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2017年12月24日 (日)

【くろがね線を読み解く】第261回 ■M製鉄所スラグ輸送

 NHKのTV番組「ブラタモリ」でも紹介されたこの街は、火山の産物である砂鉄と、道央で産出していた石炭を原料とする製鉄業で、古くから栄えた。近くを走るJR室蘭本線も、そのルーツは北海道炭礦鉄道(のちの北海道炭礦汽船)で、岩見沢や夕張から室蘭まで石炭を輸送するための運炭鉄道であった。この鉄道は1909年の輪西製鐵場(現 NS社M製鉄所)開設後は、製鉄所への原料炭輸送も担った。その名残で現在でも、苫小牧方面から東室蘭駅に至る室蘭本線の線路をそのまま南西に直進すると、M製鉄所に向かう専用鉄道(の廃線跡)になる。JRの長万部方面も室蘭方面も、線路は分岐側である。

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 湾の周囲にはいわゆる海食崖と呼ばれる地形が数多く存在し、中には埋立地の工業地帯を俯瞰できる場所もある。2016年に北海道を訪れた際には、M製鉄所の溶滓・鋼滓輸送を見ることができた。

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M製鉄所の溶滓(高炉スラグ)・鋼滓(転炉スラグ)処理場は、敷地西端の海寄りにある。処理場には、上写真の通りスラグ鍋車の移動用として専用の入換用機関車が配置されている。

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北側にある授受線には、上とは別の機関車によって高炉・製鋼工場から溶滓鍋車・鋼滓鍋車が運ばれてきて留置される。

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留置されたスラグ入りの鍋車は、処理場に配置された機関車が受け取り処理場まで運ぶ。

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処理場で切り離された鍋車は、液体スラグを流し落とす。鍋の中のスラグは空気に触れている最上部が冷却され固まって固体になってしまっているため、処理場にある重機が鍋の中にアームを入れて卵の殻を割るようにしてスラグを掻き出す。

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鍋車には大きさの違いにより2種類あり、容積の小さい鍋車はこの場所でスラグを流し落とすが、容積の大きい鍋車は更に左(海寄り)の処理場でスラグを落とす。おそらくスラグの用途の違いによって処理方法が異なる(徐冷滓or水滓など)ために場所を区別していると思われる。

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空車の鍋車は、高炉・製鋼工場からやってきた機関車が推進で持ち去っていく。

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スラグ処理場の手前にはパイレンヤードと空の鍋車の留置線があり、こちらの入換はあまった機関車が適宜実施する。このため、処理場の機関車が使用されることもあれば、高炉からやってきた機関車が使用されることもある。

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授受線の北東側には製鋼工場があり、高炉で溶銑を積んだトピードカーが運ばれていく様子を見られる場合がある。ただしこちらはメインの製鋼工場に至るルートではないため、一日にあたりの運行回数はかなり少ない。写真を拡大すると、車番はD-652と読めた。

■入換用機関車 (D-501、D-502、D-607、D-608)

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 こちらは、スラグ処理場入換機のD-502。1967年7月に日本車輌製造で製作されM製鉄所に新製配置された50tB-B機関車で、製造番号は2599。後位側車端部には簡易運転台と前方確認用の窓が設けられているが、前位側(エンジン側)にはそのような装備はない。代わりに、2軸の控車を連結しており、機関車と一心同体で運用されている。

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こちらは高炉・製鋼工場とスラグ処理場授受線の間で鍋車の輸送に使用されている機関車D-608。1977年日本車輌製造製の60tB-B機関車で、製造番号は3289。こちらは前位側・後位側双方に簡易運転台を設けており、控車は連結していない。先述の50t機より車体が一回り大きく見える。また前位側ボンネットのエンジンルーム直上に棺のような出っ張りがある。Y製鐵所の機関車にもこれと同じ特徴を持った機関車がいることから想像するに、おそらくエンジンを換装しているものを思われる。キャブ側面にある水色の社章は鉄鋼メーカーNS社合併後の新しいデザイン・カラーで、時期的に考えておそらくエンジン換装後の再塗装時に取り付けられたと思われる。

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こちらは別の日に見られた機関車で、鍋車との間に2軸ボギーの控車を1両連結している。

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その車番はD-607であった。1977年3月日本車輌製造製の60tB-B機関車で、製造番号は3277。こちらも前後に簡易運転台を設けているが、エンジンは未換装なのか、ボンネットはオリジナルの姿を留めている。

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鍋車の編成は固定されておらず、長い時は5~7両にも及ぶ。そのまま様子を見ていると、

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推進運転で製鋼工場側へ鍋車を推していった。その機関車は、

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D-501であった。1967年7月日本車輌製造製の50tB-B機関車で、製造番号は2598である。先述のD-502とは同時納入の姉妹機である。他の機関車同様M製鉄所への新製配置で、後天的な改造により前後に簡易運転台が取り付けられている。簡易運転台に設けられた窓の枚数と高さが、他の機関車と異なる。

■製鋼工場南の車庫

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製鋼工場南側には、車両整備場らしき建屋もあった。屋外にD-605が留置されていた。この写真を撮影した場所は、亀梨和也主演「劇場版妖怪人間ベム」で、ベムの家が登場したシーンのロケ地である。私は、この記事で紹介した一連の撮影地を、「輪西の丘」に対して「ベムの丘」と呼ぶことにしている。

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