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2015年8月 3日 (月)

◆SDF機材輸送列車◆2015年夏

 例年、北海道や九州で実施されている、自衛隊の演習。従来は、仮想敵国の脅威に対峙するため、本州の部隊を北海道へ展開する「北方機動特別演習」が実施されていましたが、2005年以降は「協同転地演習」と名称を変え、本州の部隊を九州へ、北海道の部隊を本州へと展開する訓練も実施されるようになりました。背景には、近隣国の軍事的脅威の増大があります。

 転地演習では、演習場内での訓練のみならず、各地の部隊を演習場まで迅速かつ円滑に機動展開できるのを確認することも、重要な目的のひとつです。演習に使用する機材と要員は、陸・海・空の各手段で目的地へと輸送され、陸上での一部機材の輸送には鉄道が使用されることもあります。

 防衛省のホームページによると、2015年夏の協同転地演習は、下記内容で実施されるとのこと。

  • 期  間 : 平成27年6月22日~7月16日
  • 場  所 : 中部方面区~北部方面区(浜大樹訓練場、矢臼別演習場等)
  • 訓練部隊: 中部方面隊第13旅団

今回の長距離機動訓練は、復路のみ鉄道による陸路機動が含まれており、機材を輸送するための貨物列車が運転されることになります。

 復路輸送が開始される7月10日頃からTwitterを見ていると、13日に機材輸送列車が東室蘭操に到着したとの情報が掲載されました。中部方面隊第13旅団は中国地方の部隊ですから、最終目的地は西岡山貨物駅か広島貨物ターミナル駅のいずれかと推察されます(伯耆大山駅は荷役スペースが狭隘過ぎて機材の荷卸しには不向き)。そこで輸送経路をたどると、どうも7月18日土曜日に、東海道本線を下りそうなことが分かりました。これまでは、平日に運行されることがほとんどで撮影は困難でしたが、今回は土日跨ぎで月曜まで3連休ですので、追いかけるには格好の機会です。早速、始発電車に乗り、東海道を下ります。

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■横浜羽沢を出発し西進する機材輸送列車   2015年7月18日、早川-根府川

石橋集落で太平洋バックに1回目の撮影。すぐに早川へ戻り、熱海から浜松までひかり号でワープします。今回の機材輸送列車は8863(9863)列車の時刻で運転されていましたので、本来であれば西浜松で30分近く停車時間があるため、このあと浜松以東と以西で1回ずつ追い越して撮ることができます。しかし、西浜松の発時刻が繰り上がるとの直前情報があったので、安全を考えて直接浜名湖へ向かうことにしました。

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■浜名湖を渡る機材輸送列車  2015年7月18日、弁天島-新居町

結果的には、9863レとほぼ同じ時刻にやってきました。ここで撮るとこれ以上の追っかけが厳しくなりますが、西小坂井で追い越して大府へ先回り。

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■稲沢へ向かう機材輸送列車  2015年7月18日、逢妻-大府

むかしのように笠寺での長時間停車はなく、稲沢まで追い越すことはできません。

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 稲沢駅で下車し、今年3月に竣工した内燃機関整備場(DF200形電気式ディーゼル機関車のエンジンを整備するらしい)の横を通り、

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旧車輪転削庫工事中のため屋外に出されてしまった入換用スイッチャーの横を通り過ぎると、

Kizai201504

機材輸送編成は、コンテナ貨物列車の間に隠すように留置されていました。先頭の貨車1両以外はまともに撮ることができませんでした。車票には次のように書かれています。

Kizai201505

自衛隊機材輸送、発駅は帯広貨物、着駅は西岡山です。

列車指定表示票が見えないので発車日か判断できませんでしたが、この日は台風通過後の大雨の影響で関西のJR線は各地で不通となっており、長距離貨物列車も途中駅で足止めされていましたので、動かないと判断し宿泊決定。

 翌日日曜日、5時前に起床して滋賀方面へと向かい、朝から機材輸送列車を待ってみます。早朝から活動開始するのは、稲沢を6時頃出発して梅小路(京都貨物)に10時過ぎに到着する75km/h列車の臨時スジがあり、これに乗せるのではないかと踏んだからです。この列車は貨物時刻表には掲載されていませんが、西武鉄道から近江鉄道への譲渡車を甲種輸送する際に何度か使用されたことがあります(→こちらの記事を参照)。

