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2015年6月 5日 (金)

車輌メーカーH社の機関車を訪ねて(2013-2015)

 毎年梅雨の時期に開催されている、電機メーカーH社M事業所のcherryblossomまつり。近年は6月の第一土曜日に開催されることが多いようですが、2013年現在、不特定多数の来場者に対して構内が公開される唯一の機会が、このcherryblossomまつりです。事業所内には、H社が製造した国産初の本線用電気機関車が保存されているほか、H社がJR貨物に対して売り込みをかけた電気機関車などが保管(放置?)されています。

 M事業所は、かつて最寄りのJR駅から専用鉄道を引き込み、工場と駅の間で従業員輸送を行っていました。(→編集長敬白の記事{}{}を参照) また1992年までは電気機関車も製造しており、完成車両を鉄道事業者の車庫へ甲種輸送する際にも、駅への搬出時に専用鉄道を使用していました。

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■勝田駅から分岐する専用鉄道   2013年

 JR線から分岐した専用鉄道の廃線跡?には、現在でも線路が残されています。

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駅から線路をたどっていくと、

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工場門の奥で一旦途切れますが、

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工場沿いの道を歩いていくと、構内道路との交差部などところどころにまだ線路が残っている様子が分かります。

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駅から2kmほどでしょうか、廃線跡沿いに歩いていくと正門に辿り着きました。入ってすぐのテントに撮影許可証(シール)を配布するコーナーがあったので、早速記帳してシールをゲット。Tシャツの見え易い部分に貼り、まずは第一の目的地へ向かいます。構内図はもらえますが保存車両について特に記載はないので、GoogleMap等で事前に場所を把握しておくと無駄なくたどり着けます。カメラを持った鉄道マニアに声をかけて場所を聞くのが早いかもしれませんが。

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こちらが最初の目当て。国産初の本格的な本線用電気機関車です。

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前位側と

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後位側、両面から記録。

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左が車体中央にある銘板で、右が2・3位側の運転台下の車体外側にある銘板です。

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機関車の裏には、国鉄新南陽駅のハンプヤードで使用されていたL4カーと呼ばれる貨車自動加減速装置がひっそりと保存されています。L4カーはご覧のようにレールとレールの間に設けられ、ハンプを乗り越えて滑走してきた貨車の下から電磁力によってブレーキを掛けたり、逆に加速したりするための、遠隔制御の装置です。1984年2月の国鉄のダイヤ改正を契機とした各地の操車場縮小により、現在ではL4カーはもう稼働していません。ただ、この装置の開発にかけられた手間とコストがまったくの無駄になったかというとそうでもなく、技術そのものは、のちに登場する鉄車輪式リニア地下鉄へと応用されることになります。

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■2013年に構内で保管されていたLM-1。  ※2015年に解体され現存しません。

 というわけで、次のターゲットは、日本初の鉄車輪式リニア地下鉄の試作車両LM-1。1983年製の2軸ボギーの電車で、架空電車線方式、軌間1,067mm、車体は日本車輌製造、電装品は日立製作所、台車は住友金属工業がそれぞれ製作しています。車体側面を見る限り両運転台のように見えますが、実際に運転台が設けられているのはこちら側のエンドだけで、

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反対側は(一見運転台のように見えますが)機器搬入口になっています。これは、補助電源装置と空気圧縮機を床上搭載としたためです。リニア地下鉄車両では、当初から2両1ユニットで機器類を分散して搭載することになっていましたが、この試作車両は開発費抑制の観点で2両分の機器を1両に無理やり詰め込んだために、こうなっています。

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LM-1の台車。

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諸元を含めて詳しくは日立評論1985年3月号に掲載されており、WEB閲覧も可能ですので、詳しく知りたい方はそちらをどうぞ。

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この車両は、先述の通りリニア地下鉄の試作車としては最初のもので、二代目は大阪南港の実験線で試運転を行っていたLM-2です。3代目ともなると、いよいよ営業路線向け試作車となり、大阪市交通局鶴見緑地線用70系(7051+7151+7391+7691、いずれも旧車番)がそれです。

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そういえばLM-2は、その後大阪市交通局鶴見緑地線の鶴見検車場で保管されていたという噂レベルの話を聞きましたが、本当のところはどうなのでしょうか。

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■12-000系試作車は豊島区千早フラワー公園で2両とも保存 2013年

いっぽう、馬込で試験走行していた東京都交通局のミニ地下鉄試作車12-001+12-002は、、2015年現在椎名町駅近くの某公園で保存されています。この車両は、登場後にリニアモーター駆動に改造され、現在の大江戸線用12-000系の母体となりましたが、鶴見緑地線用70系試作車のように量産化改造されて営業運転に就くことはありませんでした。

