« 2015年7月 | トップページ | 2015年9月 »

2015年8月

2015年8月31日 (月)

◆神奈川臨海鉄道◆末広町発T社変圧器輸送

  神奈川臨海鉄道浮島線の末広町駅には、電機メーカーT社の専用側線が連絡しており、不定期で大物車シキを用いた変圧器の発送・到着があります。変圧器の到着は以前紹介しましたが、今月発送がありましたので報告します。

20150822_shiki850c01
■T社から出場するシキ  2015年8月22日、神奈川臨海鉄道末広町駅

  今回輸送された変圧器は、末広町駅から川崎貨物駅を経由し、JR高崎線の熊谷貨物ターミナル駅へと向かうもので、変圧器2個が2回に分けて(2列車で)発送されました。

ふつう川崎貨物駅を深夜に発車する特大貨物列車(積車)は、その日の朝の9170列車で末広町から川崎貨物まで出場し、日中は駅構内に留置されるのが通例です。今月2回目の発送では、川崎貨物駅を8月24日月曜日未明に発車する予定でしたので、ふつうに考えると23日日曜朝に出場しそうな気もしますが、現実には異なり、22日土曜朝に出場しました。大物車の空車が末広町へ到着したのが21日金曜朝でしたので、1日あれば荷役は終わるとみて、結果的にこれが正解でした。特大貨物列車の発送日を推測する際は、空車到着日から起算して工程を考えていくのが得策のようです。発車する日から逆算しても正確さを欠き、空振りすることが多いです。

20150822_shiki850c02

電機メーカーT社専用側線から末広町駅構内へ入って2つ目の踏切を渡ったところで、列車は一旦停車し、後方の大物車の確認作業が行われました。

20150822_shiki850c03

発車したのは8:42頃でした。牽引機は神奈川臨海鉄道で最も新しいDD603。

20150822_shiki850c04

先回りして川崎貨物駅構内の陸橋から俯瞰。

20150822_shiki850c05

後ろからも。落とし込み式大物車シキ850Cに変圧器が収まっている様子が、上から見るとよく分かります。

20150822_shiki850c06

浮島到着線でシキを切り離すと、DD603はヨ8000形を引き連れて引上3番線1区へ移動、

20150822_shiki850c0720150822_shiki850c08

ヨを切り離すと、ふたたび浮島到着へ向かい(左)、シキを連結して引上3番線1区に戻りヨと連結しました(右)。

20150822_shiki850c09

これでJR線走行時の編成組成は終わり。あとは、JRの電気機関車が受け取れる架線下の留置線(上り機待3番線)まで入換を行うことなるのですが、

20150822_shiki850c10

まず推進で北側へ向かいます。上り機待3番線は逆方向にあるのですけど。

20150822_shiki850c11

変圧器を載せたシキ850C

20150822_shiki850c12

大きさ的には若干余裕がありそう。

20150822_shiki850c13

一旦陸橋の向こうまでいった後、スイッチバックして

20150822_shiki850c14

引上2番線へ転線し、今度は南へ向かいます。

20150822_shiki850c15

下り着発線まで至ると、またスイッチバックしてようやく上り機待3番線に到着しました。このジグザグ入換が川崎貨物の名物ですね。

●おまけ

20150822_tkswx2

8月22日は、東京総合車両センターの公開日でもありました。E235系展示などで賑わっていましたが、車両センターの入換用スイッチャーも重連で展示。天候にも恵まれ、絶好のイベント日和となりました。

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (0)

2015年8月24日 (月)

★910000アクセス突破★相模鉄道厚木貨物線

 2015年8月23日日曜日、相模鉄道の夏休み特別企画として、普段旅客営業列車の走行しない厚木貨物線に臨時列車が運行されましたので、乗り鉄&撮り鉄してきました。

910000_hokutoseifinal

 まずは、横浜への行きがけに、前日夜に札幌駅を発車した臨時北斗星号上り最終列車の上野着を見届けます。駅のホームや駅間の跨線橋は人でいっぱいでしたが、私はいつもの場所で撮影。

910000_atsugif01

 次に相鉄の臨時列車ですが、かしわ台-厚木操車場往復便は1号~3号までの3往復運行され、1号と2号の間に昼休みが設定されていたので、1号に乗車した後移動して2号と3号を撮影することにしました。かしわ台を出発した1号は、相模国分信号所にて本線と別れて小田急の車庫を横目に坂を下ると、

