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2019年7月

2019年7月15日 (月)

【くろがね線を読み解く】第290回 ■小倉地区の岸壁半製品水切り入換

 2019年7月にクモヤ443・442による架線検測を見物しに九州北部を訪ねた際、Y製鐵所小倉地区にて、水切りした半製品を構内の工場へ運ぶための入換を見ることができた(「水切り」とは、船で運んできた荷物を陸に揚げることを指す。水揚げとも言う)。

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小倉駅前でレンタサイクルを借り、東小倉-小倉間と西小倉-南小倉間でクモヤ443・442架線検測列車を撮影後、そのまま例の岸壁へ行ってみると、ちょうど機関車が接岸中の船に近付いていく場面に遭遇した。船はN社の物流子会社が運行管理しているF丸で、2014年に愛媛県今治市の矢野造船で建造された内航貨物船である。今治と言えばみかんとタオルと提灯で有名だが、産業的にはまず造船である。

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機関車はD308、日立製作所製の35トンB-B機である。以前エスケイケイ物流塗装時代を紹介したが、他の機関車同様Y製鐵所標準塗装に変更されている。空車の長物車を構内から持ってきて岸壁の一番手前、船のすぐ横の線路に押し込んだ。

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いつも見ている引上線の岸壁は、ここ数年草刈りをしていないのか足元が見えなくなっているが、岸壁はアスファルト舗装のため草が無く台車の形までよく見える。機関車は長物車を切り離して単機で奥に行くと、スイッチバックして内陸側の線路へ再び入ってきた。

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船の横に並ぶように入線、貨車連結のためなのか、しばし小休止。

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今度は荷を積んだ長物車を引き出して構内へ向かっていった。

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積んでいる荷はブルーム(圧延されて棒鋼に加工される前の半製品)である。小倉地区では、溶銑・スラグ・半製品輸送は鉄道だが、棒鋼線材などの最終製品は、既にキャリアパレットカー等による無軌条輸送に置き換えられており、貨車のバリエーションは戸畑・八幡地区ほど多くはない。ただし機関車も貨車も全体的に古いものが現役で残っていることがあるので、要注意である。この長物車はステップを手すり付きのものに改造したのだろうか。塗装がその部分だけ綺麗である。台車はマクラバネがコイルで軸受もコロ軸受を採用しており、随分と重厚な造りである。台車枠に穴が4か所空いていることから察するに、注入台車に使用されていた台車から遮熱板を外して転用した可能性も考えられる。戸畑・八幡地区では実際にそのような事例がある。(→こちらの記事を参照のこと

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数十分後に船が出港し、前回機関車が入換にやってきてからおよそ1時間後、同じD308が再度単機でやってきた。別の機関車が来るのではと期待して待ってみたが、同じものが来た。船で運んできた半製品の水切りは、船から貨車へ直接積むのではなく、クレーンで一旦岸壁に積み上げる。それを貨車に積んで構内へ持っていくのは別のタイミングである。機関車は、空車の貨車を連れてきて、荷を積んだ貨車を連れて行くという作業を繰り返す。岸壁のクレーンが、次に機関車が来るまでに半製品を貨車に積んでいく。

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船がいなくなり、積み上げられたブルームが見える。貨車に積んだブルームはD308が構内へ持っていった。

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2019年7月13日 (土)

★155万アクセス突破★EF60形19号機牽引ELぐんまよこかわ号(2019)

2019年6月2日、JR信越本線高崎―横川間で「ELぐんまよこかわ」が運転されました。今回は、牽引機に稼働率の低い高崎車両センター所属のEF60形19号機が充当されるため、馴染みの場所へ行ってきました。

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10年前のEF55形さよなら運転以来でしたが、長閑な景色は健在。

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復路はSL牽引となるため片道のみでしたが、1灯ライトのEF60形を堪能させていただきました。EF60形はこのあと2019年7月1日夜に高崎を発ち秋田総合車両センター(旧 土崎工場)へ回送されてしまいましたが、今後どうなるのでしょうか。秋田総合車両センターでは、周辺の電車や気動車のほかJR東日本のすべての機関車と客車(E26系を除く)の全般検査・重要部検査を実施しています。廃車になった機関車や気動車・電車の解体も実施しているため、気になりますね。

●私の見たEF60

 EF60形19号機牽引の列車で一番良く乗ったのは、EL奥利根です。SL奥利根を撮影したあと後続の電車で渋川で追いつきSL奥利根に乗り換えて、そのままEL奥利根に乗って上野へ帰る時によく利用しました。上りEL奥利根は高崎を17時台に発車するうえに、本庄で後続の新特急草津と普通電車1本に追い抜かれるダイヤだったため、その間に陽が暮れて夏場以外はほとんど撮影できない代物でした。下りは下りでどこで撮っても逆光でした。そういうわけで、乗り鉄ではなく撮る方では上越訓練の方が馴染みがあります。

