見える定番スポットへ先回りすることにします。

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甲突川を渡るこの橋は、バックに桜島が写る定番スポットで、平行して架かる歩行者専用の古い橋から撮るのが定石でした。しかし、1993年8月6日に鹿児島を襲った台風による水害(いわゆるハチロク水害)で橋は損壊し、その後撤去されてしまいました。したがって現在では、同じ道路橋の歩道から広角で撮るしか術がありません。

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また、この橋で最も問題なのは、このようにほぼ常時クルマが被ることです。川の両側に交差点があるため、電車とクルマが常に同時に動き出すからです。交通量の少ない平日日中の午後でも、成功するのは10回撮って1回程度です。今回は失敗しましたが、また帰省するときの楽しみにとっておくことにします。

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花電車は、交通局前でスイッチバックして車庫の入出庫線へ入ります。

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車庫は外から眺めることができます。子供の頃は、この付近を通るバスやタクシーから車庫を眺めているだけでわくわくしたものです。

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ふいに、運転士が花電車から降りてきました。乗降扉がこんなところにあるとは……どうやって乗り降りしているんだろう、というのは前々から疑問ではあったのですが。

この後、夜祭りのために再び出庫するのは17時過ぎですので、鹿児島車両センターへ移動して陸橋から入換を眺めることにしました。レンタサイクルの返却期限が17時のため、返してから市電で天文館へ先回りします。

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夜の帳が下りる頃、ふたたび花電車が天文館を通過します。1700個のライトを煌々と輝かせながら、意外にも高速で通過する花電車。この後鹿児島駅前で折り返して戻って来る頃には、いよいよ祭のための交通規制が始まります。

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山形屋の前で迎え撃つと……想像以上に明るすぎました(笑)

●花電車の展示

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 おはら祭の前夜祭では、花電車が天文館電停付近に留置・展示されます。綺麗に撮るには、交通規制でクルマが消えてから夜祭りが始まるまでの10~15分間が勝負です。

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ファミリーマートの広告もあります。鹿児島県内に展開しているファミリーマートは、ファミマ本体ではなく、鹿児島を本拠地とする酒類卸会社「本坊商店」との合弁会社「株式会社南九州ファミリーマート」が経営しています。鹿児島では、伝統的にエリアフランチャイズによる出店の縛りがあり、同様の理由で、サンクスも南国殖産との共同出資による「南九州サンクス」が経営しています。このため、鹿児島県内のコンビニといえば、ファミリーマートかサンクスがメインなのです。

最近ようやく、売上高日本一のセブンイレブンが追撃を始め、2011年3月25日に鹿児島県内1号店を出店しました。今後2013年までに200店舗に拡大する予定です。今後の趨勢によっては、花電車にセブンイレブンの広告が載る日が来るかもしれません。

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 この花電車「花2」は、1911年(明治44年)9月 日本車輌製造製の2軸電車で、深川製作所製の「花1」と共に、西日本鉄道20形として竣工しました。このうち、1978年1月に22号が、1979年10月には20号が鹿児島市交通局へと譲渡され、それぞれ花1(1978年3月20日竣工)、花2(1979年10月15日竣工)となり、広告電車として使用を開始しました。

花2(元20号)は、1992年に西鉄北九州線へ貸し出された際、運輸省への届出を「花1」としたため、花2→花1へと記号番号の変更が行われており、これに伴いこの電車(元22号)も花1から花2へと変更され、現在に至っています。

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 資料を基に、この電車の諸元を記しておきます。

  • 自  重 : 6t
  • 最大寸法: 10.0×2.488×4.1(メートル)
  • 主電動機出力:14.9kW×2個(端子電圧600V)
  • 牽引力 : 2,676kgf(キログラム重)
  • 制御方式: 直接式 抵抗制御(直並列制御)
  • 制動方式: 直通式PV-3(空制)、界磁線輪相互交換(電制)
  • 台  車 : 西鉄ブリル21E

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祭りは今年も盛況だったようですね。

【参考】

  • 『鹿児島市電が走る街 今昔』水元景文、JTBパブリッシング

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2012年11月 3日 (土)

【くろがね線を読み解く】第119回■川崎車輌製60t積台車

 今回は、Y製鐵所内専用貨車の中から、八幡地区専用のものを紹介する。

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■60t積 平台車ユタ2219        2012年8月、八幡

 くろがね線に出ていかない所内専用の貨車は、戸畑地区にも八幡地区にも存在する。八幡地区専用のものは、台枠側部に印された番号が3桁になっているのが特徴で、見分けるポイントにもなっている。

  • 荷  重 : 60t
  • 自  重 : 18.5t
  • 形  式 : 60B-2B
  • 記号番号: ユタ2219
  • 製造年 : 1957年(昭和32年)
  • 製造所 : 川崎車輌

台枠側部の番号「619」の下二桁は車番と思われるが、詳細は不明。

用途としては、八幡地区内における製品の横持ち(倉庫間在庫移動)や出荷(船積み)時に使用されているようである。積荷は鋼矢板やステンレス製品などで、軌条(レール)を積んでいるのは見たことがない。

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 ユタ2219は、板台枠の台車を履いている。これが鋳鋼の台枠になるのは昭和40年前後に登場した車両からである。遠くから台車を見るだけでも、製造年次が推測できて興味深い。

 戦後にY製鐵所に導入されたディーゼル機関車は、日車・日立・三菱・川重・新潟など各機関車メーカー総動員で製造されたものであったが、貨車も似たような状況らしく、大手メーカー製はもちろんのこと、若松車輌や協三工業などの中小メーカーの銘板を付けた車両もよく見かける。しかし、川崎車輌製はあまり多くない。

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