910000_atsugif02

西側から接近してきたJR相模線と並走を始め、終点の厚木操車場へ至ります。

910000_atsugif05

この地点を沿線から見ると、ちょうどこんな雰囲気です。臨時列車には「そうにゃん号」が使用されました。

910000_atsugif06 910000_atsugif07

厚木駅へ侵入するJR相模線(左)と、相模鉄道の臨時列車(右)。

910000_atsugif08

厚木操車場へ到着した臨時列車。右手がJR相模線で、奥に厚木駅があります。

910000_atsugif10

操車場にはおよそ10分間停車し、途中でJR相模線との並びも見られました。

910000_atsugif11

車内放送で紹介されたそうにゃんも、毎回登場。

910000_atsugif12

厚木操車場を出発する2号。

910000_atsugif13

JR相模線海老名駅脇を高速で通過する臨時列車3号復路。往路はゆっくりとした速度で車窓を堪能、復路は高速走行を堪能できるよう配慮されていました。

●おまけ

910000_atsugif03

 かしわ台の保存車両は撮影し難いことで有名ですが、

910000_atsugif04

今回は厚木貨物線撮影のために脚立を持参したので、なんとか撮ることができました。全国の鉄道事業者ではどこも年一回の車庫一般公開イベントがあるものですが、相鉄は事前応募制なので、保存車撮影のハードルが高いです。

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (2)

2015年8月23日 (日)

【くろがね線を読み解く】第206回■世界遺産眺望スペースからの眺め

 2015年7月5日、第39回ユネスコ世界遺産委員会において「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界文化遺産に登録された。官営八幡製鉄所旧本事務所もその中に含まれ、翌日7月6日よりこれまで撮影禁止だった眺望スペースでの写真撮影が解禁されている。

Honjimusyo01

 入口には、旧本事務所の正面写真と訪問日が掲出されている。撮影禁止時代に1度訪問したことがあるが、特に変わった点はない。

Honjimusyo02_2

強いて挙げれば、注意事項の文章が「撮影時の注意」を追記した内容に上書きされていることくらいだろう。今後訪問される方もおられると思うので、一部抜粋しておく。

  • 本眺望スペースでは、個人使用に限り写真・動画の撮影ができますが、望遠レンズ等大型機材による撮影及び三脚のご使用は、他のお客様への迷惑にもなりますのでご遠慮ください。

入口から入ると突き当りに同じ掲示があるが、「三脚の」の上に「脚立等」の表記が追記されているため、脚立もNGであることを強調しておきたい。

Honjimusyo03

 この角度からの眺望は、数年前に紹介しているので、真新しさは特にないが、堂々と撮れるのは良いことだ。

Honjimusyo04

世界遺産となった旧本事務所。この建物が本事務所として使用された期間は意外に短く、1899年から1922年の23年間である。その後、現在八幡ロイヤルホテルがある場所に設けられていた本事務所の時代が永く続いた。

Honjimusyo05

眺望スペースの目の前は、八幡地区の各工場で生産された製品の横持ち用保管場所として使用されている。この日は、条鋼(レールや鋼矢板など)と、オレンジ色のカバーをかけられた製品(おそらくステンレス製品)が平台車に乗せられて留置されていた。入換は主に平日に実施されるため、土日に訪れても機関車を見ることはまず無理である(今までの経験上、稀に土曜に入換がある)。

