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2017年10月30日 (月)

【くろがね線を読み解く】第253回 ■東洋製鉄からの編入鉄側車

 製鉄所の構内に敷設されている線路は、鉄道事業法の範疇に属さない構内鉄道(法律上の正式な鉄道ではなく製鐵所の設備扱い)と思われることも少なくない。しかしY製鐵所の鉄道は、運輸省監修・鉄道図書刊行会発行の鉄道要覧(国鉄分割民営化以前は民鉄要覧)に掲載されていることからも分かる通り、鉄道事業法第二条6で規定された専用鉄道である。法規上の鉄道であるからには、車両の新製や改造をした場合は運輸省の設計認可を受ける必要がある。認可資料は公文書なので、国立公文書館で参照することができる。

1952年(昭和27年)7月19日に運輸省鉄道監督局長により決済された、鉄監第854号「八幡製鐵専用鉄道車両設計について」は、38トン蒸気機関車3両と15トン鉄側貨車414両の車両設計認可を申請したものだが、「車両設計申請」に次のような興味深い記述がある。

当所専用線は昭和9年2月1日監第281号にて運転認可をうけその当時の車両所有両数は蒸気機関車140両、貨車2806両と申請しておりましたが、専用線関係書類整備の結果機関車3両、貨車414両の登録申請漏れのあることが判明いたしましたので、更めて設計申請をいたします。(後略)

以前の記事で言及したように、くろがね線が開業して戸畑地区(←東洋製鉄)と八幡地区が鉄道連絡したのが昭和5年であるため、その4年後ということになる。登録漏れが起きた理由については、次頁の「2、設計申請せねばならない理由」において、次のように記載されている。

昭和9年2月1日東洋製鉄株式会社と合併日本製鉄株式会社創立の際に、運輸省に車両登録漏れをしていたので、現在車両数を基礎として登録書類整備をしたい。

状況から考えて、合併前に東洋製鉄に所属していた車両を、合併後にY製鐵所専用鉄道(くろがね線含む)で使用開始していたものの、その認可申請をしていなかったので、昭和27年になってから後付けで申請したということになる。

■貨車設計書

 認可申請に添付の貨車設計書によると、貨車の諸元は以下の通りである。

  • 車種(15A-4): 15屯積2軸無蓋車
  • 両  数    :  414 両
  • 自  重    :  約8,300 キログラム
  • 積載容積   :  8.6 立方メートル
  • 荷  重    :  15.000 屯
  • 主要寸法
    最大寸法(長×幅×高):6,790 × 2,400 × 1,650 ミリメートル
    固定輪軸距離:  3,000 ミリメートル
  • 連結器の種類:  柴田式並形自動連結器
  • 制動機の種類:  無し

車種の15A-4については、以前Y製鐵所の貨車の形式記号についてまとめているので、こちらの記事を参照願いたい。直訳すると、15t積 鉄側車の第4ロットということになる。掲載はしないが同じく添付の図面から読み取ると、車体長はジャスト6メートル、連結器高さは880ミリメートル、車輪経は865ミリメートルである。また認可申請された貨車414両の番号一覧は、添付資料により以下の通りである。

15a4list

これら東洋製鉄からの編入車のうち、黄色く着色した4両については、2007~2011年にかけてくろがね線を走行するシーンを撮影しており、当時としては現役貨車ということになる(2017年現在も現役かどうかは不明)。編入が昭和9年であるから、製造されたのは更に古く、専用鉄道認可前のY製鐵所構内鉄道の運行されていた大正時代の可能性すらあると考えられる。以下に紹介する。

Tete8627

テテ8627。

Tete8654

テテ8654。

Tete8683

テテ8683。最後のテテ8687は、以前バラストを積んだ姿を紹介しているので参照されたい(→こちらの記事)。

 なお、本認可と同じ日に決済された鉄監第855号「八幡製鉄専用鉄道車両設計について」において、同様の15トン鉄側車100両が設計認可されているが、増備理由に「当所生産量増加のため」とあるため、純粋な新製と思われ、東洋製鉄から編入された15t鉄側車は上記リストの最終番号8700以降は存在しないと思われる。

■元・鉄側車改造の控車

 JR九州所属のチキ車がY製鐵所構内を走行する際に運転士が乗るために使用される控車テテ(以前こちらの記事で紹介)も、上記リストから、元は東洋製鉄の鉄側車であったことが分かる。
 

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