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2017年5月25日 (木)

★薩摩金山蔵トロッコ★トモエ電機工業製バッテリー機関車で代走中

 ゴールデンウィーク期間中の半日を使い、鹿児島墓参りのついでに串木野に寄ってきました。串木野金山の跡地で営業中の『薩摩金山蔵』が目当てです。薩摩金山蔵は、金山跡の坑道が温度・湿度一定で紫外線の遮断された空間であることを活用し、坑道内に樽を並べて焼酎の熟成を行っています。そして、完成した焼酎の店頭販売をはじめ、金鉱山や金精錬工程を紹介するミュージアムの運営、焼酎蔵巡りの観光トロッコの運行を行っています。

この施設はかつて、金山の坑道見学や砂金採りが体験できるテーマパーク『ゴールドパーク串木野』として知られており、一度訪問しているのですが、当時は親戚と一緒のお出かけだったのであまり鉄道目線で見ることはできませんでした。私は軌間1,067mm未満のいわゆる日本流ナローゲージにはあまり興味がないのですが、生まれ故郷の県内にある保存鉄道くらいはちゃんと訪ねておきたいというのが、今回訪問した動機です。

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 JR鹿児島本線串木野駅のホームに降り立つと、北側に早速工場が見えました。金の精錬事業を行っている三井串木野鉱山です。この駅は、新幹線開業前は堂々たる特急停車駅であった名残で、2017年現在でも駅前には大きなロータリーとタクシー乗り場が設けられています。駅舎内にはコインロッカーもありますので、旅の途中で薩摩金山蔵に寄り道しても困ることはありません。(もっとも駅前にはコンビニとパチンコ屋くらいしかありませんが…)

駅からタクシーで移動するとおよそ7分で金山蔵へ到着しました。入場券を購入する際にトロッコの運行時刻を確認したところ、ホームページに掲載されていた時刻とは異なり、また減便していることが判明。事情を聴いてみると、機関車が故障してしまい、余所から代わりの機関車を借りて運行しているが、電池がもたないので本数を減らしているとのこと。そんな状況とはつゆ知らず、呑気に訪問してしまいました。次の列車の運行開始までかなり時間がありましたので、お願いして先にホームに入れていただき、マンツーマンで解説をしていただきながら車両を撮影することになりました。

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こちらがトロッコの客車です。妻面中央のヘッドライトは故障したためLEDライトを取り付けたとか。かなり眩しいです。通常は、このヘッドライト付きの人車が編成の前後に連結され、編成中央に動力車(機関車)が配置されています。往復共に客車が先頭になるわけです。でも今回は故障した機関車が編成から外れ、

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代わりにオレンジ色のバッテリー機関車が先頭に連結されていました。この方が風格がありますね。充電中なのか、バッテリーの蓋を開放しています。

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使用しているのは鉛蓄電池でしょうか。機関車からケーブルが伸びた先の充電器には新トモエ電機工業と記載されていました。

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こちらが機関車次位の客車。人車の改造とのことです。先頭の座席には「運転席」と書かれた紙の札が付いていますが、上で紹介したバッテリー機関車での代走期間中は客席になります。

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編成中間にはこんな車両も。訊いてみると、焼酎樽を坑道(蔵)へ出し入れする際に樽を乗せるための車両とのことです。言わば貨車でしょうか。運賃を取る営業目的では無いので、事業用車と言った方が正しいでしょうか。いずれにせよ、旅客以外を乗せるための車両があるというのがこの観光トロッコ最大の特徴ですね。

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次に、連結器を見てみましょう。この客車(人車)はご覧の通り自動連結器なのですが、

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先頭の機関車の連結器はこんな形態です。いったいどうやって連結しているのか確認してみると、

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ナックルを外して溶接してしまったそうです。一時凌ぎなので、こんな方法でも構わないのだとか。でも線路の途中には曲線区間もあるので、曲がれるようにはなっていると思いますが…。