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■2013年に構内で保管されていたHX-1。  ※2015年に解体され現存しません。

 LM-1の奥の方にいたのは、試作通勤形電車HX-1。1991年12月14日から16日にかけて、笠戸(下松駅)から水戸(勝田駅)まで甲種輸送されてきた謎の制御電動車ですが、どのような目的で製作されたのでしょうか。車体は209系0番台に、運転台はのちに登場する209系500番台に似ていなくもないですが……。

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■2013年に構内で保管されていたED500-901。
 
※2015年現在、手前に建屋が増築されて立入禁止エリアとなり、撮影不可。
  2016年に解体され現存しません。

 そして、一番人気がこちら。立入禁止のロープが張られている場所ではなかったので、2013年当時は特に問題無く撮れました(以前の記事を参照)。ED75重連を1両で置き換えることを念頭に開発された電気機関車です。残念ながら需給アンマッチによりJR貨物から受注するには至りませんでした。この車両の諸元については、日立評論1994年5月号に詳しい記事がありますので、興味のある方はそちらをどうぞ。

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 軽量車体を採用し、軸重をED75と同じ16.8tに抑えつつ、出力4,000kWとEF66並みの性能を誇った、3電源対応のD形機。開発当時はバブル全盛期で、景気上昇による輸送量拡大を視野に、東北本線のみならず奥羽・羽越本線など亜幹線での貨物需要も見込めると踏んだのでしょう。またそれだけに留まらず、最高速度はなんと130km/hで旅客用機関車のバリエーション展開も視野に入れており、かなり意欲的?な仕上がりになっています。でもその割には、連続下り勾配通過対策を真剣に考えていなかったのは、やはり致命的だったのではないでしょうか。D形機1両ではブレーキ力が問題になります。ED79牽引の貨物列車が青函トンネルを通過する際に重連運転だったのは、ブレーキ力を確保するためです。

 結局のところ求められたのは、平坦線での牽引力のみならず、連続下り勾配区間でも十分なブレーキ性能を有する軽軸重・多軸のマンモス機ということになり、のちに東芝が開発したEH500が量産されることになりました。

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■構内で使用中の8軸長物車と牽引用蓄電池機関車。 

 最後は、駅側の門から帰る際、通りがかりに見かけた、大きな貨車とバッテリー機関車。

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トモエ電機工業製の凸型15t機で、車軸配置はB。用途については、3年前の鉄道ピクトリアルで紹介していますので割愛します。現役の構内鉄道ですから、車両は常に同じ場所に置いてあるわけではありません。見られるかどうかは、まさに運としか言いようがありません。

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乗降扉は片側のみ。トモエ電機工業のバッテリー機関車は、弊ブログの「Z.バッテリーロコ」のカテゴリでもいくつか紹介しているので、参考までにご覧ください。キャブの形状は似ていますが、よく見ると蓄電池カバーがむき出しで飾り気がなく、より産業用に特化した印象です。

専用鉄道が事実上廃止された事業所ながら、いろいろと見どころのあるまつりでした。

●2015年6月6日 ED78 1 現る!

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 2年ぶりにまつりに参加してみると、仙台の新幹線総合車両センターの奥で保存されていたED78形電気機関車1号機が、展示されていました。パンタグラフを上昇し、寝台特急あけぼの号のヘッドマークまでついています。
(入口で撮影許可証をもらうのは毎度のことです)

  • 「世界初の大容量サイリスタによる交流回生ブレーキを実用化した日立電気機関車」

との主題で、ED78に関する簡単な説明が日本語と英語で記載されていました。

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旧試運転線を整備し、3日前に線路に乗せたばかりとのこと。これから半年間かけて再塗装等の整備を行い、来年のまつりで正式に公開予定です。「動くようにできたらいいけど、まだ届いたばかりで分解して中を見ていないので、なんとも言えないねぇ」とのことでした(笑)

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■仙台の新幹線総合車両センターで保存されていたED781 2010年7月24日、公開時に撮影

この機関車は、仙台に置いてあったころ、ちゃんと撮ってます。当時は、公開時に機関車の傍まで立ち入ることができたので、どの車両も間近で観察したり形式写真を撮ったりし放題でした。その後立入禁止になっていたので、残念だったのですが。

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2010年当時は、こんなふうに近くで撮るのも自由でした。

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昭和43年5月製造の刻印。

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