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2013年2月 7日 (木)

★新幹線用入換機★さようなら912形ディーゼル機関車

 国鉄DD13形ディーゼル機関車の去就は、機関車好きにとっては大きな関心事であると思うのですが、どういうわけか廃車から1年経つにもかかわらずほとんど話題にならないので、取り上げることにしました。

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 JR西日本博多総合車両所は、東海道・山陽新幹線で運行されている新幹線電車の車両基地で、JR西日本所属車両の全般検査・重要部検査、改造工事等を担っています。当車両所では、検査中の車両入換用として、2両のディーゼル機関車が使用されています。いわずもがな、元国鉄DD13形ディーゼル機関車、912形64号機と62号機です。

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■2011年10月16日、新幹線ふれあいデーにて構内公開エリアより撮影

 写真の64号機の種車は、1967年3月16日に日本車両製造で製作されたDD13形629号機です。1975年2月7日に廃車となり912形へ改造されました。1975年3月の山陽新幹線博多全通にそなえ、東海道新幹線同様に非常時救援用の機関車が必要になりましたが、新関門トンネル内で列車が非常停止した場合を想定し、911形ではなく912形重連を充てることになりました。強馬力・重連形の600番台が種車に選ばれたのはこのためです。

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912形は、入換・救援用に新幹線電車用密着連結器(通称:アトム)を備えています。通常はこのように90度回転して水平に出した状態ですが、

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931形バラスト輸送用ホッパー車を牽引するときは、干渉しないように直角に立てて、本来備えている自動連結器を使用します。912形はもともとバラスト輸送用ですので、アトムは落成後に取り付けられたものです。

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キャブの非公式側の中央の窓が埋められていますが、これは簡易ATC車上装置を搭載したためです。「簡易ATC」というのは鉄道ピクトリアル2007年12月号に掲載された呼称で、実態がどのようなものなのかはよくわかりません。

青函トンネルで使用されているATC-L形の仕様を念頭に置くと、485系・789系電車の場合は、制限速度を超過した場合に適切な強さのブレーキがかかりますが、ED79形電気機関車の場合は、超えた瞬間に常用最大ブレーキがかかります。いわばATC信号を受けられるようにした事実上のATSです。「簡易ATC」というのも、このような代物なのかもしれません。

●敷地外から

 以上、64号機はすべて車両所公開時に敷地内にて撮影したものですが、

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今度は敷地外から撮影した62号機を紹介します。

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■2011年10月28日、博多総合車両所敷地外より撮影

 写真の62号機は、1967年5月17日に日本車両製造にて製作されたDD13形643号機が種車です。64号機と同じく1975年2月に廃車となり912形へ改造されました。この62号機と64号機、遠くからでも一目で見分けられるポイントがありました。どこだか分かりますか?

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64号機はキャブ側面のナンバープレートが黄色ですが、62号機はボディ同様の青です。また、64号機は銘板(製造時の日車のものと、改造時の小倉工場のもの)が残っていますが、62号機は取り外されているのも相違点でした。

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アトムの仕様は2両とも同じです。64号機にも言えることですが、912形から新幹線電車の密連へブレーキホースが引き通されているのがわかると思います。車両工場内の入換だけなら貫通ブレーキは不要ですが、救援時に本線走行するとなるとこのような装備が必要になります。

●新型入換機

 新しい入換機は、2011年末に導入されました。九州新幹線の博多-新鳥栖間で下り列車に乗車すると、表に出ていれば、車窓から簡単に見えます。ですが、普段待機しているのは敷地外から見えない場所であるため、きちんと写真を撮るとなると、入換のある時を狙うしかありません。入換は朝8時前後か、夕方14~16時頃に行われることが多いようです。(注:車両工場の入換は毎日行われるわけではありません)

気になるそのスタイルですが、これがなんと凸型の2軸ボギー機関車です。形態上は、新潟トランシス社の規格型TMC601とほぼ同じスタイルです。TMC601は、JR東海や西日本が新幹線の保線用モーターカーとして採用している車種で、最初に見た時には保線用なのかと思いました。しかし、塗装が912形と同じ紺色+黄色帯であること、そしてなによりアトムを装備していることから、車両所の入換用とみて間違いないと思います。

●912形のゆくえ

 廃車になった912形は、しばらく車両所内で保管されていたようですが、2012年、64号機の1エンド側のボディがカットされ、保存のために大阪の交通科学博物館へ移送されました。そのうち公開されるかもしれません。

※2016年4月29日にオープンした京都鉄道博物館に展示されています。

◆912形の置き換え時期に関する誤報に要注意!

 月刊鉄道雑誌「レイルマガジン2014年9月号」に掲載されている、児玉光雄「東海道新幹線50周年 8.新幹線事業用車」なる記事(p78)には、912形に関して以下のような記述があります。

「晩年はJR西日本に2輌が在籍し、博多総合車両所で入換用機関車として活躍したが、入換業務がモーターカーに置き換えられ、2006(平成18)年に廃車、消滅した。

これはとんでもない誤報です。なぜなら、私がこのブログ記事に掲載している912形の写真を撮影したのは2011年だからです。車籍を失ったからといって、すぐに使用停止されたり解体されるとは限らないのが入換用機関車の世界。912形がスイッチャーに置き換えられたのは、間違いなく、2011年末です。これは疑いようの無い事実ですので、ここに明記しておくことにします。申し上げたいのは、自分自身で見てもいないことを断定して書くのは良くないですよ、ということです(笑)

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