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2018年4月23日 (月)

D社O工場から引退のDS-6を捜し出す

 2018年4月、Twitterに興味深い投稿を見つけた。化学メーカーD社のO工場専用鉄道で使用されていたディーゼル機関車DS-6が、神奈川県にトレーラー輸送されたというのである。D社専用鉄道には、2012年にDS-7という北陸重機工業製の新型ディーゼル機関車が導入されており(→以前の記事を参照)、それ以来、それまで主力であったDS-6は予備となっていた。その後2016年になり、ジェイアール貨物北陸ロジスティクスが伏木貨物駅構内で保管していた旧ジェイアール貨物信州ロジスティクスのDD453が導入されたため、いよいよDS-6の予備待機も不要になっていた筈である。搬出されたというニュースを聞いた時、さもありなん、妥当なシナリオと思ったものである。

しかし問題なのはその行先。トレーラー輸送の到着地に関しては「横浜港」というキーワードしか見つからない。横浜港は、横浜市鶴見区安善から横須賀市夏島町に至る7,315.9haの広大な港湾部全体の総称である。興味はあるが、この範囲の中から機関車1両をしらみつぶしに捜していくというのは、気の遠くなるような話である。そこで私はまず、横浜港の各地区がそれぞれどのような品目を取り扱っているのかについて、横浜市港湾局のホームページで勉強することにした。

 今回の捜索ターゲットは貨物なので、旅客専用や観光用の港は除外してみていくと、

  • 山下ふ頭
  • 新山下地区
  • 本牧ふ頭
  • 南本牧ふ頭
  • 出田町ふ頭
  • 山内ふ頭
  • 瑞穂ふ頭
  • 大黒ふ頭

をリストアップすることができる。

まず、貨物取扱量上の大本命は本牧だが、コンテナメインの拠点なので微妙だ。しかし何しろ広大なので、中にはコンテナ以外の貨物も置いてあるかもしれない。判断が付かないのでとりあえずステイ。山下・新山下は本牧を補完する役割で雑多なものが多いので、ここもステイ。南本牧はコンテナしかないのでオミット。出田町は青果物、山内は古紙等リサイクル、瑞穂は米軍専用なのでいずれもオミット。すると残るのは大黒である。まとめると、山下・新山下・本牧(A~D突堤)・大黒の各ふ頭を見て行けば、その中のどこかにDS-6が居るはず、ということになる。幸い、これらの埠頭はすべて横浜市交通局が駅からバス路線網を伸ばしており、足は確保できる。Twitterの写真には「敷地外より撮影」とあり、公道から見える場所に置いてあると思われた。したがって、バスからの車窓チェックで充分なのである(港湾部は関係者以外立入禁止のエリアがほとんどなので、クルマで行っても入ることはできない)。

 桜木町駅前から横浜港シンボルタワー行のバスに乗り、進行方向左側の窓際に着席する。山下・新山下・本牧A~C突堤はすべて入口に門扉があり中には入れないし、外から見える範囲にそれらしいものはなかった。最後のD突堤は、以前仕事で何度も行ったことがあるので多少土地勘があるのだが、ここだけは公道が末端まで伸びており入ることができる。末端にあるのがシンボルタワーである。D突堤にもそれらしいものはなかったが、シンボルタワーに上ると横浜港全体を俯瞰することができるので、何かヒントが得られるのではと思われた。

 シンボルタワーの展望台から360度ぐるっと景色を眺めていた時、私はあることに気付いてしまった。Twitterにあったとある1枚の写真、DS-6の背後に、紅白の煙突2本が並んでいるものがある。機関車に午後順光で光が当たっていることを考えると、南西側から北東の方に向かって撮っていると思われるのだが、シンボルタワーから360度眺めた結果、川崎にあるJFE東日本製鉄所(京浜地区)の敷地内にある煙突以外に、そのような煙突は見える範囲には存在しないことが分かった。さらに重要なのは、2本の煙突の間隔である。これから述べるエピソードは、もうオジサンしか知らないと思うが、むかし足立区の北千住に「お化け煙突」というのがあった。4本の煙突が間隔を置いて分散して並んでいるのだが、前後左右に離れているので、見る角度によっては煙突同士が重なり、4本が3本に見えたり、2本に見えたりするのだ。要するに、煙突の間隔がどの程度離れているのか、近づいているのかによって、見ている角度がかなり絞り込めるのである。分析の結果、前述の埠頭の中で、煙突の間隔がTwitterの写真通りに見える角度には、山下ふ頭と大黒ふ頭しかないことが分かった。山下は既にチェック済みなので、残るのは大黒ふ頭しかない。写真1枚から場所が特定できてしまうのが、SNSの魅力であり、怖さでもある。

 本牧ふ頭から大黒ふ頭へは、クルマなら20分程で到着するが、今回は公共交通機関を利用しているので、急いで桜木町駅に戻り、根岸線・京浜東北線経由で鶴見下車、再び市営バスで大黒ふ頭へと向かう。埠頭内ではバースを順番に回ってくれるので、また進行方向左手に被りつきながら見ていると、遂にそれらしい姿を発見した! すぐに降車ボタンを押すが間に合わず、一つ先のバス停で下車した。一つ先といっても200mほどなので、すぐに戻ることができたのだが。

Ds6_20180401
■U社の敷地内に保管されていたDS-6。新天地での活躍に期待。 2018年4月某日、敷地外より撮影

これが捜し当てたDS-6である。トレーラーに乗せられたまま駐車場に留め置かれていた。原石線で走行中の写真は既に弊ブログで何度も紹介しているので参照されたい(→こちらこちらなど)。

Ds6_20180402

写真を現役時代と比較すると、前位側ボンネット先端のミラーや、妻面・キャブ側面のナンバープレート、社章が外されているのが分かる。

Ds6_20180403

更にキャブの窓を拡大すると、レムチャバンの表記があり、輸出先はタイのようだ。

 DS-6を見つけ出した時には、桜木町駅で下車して捜索を始めてから3時間が経過していた。宝探しのお題としては結構面倒なネタではあったが、誰に聞いたわけでもなく自力で見つけ出せたのは収穫であった。後付けになるが、大黒ふ頭の取扱品目は乗用車・トラックなどの自動車、および建設用重機などが多く、輸出する鉄道車両の保管場所としてはカテゴリ的に最も妥当だ。埠頭内は、Cバースがコンテナ及び多目的ターミナル、Lバースが外貿定期船ターミナル、Tバースが外貿不定期船ターミナル、Pバースが内航船ということで、コンテナ以外の輸出品ならLかTを捜せば充分なのであった。こちらの方向からアプローチした方が手っ取り早かったかもしれない。まだまだ修行が足りないな。

 最後に一つ。ふだんは、他人に教えてもらった情報はブログには出さないことも少なくないのだが、今回は自力捜索によりまったくしがらみが無いので、参考までに情報を載せておく。良識ある対応を期待したい。無論、本情報を活用した結果、現場で生じたあらゆる問題は、すべて当事者の責任において対処願いたい。

■アクセス

JR鶴見駅/京急鶴見駅前6番のりばから横浜市営バス17系統でL4バース下車、徒歩1分。

(平日・土曜のみ。日曜はLバース内に入らないので、大黒ふ頭下車徒歩25分)

■DS-6日本を発つ

横浜市港湾局のホームページによると、DS-6を乗せた船は、2018年4月27日金曜日18:00にL5バースを離岸し、タイ・レムチャバン(Leam Chabang)港を目指して出港しました。

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