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こちら2枚は4年前の記事で紹介した写真の再掲です。2007年の全般検査で国鉄色に戻ったあと、2010年に1灯ライト化される前の両端シールドビーム・国鉄色時代ですね。

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この当時の上越訓練は、2018年現在のように客車編成の前後に機関車を配する(いわゆるプッシュ・プル)方式ではなかったので、終端駅では機回し、入換が行われていました。

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推進で高崎駅へ入線する上越訓練発車前入換。営業列車ではないためホームの無い線路に入りました。

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機回しして水上側に連結します。(以上2009年7月31日撮影)

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こちらも以前の再掲ですが、2012年3月3日に運行された急行いず物語。ばんえつ物語用12系客車をEF60形19号機とEF64形1031号機がプッシュ・プル方式で牽引しました。

●過去帳入りした高崎の動態保存機

 さてこの機会に、ブログを始める前に撮っていた高崎の電気機関車をあわせて紹介します。

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こちら記事冒頭の写真とほぼ同じ場所で撮影した、EF55形1号機のさよなら運転です。ムーミンことEF55形は、国鉄常務理事だった(のちのJR東日本初代副社長)山之内秀一郎氏の鶴の一声で正式に大宮工場での動態復元が実現したと言われております。その山之内氏が2008年8月8日に他界すると、同年冬に信越本線や上越線でさよなら運転が行われ、2009年1月18日の運転をもって引退しました。上写真はその前日1月17日の撮影。

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こちらはDLとのプッシュ・プルのさよなら運転、ヘッドマーク付。2009年1月12日撮影。

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この時は後続の普電で追いかけて横川まで行きましたが、いつまで経っても人が減ることは無く、綺麗に撮るのを諦めた記憶があります(苦笑)

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末期は行先表示幕も特製でした。

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横川駅で形式写真が綺麗に撮れないので、仕方なく復路の途中通過駅で最後尾を流し撮りしようという目論見。むかし1990年代~2000年代前半に、EF55が水上駅や新津駅で展示された時にも撮りに行っているのですが、いまみたいに車両手前に規制線を張ることは無く車両から離れて撮るような風習?は無かったのか、手前に人が写りこんでいる写真ばかりでした。

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2008年12月6日のさよなら運転。上越線複線化によってできた廃線跡からアウトカーブで狙う有名な場所でしたが、SLは煙が出ない場所なので来る人は少なかったですね。この数年後、C6120復活の頃からロープが張られ立入禁止になっとります。

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カーブだと先台車の中心が車体中心からずれているのがよく分かりますね。

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2008年12月13日のさよなら運転では、新潟のばんえつ物語用12系客車を使用しました。なぜか連結器に銀色を入れていました。たしかこの時はさよなら列車が数分遅れて来たために上りの107系普電が手前に被ってしまったのでした。

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スジはSL奥利根とほぼ同じでしたので、後続の普電に乗り渋川で追い抜いてもう1回。これは上牧ー水上かな?

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通過の25分ほど前の到着で編成を撮れるところは既に人でいっぱいでしたので、機関車中心に。

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水上駅到着後は転車台で向きを変えます。

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冬至も近い時期なので日照時間は短い。水上発車後すぐに撮らないと露出がもたない……というわけで復路も機関車中心で今度は流し撮り。

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次にEF64形1001号機。この車両はまだ廃車になっておらず現役と思いますが、2017年10月の全般検査で国鉄色に復しており、ぶどう色のやすらぎ色は1052号機に譲りましたので、過去の姿ということで。

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2018年現在のSLみなかみ号では、オハニの荷物室は車内販売用ワゴン・販売員の待機スペースとして利用されており、編成端に連結されますので、編成中間にオハニが入っているのはいかにも訓練運転ぽいですね。

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もう少し植物がおとなしい時期に再訪したいものです。この時はオハニ無しでの訓練。

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中間オハ47、編成端スハフ43(緩急室は編成端寄り)の正調編成。

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上りも後続の普電で渋川で追い抜いて先回りが定番。(すべて2009年7月撮影) このEF64形1001号機はもとより、EF64形37号機ももはや動態保存機扱いですが、そのうちEF65PFもそんな風になってくるのでしょうか。

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2019年7月 5日 (金)

■ベルギー国鉄■27形電気機関車

 2019年のゴールデンウィークに訪ねたベルギーで見た、ベルギー国鉄の電気機関車を紹介します。

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27形電気機関車は、直流3000Vのみに対応したベルギー国内専用の電気機関車です。主に都市間を連絡するREを牽引・推進しています。くの字型に出っ張った前面形状が特徴で、やや緑がかったライトブルーに黄色の帯を巻いています。これがベルギー国鉄の機関車標準のカラーです。

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先進国の首都を、二階建てなら8両、平屋なら12~14両編成の普通客車列車が5~6分おきにやってくるシーンが展開します。

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と言っても最近では隣国ドイツやフランスと同じように、左のようなEMU(電車)も増えています。ただやはり独仏のような経済大国とは異なり予算が潤沢には無いので、鉄道車両リプレイスのペースも非常に遅く、まだまだ旧型の車両が活躍しています。以上、ブリュッセル北駅にて。

