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2015年8月23日 (日)

【くろがね線を読み解く】第206回■世界遺産眺望スペースからの眺め

 2015年7月5日、第39回ユネスコ世界遺産委員会において「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界文化遺産に登録された。官営八幡製鉄所旧本事務所もその中に含まれ、翌日7月6日よりこれまで撮影禁止だった眺望スペースでの写真撮影が解禁されている。

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 入口には、旧本事務所の正面写真と訪問日が掲出されている。撮影禁止時代に1度訪問したことがあるが、特に変わった点はない。

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強いて挙げれば、注意事項の文章が「撮影時の注意」を追記した内容に上書きされていることくらいだろう。今後訪問される方もおられると思うので、一部抜粋しておく。

  • 本眺望スペースでは、個人使用に限り写真・動画の撮影ができますが、望遠レンズ等大型機材による撮影及び三脚のご使用は、他のお客様への迷惑にもなりますのでご遠慮ください。

入口から入ると突き当りに同じ掲示があるが、「三脚の」の上に「脚立等」の表記が追記されているため、脚立もNGであることを強調しておきたい。

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 この角度からの眺望は、数年前に紹介しているので、真新しさは特にないが、堂々と撮れるのは良いことだ。

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世界遺産となった旧本事務所。この建物が本事務所として使用された期間は意外に短く、1899年から1922年の23年間である。その後、現在八幡ロイヤルホテルがある場所に設けられていた本事務所の時代が永く続いた。

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眺望スペースの目の前は、八幡地区の各工場で生産された製品の横持ち用保管場所として使用されている。この日は、条鋼(レールや鋼矢板など)と、オレンジ色のカバーをかけられた製品(おそらくステンレス製品)が平台車に乗せられて留置されていた。入換は主に平日に実施されるため、土日に訪れても機関車を見ることはまず無理である(今までの経験上、稀に土曜に入換がある)。

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くろがね線の線路側(機関区側)のフェンスには、北九州市による「景観重要建造物」の銘板が取り付けられていた。

  • 指定第3号 平成25年12月13日
  • 八幡製鉄所
  • 旧本事務所 修繕工場 旧鍛冶工場

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フェンスの上にカメラを持ち上げると、機関区を裏側から見ることができる。バリアングルファインダー付の機種でないと厳しいだろう。

■東洋経済誌に世界遺産眺望スペース関連記事

『企業機密か観光か、悩める八幡の”世界遺産”』

-思わぬ展開に新日鉄住金と北九州市は大慌て-
松浦 大 :東洋経済 編集局記者

http://toyokeizai.net/articles/-/74856

 東洋経済に八幡の旧本事務所撮影禁止に関連した記事が掲載されている。この記事によると、Y製鉄所が旧本事務所の撮影に難色を示すのは、八幡地区に電磁鋼板の工場があるためという。既に報道されているように、Y製鉄所が生産している方向性電磁鋼板は、主に発電所や変電所の変圧器の鉄心に使用されるもので、鉄損の少ない高品質な方向性電磁鋼板を使用した変圧器の導入が進めば、国家レベルの省エネ化に大きく寄与する、そんな製品である。海外諸国もこれに目を付けており、実際に新日鐵の元社員が起業した会社を通じて流出させた技術を用い、POSCOが方向性電磁鋼板を生産しているとして、新日鉄住金はPOSCOと係争中である。(2015年9月30日に和解成立との報道あり)

ところが、電磁鋼板の工場は眺望スペースからは目視できないほど離れているうえ、間には運河(岸壁)や建物、樹木などがあり、そもそも見えない。したがって、眺望スペースの撮影禁止と電磁鋼板を直接関連付けるのは、やはり無理があるのではないだろうか。眺望スペース前に並んでいる貨車が積んでいる製品も、大した秘密があるわけではないし、電磁鋼板は貨車では運ばないのでこの場所には来ない。当該記事の記者松浦大も、電磁鋼板に着目したところまでは良かったが、さすがに製鉄所内の各工場のレイアウトや構内物流にまでは気が回らなかったのだろう。

 松浦によると、八幡地区は工場見学に対応していないとされているが、これもむしろ真逆である。なぜなら、毎年11月に開催される起業祭(八幡製鉄所のお祭りをルーツとする北九州市のイベント)では、永らく八幡地区のレール工場が公開されてきたからである。最近では2011年の起業祭で久々に戸畑地区が公開され、以降は2014年まで毎年戸畑地区が公開されるようになっている。この実績からも分かる通り、戸畑・八幡どちらの地区も、公開には対応しているのである。

