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2013年4月18日 (木)

【くろがね線を読み解く】第126回■くろがね線の運行速度

 鉄鋼メーカーN社専用鉄道の電化区間、通称くろがね線に関する記録を拝見していると、その運行速度に関して次のような表現をよく目にする。

  • 「くろがね線の運行速度は非常に遅く、人が歩くほどの速度である」
  • 「時速10km/hほどのゆっくりとしたスピードで走っている」
  • 「およそ1時間に1往復走っている」

本当のところはどうなのだろうか。

10km1

「運行速度10km/h説」の根拠と思われるのは、編集長敬白のブログに紹介されている撮影場所の近くにある、上の標識であろう。

10km2

たしかに「制限速度 10」とある。

しかし、少し冷静に考えてみる必要があるのではないだろうか。

 一つたとえ話をしてみる。住宅街の中の私有地に「通り抜け禁止」の看板があったとする。あなたはこれを見て、通り抜けはできないと思うだろうか。それとも通り抜けできると考えるだろうか。

私なら「できる」と考える。私有地に「通り抜け禁止」を表示する必要があるのは、通り抜け可能だがしてほしくない場合である。通り抜けられないのであれば看板を出す必要はないし、出しても「通り抜け不可」か「この先行き止まり」であろう。

「制限速度 10」の標識についても似たようなことが言える。すなわち、制限10があるのは、くろがね線の運行速度が10km/hだからではなく、他の場所ではもっと速い速度で運行されているがこの場所は10km/hに制限する必要があるからである。したがって、もし「制限速度 10」の標識が見えたら、通常区間の運行速度はもっと速いはずだと捉えるべきなのである。

 さて、今度はマクロ的に考えてみよう。くろがね線(戸畑第一操車場-八幡第二操車場間)の路線長はおよそ6km、これはネット上の地図でも測定可能だから疑いようがない。全線単線で交換設備のないこの路線で、列車を1時間ヘッド(正確には1時間15分前後であるが)で運行する場合、その平均運行速度はどうなるか。各々の操車場内で入換を行うのにそれぞれ10分前後かかるから、

  くろがね線の平均運行速度 = 6×2/{(75-10×2)/60}≒13km/h

である。くろがね線は機関車牽引の貨物列車であるため、電車のような高加減速は期待できないし、途中に上記の制限10などがあるから、平均速度13km/hをたたき出すためには20~30km/h程度で運行する必要がある。このような観点でも、くろがね線が全区間にわたり10km/hという低速度で運行されていることはないのである。

20km1

 これは、第一操車場の出口付近の架線柱に取り付けられた標識。「構内」の制限速度20であるから、「構外」はもっと制限が緩いと考えるのが自然である。

実際に、八幡から戸畑へ向かう列車が夜宮から第一操車場入口までの直線区間で出している速度は、だいたい30km/h前後である。並走する道路をくろがね線と一緒に走ってみれば、大人の男が全速力で走ってやっと追い越せるかどうかの速度(100mを13秒とした場合およそ28km/h)である。

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