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2019年4月

2019年4月22日 (月)

【ドイツの貨物列車】189形電気機関車重連の鉄鉱石輸送5000t列車(Erzbomber)

 2012年のゴールデンウィークにザール地方を訪ねた際、ディリンゲン(ザール)駅で鉄鉱石輸送列車に遭遇しました。ドイツ語では鉱石輸送列車のことをErzzugと呼びます。この列車は、オーストラリア・ブラジル・スウェーデンなどから船で北海まで輸送され、オランダ・ロッテルダム港で陸揚げされた鉄鉱石を、ザール地方のディリンゲンにあるROGESAの製鉄所まで輸送する役割を担っています。もちろん、鉄鉱石は製鉄の原料として使用されます。ROGESA(Roheisengesellshaft Saar GmbH)は、ディリンゲンヒュッテとザールシュタールが持ち株会社の銑鉄生産会社で、操業に携わる社員はおらず、実質的にはディリンゲンヒュッテ・ディリンゲン製鉄所の一部といえます。

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牽引するのは、DBSCHENKER所属のBaureihe189(189形電気機関車)重連です。この機関車は、ドイツ・シーメンス社製のBaureihe152(152形電気機関車)をベースにドイツ周辺各国に直通できるよう4電源(交流15kV 16 2/3Hz、交流25kV 50Hz、直流3kV、直流1.5kV)対応に設計変更したもので、ドイツ国内の交流15kV下では最大出力6,400kWを誇るマンモス機関車です。この列車は、最大で貨車40両、総荷重は5,500tに及びますので、牽引機関車は重連となり、その重量感からErzbomber(鉱石爆弾)の愛称で親しまれています。オランダ国鉄のロッテルダムからドイツ国内まで、国境駅での機関車交換無しで直通運転しており、オランダ国鉄直通のため規程により車両前面の左右端から端まで途切れの無い白帯を配しています。

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貨車は、比重の大きい鉄鉱石を効率よく輸送するため、荷重は1両あたり141tに達し、その重量を支えるため3軸ボギー台車を備えています。この日目撃した列車は36両編成とやや短かめでしたが、それでも5,000t列車ですから十分に迫力がありますね(ちなみに日本国内の最大は1,300t列車です)。この貨車は、3軸ボギー台車以外にも大きな特徴があります。それはAK(自動連結器)を装備している点です。

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車端部を見てみると、日本国内の貨車でおなじみの自動連結器と解放テコが見てとれるいっぽう、欧州の鉄道車両標準のバッファーやねじ式連結器が省略されています。実は、ねじ式連結器の太さでは、鋼鉄の強度の限界で5,500t級の列車に組成して運行することができないため、1975年に登場した3軸ボギー無蓋ホッパー車で自動連結器が採用されて以降、鉄鉱石輸送列車は自連使用が標準になっています。当然、機関車側も自動連結器を装備している必要があります。

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こちらはディリンゲン(ザール)駅構内に留置されていた電気機関車で、左の重連が189形、右の縦に3両並んだのが185形です。左の189形は、車両前部下に黄色く着色された自動連結器を装備し、その両側にバッファー、真下にねじ式連結器を備えたハイブリッド仕様です。右の185形と比較すると、違いがよく分かると思います。185形は、製鉄の原料・燃料である石炭を輸送する列車に主に充当されているようです。石炭輸送用貨車は、1両あたり荷重65t程度で台車も2軸ボギーであり、他の貨車と同じねじ式連結器を装備していますので、185形に自連は必要ありません。

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