« ★405000アクセス突破★万葉線のドラえもん電車 | トップページ | ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(6) »

2012年11月21日 (水)

ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(5)

 今回紹介するのは、より「貨物列車らしい」姿をした編成です。製鉄所の貨車というとどうしても鍋車のような特殊な形のものであったり、平台車のような一般の鉄道好きからすると面白みのない車両が多いのですが、冷延コイル輸送用の防水フード付の貨車だけは例外といえます。

Hccc01

以前の記事で紹介した場所から300~400mほど北に進むと、構内鉄道のヤードと、そこから各工場へ向かって分岐する線路群を俯瞰できる場所があります。この場所では、熱延コイル輸送用貨車、冷延コイル輸送用貨車をはじめ、時には転炉に出入りする鍋車や高炉に出入りするトピードカーを眺められることもあります。その様子は、まさに製鉄所の機関車・貨車の見本市と言っても過言ではありません。

Cc02

G1206規格型の80tBB機Nr.528が、防水フード付の冷延コイル輸送用貨車を引き出してきました。内訳は、

  1. Eisenbahn und Häfen社の私有貨車 防水フード付 8両
  2. ドイツ鉄道の無蓋車  引き違い式扉付 8両
  3. ドイツ鉄道の無蓋車  防水フード付   8両

から成る24両編成、なかなか迫力のある編成です。

Cc03

機関車次位以降に連結されたEH社の私有貨車8両は、その全長から1両あたりコイルを5~7個積んでいると思われます。積荷が雨に濡れないよう、開閉可能な防水フードを備えています。以前紹介したくろがね線の貨車のドイツ版といったところです。このタイプの貨車は1990年代後半から製造されています。

台車を見てみると、8両全てが3軸ボギー台車を備えています。上の車両の台車は、ウィング式の軸バネを持ち、3つの軸箱支持装置を2本のリンクで連結した構造のようです。リンクの連結部分には可動域があり3軸での曲線通過にも支障なさそうです。

Cc04 Cc05

2両目以降には、より古風な貨車も見られました。上の2両は、軸バネには重ね板バネが使用されています。右の車両の台車枠の側枠は1枚の板ですが、左のは板状・棒状の複数の部品をボルト締結しているようです。台枠より上の構造は1両目と同じです。

Cc06_3 Cc07

9両目以降の7両は、ドイツ鉄道の無蓋車です。こちらも防水仕様ですが、金属製の引き違い式の屋根(扉)を備えています。国鉄トキ21500形無蓋車のドイツ版といったところでしょう。このタイプは、1970年代後半から1990年代前半までに製造されたグループです。

上の2両は同型車ですが、右はドイツ鉄道の旧ロゴを、左はDB Cargoのロゴをつけています。DB Cargoは、分かりやすく表現するとドイツ鉄道の貨物輸送部門を分社化した事業者です。台車は板台枠です。

Cc08

16両目以降の9両は、同じドイツ鉄道の貨車でも台車が2軸ボギーで全長も短くなっています。コイルは3~5個積でしょうか。上の19両目のみ、金属製引き違い式屋根の貨車が連結され、残りは…

Cc09

このような防水フード付のタイプです。1990年代後半からはこのタイプに設計変更され、現在も増備が続いています。Railion(ライリオン)は、旧オランダ国鉄の鉄道貨物部門とDB Cargoが合併して誕生した事業者です。台車はウィングバネで近代的な外観です。

Cc10 Cc11

この全長の短いタイプにも、左のように先述のEHの画像2枚目の貨車と似たような仕組みの台車をもつものがありました。右はライリオンのものとほぼ同型ですが、軽量化のために台枠に梁が無くすっきりしています。おそらく新しい貨車なのでしょうね。

なお現在のドイツ鉄道の貨物輸送子会社は、ライリオン社や米国の物流会社Bax Global社を吸収したDB Schenker社に統合されており、DB Schenkerのロゴをつけた貨車も徐々に増えています。DB Schenker社は、2008年現在、DBグループの全売上の58%を占める稼ぎ頭となっています。鉄道事業者が利益を出すには、貨物を運んでナンボのもの、というのがよく分かると思います。

Cc12_2

俯瞰ポイントの陸橋を通り過ぎてヤードに到着した冷延コイル貨車。この先には、ドイツ鉄道との間で貨車をやり取りするための別のヤード(Oberhausen West Bf=オーバーハウゼン西駅)があるので、てっきりそのまま行ってしまうのかと思いましたが、しばらく停車すると、後ろのドイツ鉄道の貨車を切り離し、

Cc13_3

EHの貨車だけを推進して戻ってきました。先頭の貨車のステップに乗っているオレンジ色の制服を着用した人物が運転士です。肩から提げたリモコンで最後尾の機関車を遠隔制御しています。撮影直後に手を振ったら、笑顔で手を振ってくれました(笑) 

余談ですが、欧米の人間は、日本人よりも非言語コミュニケーションを重視します。したがって、正確な単語・文法を用いて通じる会話をしていても、自分の感情を顔の表情や身振り手振りで相手に伝わるように表現しないと、スムーズにこちらの意図を理解してもらえないことが稀にあります。トラブル対応などの場合、特に顕著です。こういった場所では、とにかく、こちらに(産業スパイなどの)後ろめたい意図が無いことは、示しておかなければなりません。

Cc14

EHの防水フード突きの貨車は陸橋の反対側にある冷延工場へそのまま押し込まれていきました。どうやらこの貨車は空車だったようですね。

ところで、製鉄所構内輸送という危険が伴う重労働には外国人労働者や移民(ドイツの場合はトルコ系、アラブ系が多い)が重用されているのかと思いましたが、この日に見たどの編成もみな白人が運転していたのは意外でした。製鉄所にはなにかと秘密があるからでしょうか。そういえば、日本の製鉄所でも外国人労働者が作業しているのは見たことがないですね。

(つづく)

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道路線・車両研究へ にほんブログ村 鉄道ブログ 貨物列車へ
にほんブログ村 (鉄道ブログポータルサイト)

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

|

« ★405000アクセス突破★万葉線のドラえもん電車 | トップページ | ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(6) »

欧州紀行」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/63194/56156642

この記事へのトラックバック一覧です: ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(5):

« ★405000アクセス突破★万葉線のドラえもん電車 | トップページ | ドイツ・ティッセンクルップ製鉄所の鉄道(6) »