Honjimusyo06

くろがね線の線路側(機関区側)のフェンスには、北九州市による「景観重要建造物」の銘板が取り付けられていた。

  • 指定第3号 平成25年12月13日
  • 八幡製鉄所
  • 旧本事務所 修繕工場 旧鍛冶工場

Honjimusyo07

フェンスの上にカメラを持ち上げると、機関区を裏側から見ることができる。バリアングルファインダー付の機種でないと厳しいだろう。

■東洋経済誌に世界遺産眺望スペース関連記事

『企業機密か観光か、悩める八幡の”世界遺産”』

-思わぬ展開に新日鉄住金と北九州市は大慌て-
松浦 大 :東洋経済 編集局記者

http://toyokeizai.net/articles/-/74856

 東洋経済に八幡の旧本事務所撮影禁止に関連した記事が掲載されている。この記事によると、Y製鉄所が旧本事務所の撮影に難色を示すのは、八幡地区に電磁鋼板の工場があるためという。既に報道されているように、Y製鉄所が生産している方向性電磁鋼板は、主に発電所や変電所の変圧器の鉄心に使用されるもので、鉄損の少ない高品質な方向性電磁鋼板を使用した変圧器の導入が進めば、国家レベルの省エネ化に大きく寄与する、そんな製品である。海外諸国もこれに目を付けており、実際に新日鐵の元社員が起業した会社を通じて流出させた技術を用い、POSCOが方向性電磁鋼板を生産しているとして、新日鉄住金はPOSCOと係争中である。(2015年9月30日に和解成立との報道あり)

ところが、電磁鋼板の工場は眺望スペースからは目視できないほど離れているうえ、間には運河(岸壁)や建物、樹木などがあり、そもそも見えない。したがって、眺望スペースの撮影禁止と電磁鋼板を直接関連付けるのは、やはり無理があるのではないだろうか。眺望スペース前に並んでいる貨車が積んでいる製品も、大した秘密があるわけではないし、電磁鋼板は貨車では運ばないのでこの場所には来ない。当該記事の記者松浦大も、電磁鋼板に着目したところまでは良かったが、さすがに製鉄所内の各工場のレイアウトや構内物流にまでは気が回らなかったのだろう。

 松浦によると、八幡地区は工場見学に対応していないとされているが、これもむしろ真逆である。なぜなら、毎年11月に開催される起業祭(八幡製鉄所のお祭りをルーツとする北九州市のイベント)では、永らく八幡地区のレール工場が公開されてきたからである。最近では2011年の起業祭で久々に戸畑地区が公開され、以降は2014年まで毎年戸畑地区が公開されるようになっている。この実績からも分かる通り、戸畑・八幡どちらの地区も、公開には対応しているのである。

東洋経済誌は、テーマへのアプローチの仕方がユニークなのでよく読んでいるのだが、今回の記事は100点満点で50点、といったところ。残念ながら及第点には及ばない。

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (5)

2015年8月17日 (月)

★905000アクセス突破★2015年第一四半期引退系列

 2015年1月~3月の第一四半期は、私鉄各社で旧型車両が相次いで引退した時期でした。弊ブログでも京成3300形電車の引退を何度か取り上げています。

他社の引退系列を個々に紹介する時間が無いのでまとめて振り返ります。

905000_20151sth01

 西鉄では、私鉄の高性能車(国鉄の新性能電車)で本格的に採用されたモノコック構造の車体を先駆的に取り入れた313形電車が、2015年1月をもって引退。車体こそ新規性溢れますが、足回りは旧型電車そのもの。吊掛け駆動はのちに西武701系の廃車発生品によってカルダン駆動化されましたが、ブレーキは空制のままでしたので、制動時の前後動に懐かしさを感じる方もおられたはず。2014年大晦日撮影。

905000_20151sth02

住宅街の中を走る西鉄貝塚線において、最後の一駅間だけは長閑な雰囲気が漂います。

905000_20151sth03

 そして関東では、銚子電鉄1000形電車1001号車が引退。1002号車との協調運転が見ものでした。2015年1月10日撮影。

905000_20151sth04

3月には、阪急2300系電車がさよならヘッドマークをつけて凱旋運転。3月20日撮影。

905000_20151sth05

こうして3つの系列を比較してみると、いずれも昭和30年前後に登場したグループにもかかわらず、阪急の電車は回生ブレーキを搭載しており、またそのデザインも古さを感じさせず秀逸です。(他が悪いわけではありませんが…)

●おまけ

905000_20151sth06

 上半期引退ではありませんが、今月で終了予定の南海ラピート・ピーチアビエーション塗装。1年間運行されていた割には、撮影は今回が最初で最後となりそうです。2015年8月16日撮影。

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (0)

2015年8月12日 (水)

