■東福山の入換機■HD300-24
JR貨物の入換専用ハイブリッド機関車HD300形が、各地の大規模貨物駅で入換に使用されているディーゼル機関車DE10形・DE11形を次々にリプレイスしています。本日12月5日にも、機関車の製造元・東芝のある北府中から西岡山に向けて、HD300ー26が甲種輸送されました。今回は、2016年12月から東福山で活躍を開始したHD300-24をとりあげます。
東福山には2017年に入るまで常駐する入換用機関車がありませんでした。ではどうやって非電化荷役線の貨車の入換を行っていたのかというと、早朝に西岡山を出る東福山行の2753列車(75km/h列車)を岡山機関区のDE10が牽引し、本線走行してきたDE10がそのまま東福山に居座って入換を行う運用でした。DE10の夜間滞泊は無しで、西岡山への復路は定期貨物列車66列車の次位無動力で当日中に回送されていました(2015年春の改正以降は単1970レで自力回送)。しかし2016年12月にHD300-24が常駐するようになり、2017年春のダイヤ改正で、西岡山-東福山間で見られたDE10牽引の本線走行貨物列車は姿を消しました。
朝の9時前に到着する67列車は、入換を撮るには好都合です。牽引してきたELの反対側にHD300が連結され、編成を2本に分けて引上げ、それぞれ荷役線へ押し込みます。1回目は上写真の線路(貨11)に、
2回目は上写真の線路(貨2)へ押し込むのが通常の手順です。貨2は障害物が全くなく順光になるので、編成写真・形式写真いずれも好条件で撮ることができます。
■東福山で入換中のHD300-24 2017年6月
貨物列車好きにはDE10を好む方が多いのですが(私も好きですが)、HD300の産業用機関車然とした雰囲気もまた魅力があります。もっともその部分が好みの分かれるところではあるのですが。
導入当初は空転が多く扱いづらいとの声も聞こえましたが、これは空転検知の仕組みに問題があったためです。JR貨物が鉄道総研と共同でHD300の走行データをモニタリングして研究した結果、空転開始時と空転終了時では、加速度の⊿(デルタ=変化率)の絶対値に差があることが分かってきました。空転開始時は⊿が大きく、空転終了時は⊿が小さいため、各々の状況に応じて空転の判定条件となる⊿の上限値を変えることで、正確な空転検知ができるようになりました。要するに、制御装置は電車と同じように制御用プログラムの改良により性能を改善できる余地があるわけですね。これが液体式ディーゼル機関車と大きく異なる点です。制御用プログラム改良の結果、現在では、空転に関する問題はほとんど解消しているとのことです。
東芝がドイツ鉄道の貨物子会社(DB Cargo)と提携してHD300形ベースのハイブリッド機関車を導入する動きがあるとの報道もありましたので、今後このタイプが海外で活躍する日も来るかもしれませんね。
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