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2014年1月14日 (火)

★電機メーカーF社専用側線のスイッチャー★日立25tロッド駆動

 本記事は、新春初の専用線の記事となります。どこを紹介しようか迷いましたが、普段はなかなかお目にかかることのできないスイッチャーを紹介することにしました。

 千葉県の京葉臨海工業地帯に工場を構える電機メーカーF社は、京葉臨海鉄道京葉市原駅連絡の専用側線を有しており、製品である変圧器の発送に鉄道を使用しています。直近では、2010年に、大物車を使用した特大貨物輸送も実施しています。変圧器を積んだシキ車は、京葉市原駅から蘇我駅まで京葉臨海鉄道のディーゼル機関車に牽引され、JRの貨物列車に継送されて各地へ送り出されます。しかし、変圧器の積み付けを行うのは駅ではなく工場の建屋内ですから、建屋から駅につながる授受線までシキ車を移送する必要があります。移送作業はF社の敷地内ですのでF社の責任において実施され、機関車も臨海の機関車ではなく、F社専用のものが使用されています。

 F社は毎年、社員とその家族向けに工場公開イベントを実施しているようです。今回の開催にあたり、スタッフの方からご招待いただきましたので、訪問することにしました。ありがたいことです。

2013年のとある日、内房線のとある駅で降りてみると…

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無料送迎バスが止まっていました。数分間揺られて着いたのは、

Fdk02

イベント会場。子供たちの楽しそうな声が聞こえてきます。声の聞こえる方に向かって歩いていくと、

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スイッチャーが留置されていました。どうやら子供たちを乗せて工場内を往復しているようです。

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鉄道会社の工場公開イベントで、車両入換用のスイッチャーがアトラクションになるケースは、これまでにもJR貨物広島車両所 などで経験していますが、専用線所有者が同種のイベントを実施するというのは極めて稀ですね。

Fdk06 Fdk07

 スイッチャーは2両あり、今回はそのうちの現役の1両を紹介します。国鉄色ライクな塗装を施されたこのスイッチャーは、日立製作所製のL型2軸機関車で、諸元は以下の通りです。

  • 記号番号 : (無番)
  • 自   重 : 25t
  • 車軸配置 : B
  • 機   関 : 振興DMH17C(180ps/1500rpm)
  • 液体変速機: 振興TC-2
  • 動力伝達方式:ロッド駆動
  • 製造年 : 1968年
  • 製造所 : 日立製作所
  • 製造番号 : 13005

※諸元については、日立製作所のサプライリストより抜粋。

 日立製のロット駆動の機関車はあまり多く残っておらず貴重です。右上の写真を確認すると、ボンネット先端床下に銀色のシリンダ状の容器が取り付けられ、排気管が引回されているのが分かりますが、これはスパークアレスタです。スパークアレスタ(またはスパレスター)とは、自動車や重機などを火気厳禁のエリア内で使用する際に、排気管の先端に取り付けて排気に含まれる火の粉を除去するための装置です(事例はこちら )。F社は電機メーカーですから、スイッチャーにスパークアレスタを取り付けて防爆仕様に改造する必要などないはずです。疑問に思って渡辺台帳を調べてみると、このスイッチャーの最初の納入先は、京葉臨海鉄道北袖駅にある石油メーカーF社の袖ヶ浦製油所であることが分かりました。製油所内は、石油精製の過程で可燃性のガスが発生する可能性がありますから、防爆仕様とされたのでしょう。イベント主催のF社の方に確認したところ、当初は製油所内の側線の貨車入換用として使用されていたものの、後に臨海鉄道の機関車で入れ換える方式に改められたために用途不要となり、この工場へ移ってきたとのことです。

Nakorinod25

 一般公道から見える場所で活躍している同型機としては、名古屋臨海鉄道で保線に使用されているOD25(1971年製、製番13148)が唯一のものです。車体寸法・形状・自重・動力伝達方式(ロッド駆動)のみならず、エンジン・液体変速機も同一形式ですので、同型機と言ってよいと思います。OD25は、キャブ前面窓間に煙突のある標準スタイルですので、F社のスイッチャーと比べてみると、キャブの煙突撤去など改造箇所がよく分かると思います。

もう1両の茶色いスイッチャーについては、またの機会に。

(つづく)

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コメント

社長さん、こんばんは~。
また凄いところのイベントを・・・(^ ^)
背向重連で国鉄新旧DL標準色の取り合わせというのも面白いです。
この頃の日立機はロッド駆動・ギア駆動が混在して名古屋臨海OD25はロッドですがほぼ同時期につくられた速星の2両はギアですね。
それぞれメリット、デメリットがあるのでしょうが、台枠外むき出しのロッドの方が内臓のギアよりは点検や着脱が簡単そうな感じはします。

投稿: 西宮後 | 2014年1月15日 (水) 23:48

西宮後さんこんにちは
日立の国鉄色は、高崎のDD51お召機をイメージして塗られたのだとか。連結器が銀色なのはそのためだそうです。
日立はロッドとギアを並行して生産していました。ユーザー提案の際に選択してもらっていたのか、見込生産して適当に割り当てていたのかが気になるところです。
所属する鉄道クラブに笠戸で産業用機の設計をしていた方がいますが、途中からの参加なので、現設計に由来する形や機能の特徴については、確かめようがないのが悩みどころです。

投稿: 社長 | 2014年1月16日 (木) 12:18

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