【くろがね線を読み解く】第205回 ■150mレール輸送船 PACIFIC SPIKE

Pacificspike01
■Y製鐵所八幡地区輸出岸壁に寄港中のPACIFIC SPIKE  2015年8月8日

 住友商事のプロジェクトにより、新来島どっく大西工場にて2014年8月29日に竣工した、世界初の150m長尺レール輸送専用船、それが PACIFIC SPIKE である。全長はおよそ190m、D/W(載貨重量トン数)は23,000屯、甲板上には荷役用デッキクレーンを備え、長尺レールを2000本積載することができる。用途は輸出向けで、貨物鉄道向けのレール需要が旺盛な北米が主な輸送先となる。150mレールの国内向け輸送は、2015年3月のダイヤ改正より鉄道貨車で開始されているが、この船による輸出はそれ以前の2014年9月より開始されている。したがって、150mレールの出荷開始は、2015年3月ではなく、2014年9月が正しい。誤解無きようお願いしたい。

Pacificspike02

先端に船の名称がペイントされている。

Pacificspike03 Pacificspike04

左舷甲板上には、50tデッキクレーンがおよそ50m間隔で3基設けられている。デッキクレーンは三菱重工製で、シンクロ制御機能により3基を同期して動かすことができる。またリモコン制御のため見通しの良いハウス(居住区)前の操作デッキからの遠隔制御が可能となっており、安全に作業することができる。甲板上のレール積付具は、どことなくチキのそれを巨大化したような構造である。

Pacificspike05

ハウス(居住区)の周辺。

Pacificspike06

よく見ると、そこにも「PACIFIC SPIKE」の表記がある。

■PACIFIC SPIKE 諸元

  • 全 長  :  189.9m(垂線間187.00m)
  • 全 幅  :  28.20m
  • 深 さ  :  14.00m
  • 満載喫水:  8.00m
  • 総トン数 :  20,506
  • 載貨貨物:  24,041t
  • 主機関 :  マキタ-三井-MAN B&W 6S42MC7.1型ディーゼル機関×1基
  • 航海速力:  約14.0ノット
  • 定 員 :  25名
  • 船 級 :  日本海事協会(NK)
  • 船 籍 :  パナマ

【参考】

  • 『長尺レール運搬船「PACIFIC SPIKE」竣工』(株)新来島どっく技術設計本部基本設計部船体計画課 松本智、日本船舶海洋工学会HP
  • 日刊工業新聞 2014年4月23日版
  • LNEWS 2014年10月28日版

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (2)

2015年8月11日 (火)

【くろがね線を読み解く】第204回■くろがね線(2015年夏)

 2015年8月8日、久々にくろがね線を訪れた。最高気温35℃を超える炎天下、いつ来るか分からないくろがね線を待ち続けて熱中症になってしまっては、笑い話にもならない。しかし幸いなことに、福岡都市高速の真下に位置するため終日日陰になる機関区の前で観察していれば、戸畑行の発車を事前に察知することができる。夏でも安心だ。

Kurogane20150801
■戸畑行のくろがね線列車 輸送品目はスラブ 2015年8月8日、枝光付近にて

この日は11時頃に機関区前に行ってみると、E8501とD705が重連を組んで八幡第二操車場から戻ってきた。運転士は一旦下りてしまったが、しばらく待つと、11:17頃に再び詰所から出てきてE8501に乗り込んだので、運行を確信。すぐに枝光付近へ移動すると、待つことおよそ30分、戸畑行がやってきた。通常、機関区で待機していた機関車が第二操車場へ移動してから、貨車編成を組成し、戸畑行として発車するまでの時間は、だいたい20~40分前後であることが経験的に分かっているので、ほぼ予想通りの待ち時間である。

Kurogane20150802

貨車は平台車+熱延コイル輸送用台車で、平台車にはスラブが積まれていた。列車は1時間で戸畑から戻ってくることは分かっているが、別に立ち寄りたい場所があったためこの日のくろがね線撮影はこれにて終了。

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (0)

2015年8月 3日 (月)

◆SDF機材輸送列車◆2015年夏

 例年、北海道や九州で実施されている、自衛隊の演習。従来は、仮想敵国の脅威に対峙するため、本州の部隊を北海道へ展開する「北方機動特別演習」が実施されていましたが、2005年以降は「協同転地演習」と名称を変え、本州の部隊を九州へ、北海道の部隊を本州へと展開する訓練も実施されるようになりました。背景には、近隣国の軍事的脅威の増大があります。

 転地演習では、演習場内での訓練のみならず、各地の部隊を演習場まで迅速かつ円滑に機動展開できるのを確認することも、重要な目的のひとつです。演習に使用する機材と要員は、陸・海・空の各手段で目的地へと輸送され、陸上での一部機材の輸送には鉄道が使用されることもあります。