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ホーム上のテーブルには時刻表もありました(プライバシー配慮のため氏名は伏せています)。先程受付で聞いた営業列車は、10:30発、11:30発、12:30発、14:30発の4本だけでしたが、どうも営業時間外に列車が設定されているようです(8:00と15:30)。後で知りましたが、始発列車の前に坑道の門扉を開き、坑内の電源を入れて客の受入準備をするための列車と、終列車後に後片付けをするための列車が各1本ずつ設定されているとのこと。終列車後の列車は、金山蔵営業時間内に走行するため、撮影するにはもってこいとのことでした。

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それでは、前置きが長くなりましたが、トロッコに乗って金山坑道へ入ってみましょう。2本のレールの外側に第3軌条がありますが、これはゴールドパーク時代の電気機関車が集電するために使用していたレールで、現在では使用されていません。

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真っ暗闇の中、ガタゴト揺られることおよそ10分、距離にして700mほど進むと、終点のホームに到着します。トンネル坑口からここまで一直線というわけではなく、微妙に曲がりくねっていたり、途中にトンネル(線路)の分岐跡もあったりして、なかなか楽しめました。

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坑道内は夏でもひんやり涼しいです。ここでトロッコから降りた運転士さんは、観光ガイドへと早変わり。淀みない語り口でお客さんを楽しませてくれます。

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数百メートルにも及ぶ焼酎樽の羅列はもちろんのこと、

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かつて運行されていた電気機関車とグランビー鉱車も展示。ただの焼酎蔵ではないところを見せつけてくれます。ガイド役の運転士さんはもともと三井串木野鉱山で働いていらした方なので、この鉱山に関する説明・考証もバッチリです。坑内観光は15分ほどですが、もっとゆっくり見ていたかったですね。

●最終列車後の回送列車

薩摩金山蔵様のご厚意により、終列車後の後片付け列車運転時に、トンネルに入る手前で一時停止していただけました。

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ホームで隠れて見えなかった台枠より下もみえます。バッテリー機関車はトモエ電機工業製で自重は3.25トンです。故障した機関車の代替用にレンタルしており、所有は新トモエ電機工業のままだそうです。

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本来は、山口県内の石灰石鉱山で使用する予定だったものを急遽借りてきたとのことです。ただ私の記憶が正しければ、山口県内にある石灰石鉱山3か所はすべてトラックレスだったはず(砕石はベルコンまたは重機・トラックで輸送し、掘削・運搬に軌道を使用していなかったはず)ですので、若干疑義の残る証言ではあります。もちろん、せっかく撮影用に一時停止していただけたので、ここで議論を始めても仕方がないので有難く撮らせていただきました(笑)

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機関車の運転台に、

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その下にあるサーボロコ運転取扱注意事項、

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そして銘板。しっかり記録させていただきました。280型蓄電池機関車、型式TBL-280KL・S-762、製造番号TS5-30029、2007年10月、トモエ電機工業製造。

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客車もここなら2軸ボギー台車が見えますね。編成と、機関車と客車の形式写真完形が撮影でき、とても満足。ご手配いただいた方にお礼をして現場を後にしました。なお2017年5月現在、故障した機関車に代わる新型機関車を発注済みで、2017年10月1日から営業運転を開始するそうです。またこれに伴い客車も新造されます。新型はトモエ電気工業製ではないそうなので、この機関車と客車をご覧になりたい方は、お早めに。

 今回はトロッコに的を絞って紹介しましたが、金山ミュージアムの展示内容はとても勉強になりますし、お酒も美味しいですし試飲もできます。鹿児島へお越しの際は、『薩摩金山蔵』、ぜひ、訪ねてみてください。

 最後になりますが、鉱山の歴史や金精錬の詳細については、三井串木野鉱山のホームページを参照してください。また鉱山鉄道の現役時代、および現在の廃線跡については、炭鉱電車が走った頃さんのホームページに興味深いレポートがありますので、ぜひご覧になってみてください。

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