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こちらは、元貨物線のルート上に設けられたラ・ルビエール中央駅に入線するRE。28号機が平屋の客車14両を牽引してきました。中央駅といっても、1.5kmほど北にあるラ・ルビエール・インダストリー駅(製鉄所の専用線が分岐する貨物専用駅)の方が線路の数は圧倒的に多いですね。無論、そこに行くためにこの駅で下車したわけですが。すべて2019年5月2日撮影。

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2019年7月 2日 (火)

【くろがね線を読み解く】第289回 ■小倉地区の北重D507も新塗装化完了

 2017年頃から、Y製鐵所小倉地区の機関車の外観に変化が表れている。かつてはクリーム色に小豆色の住友金属物流塗装を纏っていたが、徐々に橙色、クリーム色、青色、黄色の4色から成るY製鐵所標準塗装に塗り替えられつつある。そして2018年、遂にその時が訪れた。メーカーから新製配置されて以来、頑なに住金物流塗装を守ってきたY製鐵所唯一無二の北陸重機工業製機関車D507が、八幡標準塗装に変更されたのである。

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■2018年内に新塗装に変更された、北陸重機工業製D507。   2019年元旦

先に八幡標準塗装に変更されたD301D302D503D506などと同様、橙色とクリーム色の塗り分けラインはキャブの運転台前面窓付近に設定されている。ただしバランスを意識したのか、色の境界線はこれまでの機関車のように前面窓中央ではなく、ボンネット上面とほぼ同じ高さに揃えてある。D301の記事にて「塗り分けラインの位置が高すぎるので、もう少し下げてボンネットの高さに揃えた方が見栄えが良い」旨のコメントしたわけだが、その声が届いたということは99%無い、単なる偶然であろう。気になる方は、上述の各機関車のナンバーにリンクを貼ってあるので、各機関車の色の境界線の高さを適宜参照いただきたい(左クリックで別ウィンドウが起動)。

D507のかつての姿は5年前の記事で紹介しているが、リンク先の通りクリーム色というより茶色・焦げ茶色と形容した方が良いほど汚れが酷かった。新塗装は汚れの目立つ色であるから、今後また茶色っぽくなってしまわないうちに、記録された方が良いかもしれない。

  • 記号番号 : D507
  • 自  重 : 45t
  • 車軸配置 : B-B
  • 全  長 : 11,650mm
  • 全  幅 :  2,700mm
  • 全  高 :  3,745mm
  • 機  関 : 新潟原動機製 450ps

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2019年7月 1日 (月)

【くろがね線を読み解く】第288回 ■小倉地区の機関車検修庫入場入換(D108)

 来年度をもって高炉の火が消えるY製鐵所小倉地区。弊ブログではそのニュースの報じられた2015年より、小倉地区のプライオリティを上げてウォッチしてきた。戸畑地区や八幡地区にはない、小倉地区の魅力は、小型機の存在である。2017年10月末日をもって同様に高炉の火が消えた神戸製鉄所がそうであったように、高炉廃止後に下工程が維持され鉄道輸送が全廃されなかったとしても、残る機関車は大抵の場合、4軸の自重35t~50tクラスの中型・大型機で、小型機が残ることはあまりない。なぜなら、一貫製鉄所における小型機は、高炉や転炉から排出されたスラグの冷却・破砕場所への場内移送や、鋳銑機で固められたインゴットの保管場所までの移送など、構内物流の中でもどちらかというと傍流の役割を担っており、高炉・転炉が無くなれば用途不要になることが多いからである。したがって、高炉の火が消える前に記録すべきは、小型機である。

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2019年2月に所用で福岡へ行った際、午前中時間があったので、筑豊本線でマヤ検撮影のあと、1時間だけ小倉に寄ってみることにした。

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この日は、外から見える場所に小型機のD108(左)とD107(右)が留置されていた。D108は日立、D107は日本輸送機の製造した機関車で、既に過去記事で紹介している。

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この日は平日であったが、13時を過ぎるとD108がおもむろに動き出し、

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奥にある車両整備工場の方へ向かっていった。進行方向に1両、控車のように無蓋車を連結している。整備工場前の屋外には、日立製の2軸ボギー機関車(2エンジン機で台形屋根、かつ八幡標準塗装化されているので、D306または307のいずれか)が留置されていた。

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運転士が降りてリモコンで小型機を動かし、留置機関車に連結する。

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そのまま整備工場へ押し込んでいった。

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奥まで押し込むと

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切り離して小型機+無蓋車のみ表に出てきた。無蓋車もくろがね線のテテに匹敵する古典貨車のように見える。このあとは、スイッチバックして以前と同じように岸壁を掠めて高炉の方へ向かっていった。こういった入換はいつ実施されるか全く予測できないが、高炉が無くなる前にもう一回くらいは別の機関車の入換も見てみたいものである。

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