東洋経済誌は、テーマへのアプローチの仕方がユニークなのでよく読んでいるのだが、今回の記事は100点満点で50点、といったところ。残念ながら及第点には及ばない。

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コメント

はじめまして
いつも興味深く読ませていただいてます
この場所撮影解禁されたのですが、
訪問者はそれほど急増しているわけでもないようで、
私が訪れた時もまったりとしていました
スタッフの数も入口に1名、中に1名で以前と変わりません
ちょっと意地悪な見方かもしれませんが
看板の英語の説明が撮影禁止のままなのは意図的なものでしょうか

投稿: 飛幡人 | 2015年8月25日 (火) 01:06

飛幡人さまはじめまして!コメントありがとうございます。
訪問者、やはりまばらだったのですね。私は平日に行ったのですが先客1~2名程度いて
写真を撮っていたら5分もしないうちにゼロになりました(・.・;)
英語の説明文の件お気づきになられましたか…。画像の縮小サイズを英文を読める大きさにしているので、いつかどなたか気づかれるかなと思っておりましたが、予想外に早かったです(^_^;)
今後ともよろしくお願いします。

投稿: 社長 | 2015年8月25日 (火) 21:31

こんばんは。見に来られたのですね。
私は、これに関する仕事をしており、今、何をするにしても『世界遺産のために』という
言葉が付き、周辺施設の整備等が行なわれ、何とかして観光客誘致に結びつけようと
しています。巡回バス運転とか電動自転車のスペースワールド駅前での常備台数を
増やすとか。。。。。
でも、現実にはすべて空振っており、巡回バスは空気を運んでいるようだし、
眺望スペースは貸しきり状態だし。皆、言うのが眺望スペースからはるか彼方の
建物見てもねえ。。。。
やっぱり、本気で観光財源にするにはもっと会社側にもっと踏み込んで開放を求める
しかないと思うのですが、なにせ、あちら様には頭の上がらない北九州市ですから。。
また、お書きになられているように、皆になじみのある本事務所はロイヤルホテルに
なってしまった二代目の方ですし、貫禄もそちらの方が有りました。

ちなみに
http://opt.jtb.co.jp/kokunai_opt/i/whole/?tenant=TN000193
というツアーが行なわれているようです。
これに参加すると、本事務所の中まで見学できます。
一応、カメラ等はNGと書かれていますが、知人の話しでは
皆、バシバシ写真撮ってるとか・・・・・・・

投稿: 枝光人 | 2015年8月26日 (水) 21:09

枝光人さんいつもコメントありがとうございます。
世界遺産関係の観光に関わっておいででしたか。なかなか難しいお仕事なのですね。
私などは、単純に撮れるようになってこんな記事を書いてしまいましたが、お仕事として携わっている方にはもしかすると配慮の足りない表現があったかもしれません。

私は、こんなのがあったら何度も通うかもしれません

【黒崎発旧本事務所見学ツアー】
JR九州のキハ40系を使用し、黒崎→西八幡間は自力走行、
西八幡から製鉄所の機関車牽引で専用鉄道を走行し、旧本事務所前に横付け、
内部を見学してもらう。

新日鉄住金専用鉄道は、専用側線とは異なり、鉄道事業法第2条6で規定された立派な法令上の鉄道で、
旅客輸送も認められています。
(かつてくろがね線で従業員輸送が行われていたのも、専用鉄道だったからこそ可能)
JRと線路が繋がっていることを最大限利用して、外から列車を乗り入れさせれば
楽しいなという。(笑)

くろがね線まで乗り入れて(もちろん機関車牽引)、戸畑へ直通して高炉前見学ツアーがあっても良いかも。

ホームを造るのはお金がかかるので、タラップで乗降してもらえば良いかなと。
新日鐵住金とJR九州と交渉しないと無理ですが、
いまあるインフラを使ってほとんどコストをかけずに実現できます。

まぁ夢物語ですけど、夢を語るのはタダですから。

投稿: 社長 | 2015年8月28日 (金) 01:31

枝光人さまこんばんは
コメント補足させていただきますが、
スペースワールド駅前の貸し自転車は、8/28に私が借りた際は残り1台で、他は全て出払っていました。
従いまして、世界遺産との関係はともかく、利用率が高いので、事業としては悪くないのではと思うのですが…。

投稿: 社長 | 2015年9月 1日 (火) 22:55

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