 防衛省のホームページによると、2015年夏の協同転地演習は、下記内容で実施されるとのこと。

  • 期  間 : 平成27年6月22日~7月16日
  • 場  所 : 中部方面区~北部方面区(浜大樹訓練場、矢臼別演習場等)
  • 訓練部隊: 中部方面隊第13旅団

今回の長距離機動訓練は、復路のみ鉄道による陸路機動が含まれており、機材を輸送するための貨物列車が運転されることになります。

 復路輸送が開始される7月10日頃からTwitterを見ていると、13日に機材輸送列車が東室蘭操に到着したとの情報が掲載されました。中部方面隊第13旅団は中国地方の部隊ですから、最終目的地は西岡山貨物駅か広島貨物ターミナル駅のいずれかと推察されます(伯耆大山駅は荷役スペースが狭隘過ぎて機材の荷卸しには不向き)。そこで輸送経路をたどると、どうも7月18日土曜日に、東海道本線を下りそうなことが分かりました。これまでは、平日に運行されることがほとんどで撮影は困難でしたが、今回は土日跨ぎで月曜まで3連休ですので、追いかけるには格好の機会です。早速、始発電車に乗り、東海道を下ります。

Kizai201501
■横浜羽沢を出発し西進する機材輸送列車   2015年7月18日、早川-根府川

石橋集落で太平洋バックに1回目の撮影。すぐに早川へ戻り、熱海から浜松までひかり号でワープします。今回の機材輸送列車は8863(9863)列車の時刻で運転されていましたので、本来であれば西浜松で30分近く停車時間があるため、このあと浜松以東と以西で1回ずつ追い越して撮ることができます。しかし、西浜松の発時刻が繰り上がるとの直前情報があったので、安全を考えて直接浜名湖へ向かうことにしました。

Kizai201502
■浜名湖を渡る機材輸送列車  2015年7月18日、弁天島-新居町

結果的には、9863レとほぼ同じ時刻にやってきました。ここで撮るとこれ以上の追っかけが厳しくなりますが、西小坂井で追い越して大府へ先回り。

Kizai201503
■稲沢へ向かう機材輸送列車  2015年7月18日、逢妻-大府

むかしのように笠寺での長時間停車はなく、稲沢まで追い越すことはできません。

Inazawanainen

 稲沢駅で下車し、今年3月に竣工した内燃機関整備場(DF200形電気式ディーゼル機関車のエンジンを整備するらしい)の横を通り、

Inazawa10t

旧車輪転削庫工事中のため屋外に出されてしまった入換用スイッチャーの横を通り過ぎると、

Kizai201504

機材輸送編成は、コンテナ貨物列車の間に隠すように留置されていました。先頭の貨車1両以外はまともに撮ることができませんでした。車票には次のように書かれています。

Kizai201505

自衛隊機材輸送、発駅は帯広貨物、着駅は西岡山です。

列車指定表示票が見えないので発車日か判断できませんでしたが、この日は台風通過後の大雨の影響で関西のJR線は各地で不通となっており、長距離貨物列車も途中駅で足止めされていましたので、動かないと判断し宿泊決定。

 翌日日曜日、5時前に起床して滋賀方面へと向かい、朝から機材輸送列車を待ってみます。早朝から活動開始するのは、稲沢を6時頃出発して梅小路(京都貨物)に10時過ぎに到着する75km/h列車の臨時スジがあり、これに乗せるのではないかと踏んだからです。この列車は貨物時刻表には掲載されていませんが、西武鉄道から近江鉄道への譲渡車を甲種輸送する際に何度か使用されたことがあります(→こちらの記事を参照)。

待っている間、関西地区のJR線復旧に伴い、高速貨物列車が徐々に動き出しますが、

Kiya2bx2

定尺レール輸送のキヤ4連が撮れたくらいで、機材輸送列車は一向に来る気配がありません。次の可能性は、稲沢を11時頃に出る75km/hの8865列車ですが、Twitterを見ると10時過ぎの時点で着発線への入換が行われていないことが判明し、8865レの線も消えました。こうなると24時間手配で日曜夕方の9863レしか考えられません。雨も降ってきたので、撤収して樽見鉄道乗り鉄でも楽しむことにしました。