待っている間、関西地区のJR線復旧に伴い、高速貨物列車が徐々に動き出しますが、

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定尺レール輸送のキヤ4連が撮れたくらいで、機材輸送列車は一向に来る気配がありません。次の可能性は、稲沢を11時頃に出る75km/hの8865列車ですが、Twitterを見ると10時過ぎの時点で着発線への入換が行われていないことが判明し、8865レの線も消えました。こうなると24時間手配で日曜夕方の9863レしか考えられません。雨も降ってきたので、撤収して樽見鉄道乗り鉄でも楽しむことにしました。

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 樽見鉄道は、途中駅までは出張で何度も乗っていますが、実は終点まで乗り通したことがありません。谷汲口より先の区間は開業が遅いだけあり、山と谷をトンネルと橋梁で一直線に貫いていく、まるでほくほく線のようないかにも鉄建公団建設路線といった風情。復路は大垣まで乗らずに横屋で途中下車し、土手を目指して12分歩きます。

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■稲沢を発車し一路西岡山へ向かう機材輸送列車  2015年7月19日、穂積-大垣

結局、稲沢駅で丸一日停車し、翌日の9863レと同じスジでやってきた、機材輸送列車。夕暮れであまり鮮明ではありませんが、1日粘った甲斐がありました。今後も土休日に走行することがあれば、また撮ってみたい列車です。編成は以下の通りでした。

  • EF65 2089 
  • チキ6395 87式偵察警戒車
  • チキ6396 87式偵察警戒車
  • チキ7122 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7052 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7129 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7051 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7074 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7032 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7082 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7079 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7134 155mm榴弾砲FH70
  • チキ7123 155mm榴弾砲FH70

※EF65形は新鶴見機関区所属、チキは全車とも川崎貨物駅常備

なおこの撮影地は、巷の撮影ガイドでは東大垣駅から徒歩20分と案内されていて、試しに帰りは東大垣駅まで歩いてみましたが確かに20分かかりました。どう考えても横屋駅の方が近いですね。

●輸送機材

 AMAZONで朝雲新聞社刊『自衛隊装備年鑑2011-2012』が¥900-くらいで売っていたので、即買いして、今回の輸送機材について簡単に調べてみました。

1.87式偵察警戒車

Kizai201521

  • 全備重量 約15t
  • 全 長   5.99m
  • 全 幅   2.48m
  • 全 高   2.8m
  • 最高速度 100km/h
  • 登坂能力 tanθ約60%
  • エンジン 水冷4サイクル10気筒ディーゼル機関 305ps/2700rpm
  • 武 装   25mm機関砲×1、 74式車載7.62mm機関銃×1
  • 製 作   小松製作所、日本製鋼所(25mm機関砲)

2.155mm榴弾砲FH70

Kizai201522

  • 口 径   155mm
  • 全 長   9,800mm(走行時)、 12,400mm(射撃時)
  • 砲身長   6,022mm
  • 全備重量 約9,600kg
  • 給弾方式 自動装填
  • 発射速度 6発/分
  • 最大射程 約30,000m(噴進弾)、 約24,000m(通常弾)
  • 製 作   日本製鋼所

●四方山話

 日本のように周辺を海に囲まれた島国では、敵が本土に上陸してきたら基本的に勝ち目はありませんし、そこまで至らずとも周辺国との軍事的な緊張関係で海上輸送に制約が生じると、物流・経済面で負のインパクトが大きいと思われます。なにせ、日本の大都市のほとんどは海沿いにあり、拠点間物流は内航海運への依存度が大きいですからね。海上輸送の不足分を道路輸送で補おうとすれば、通行量が増えて混乱しますので、相対的に鉄道輸送の重要度は増すものと思われます。機材輸送の手段としても、です。言い方を変えれば、鉄道を使って機材を輸送しなければならない事態が実際に生じるのは、あまり好ましくないとも言えます。したがって、そのような事態を招かないための政治・外交努力・抑止力としての軍事力の維持(演習もその一つ)が重要になります。昨今の新聞・テレビなどメディアの論調を見ていると、集団的自衛権を巡る憲法解釈のテクニカルな部分をクローズアップするものが多い気がしますが、まずは有事にどんなことが起き得るのか、物流や経済の視点で基本的なことから考えた方がいいと思います。

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