Tarumi

 樽見鉄道は、途中駅までは出張で何度も乗っていますが、実は終点まで乗り通したことがありません。谷汲口より先の区間は開業が遅いだけあり、山と谷をトンネルと橋梁で一直線に貫いていく、まるでほくほく線のようないかにも鉄建公団建設路線といった風情。復路は大垣まで乗らずに横屋で途中下車し、土手を目指して12分歩きます。

Kizai201506
■稲沢を発車し一路西岡山へ向かう機材輸送列車  2015年7月19日、穂積-大垣

結局、稲沢駅で丸一日停車し、翌日の9863レと同じスジでやってきた、機材輸送列車。夕暮れであまり鮮明ではありませんが、1日粘った甲斐がありました。今後も土休日に走行することがあれば、また撮ってみたい列車です。編成は以下の通りでした。

  • EF65 2089 
  • チキ6395 87式偵察警戒車
  • チキ6396 87式偵察警戒車
  • チキ7122 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7052 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7129 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7051 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7074 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7032 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7082 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7079 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7134 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7123 155mm榴弾砲FH70

※EF65形は新鶴見機関区所属、チキは全車とも川崎貨物駅常備

なおこの撮影地は、巷の撮影ガイドでは東大垣駅から徒歩20分と案内されていて、試しに帰りは東大垣駅まで歩いてみましたが確かに20分かかりました。どう考えても横屋駅の方が近いですね。

●輸送機材

 AMAZONで朝雲新聞社刊『自衛隊装備年鑑2011-2012』が¥900-くらいで売っていたので、即買いして、今回の輸送機材について簡単に調べてみました。

1.87式偵察警戒車

Kizai201521

  • 全備重量 約15t
  • 全 長   5.99m
  • 全 幅   2.48m
  • 全 高   2.8m
  • 最高速度 100km/h
  • 登坂能力 tanθ約60%
  • エンジン 水冷4サイクル10気筒ディーゼル機関 305ps/2700rpm
  • 武 装   25mm機関砲×1、 74式車載7.62mm機関銃×1
  • 製 作   小松製作所、日本製鋼所(25mm機関砲)

2.155mm榴弾砲FH70

Kizai201522

  • 口 径   155mm
  • 全 長   9,800mm(走行時)、 12,400mm(射撃時)
  • 砲身長   6,022mm
  • 全備重量 約9,600kg
  • 給弾方式 自動装填
  • 発射速度 6発/分
  • 最大射程 約30,000m(噴進弾)、 約24,000m(通常弾)
  • 製 作   日本製鋼所

●四方山話

 日本のように周辺を海に囲まれた島国では、敵が本土に上陸してきたら基本的に勝ち目はありませんし、そこまで至らずとも周辺国との軍事的な緊張関係で海上輸送に制約が生じると、物流・経済面で負のインパクトが大きいと思われます。なにせ、日本の大都市のほとんどは海沿いにあり、拠点間物流は内航海運への依存度が大きいですからね。海上輸送の不足分を道路輸送で補おうとすれば、通行量が増えて混乱しますので、相対的に鉄道輸送の重要度は増すものと思われます。機材輸送の手段としても、です。言い方を変えれば、鉄道を使って機材を輸送しなければならない事態が実際に生じるのは、あまり好ましくないとも言えます。したがって、そのような事態を招かないための政治・外交努力・抑止力としての軍事力の維持(演習もその一つ)が重要になります。昨今の新聞・テレビなどメディアの論調を見ていると、集団的自衛権を巡る憲法解釈のテクニカルな部分をクローズアップするものが多い気がしますが、まずは有事にどんなことが起き得るのか、物流や経済の視点で基本的なことから考えた方がいいと思います。

【注意】
 当記事掲載の写真は、特記の無い限りすべて公道(もしくは社会通念上立入りの許される区域)から撮影したものです。無断で私有地・社有地等へ立ち入ることは絶対におやめください。

【著作権の表示】
 当ブログの著作権者は、特記の無い限り、私 「社長」です。当ブログのすべての文章・写真・図面および図表は、日本国の法律(著作権法)と国際条約によって保護されています。改変したものも含めて、著作権者に無断で複製・配布することは出来ません。

| | コメント (0)

« 2015年7月 | トップページ | 2015年9月 »