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2019年8月 6日 (火)

◆ザールラントの貨物列車◆ドイツ、フランス、ルクセンブルク2019

 2019年のゴールデンウィークに訪ねたドイツ・ザールラントで見かけた貨物列車をいくつか紹介します。

Saar01br185_2185

まずはフェルクリンゲン駅を通過するBR185.2(185形200番台)の218号機。ボンバルディア社製の副電源対応の電気機関車で、ドイツの交流15kV 16 2/3Hzのほか、フランス東部やルクセンブルクで採用されている交流25kV 50Hzにも対応しています。機関車の後ろに連結されている貨車は、以前別の記事で紹介したものと似たスタイルのコイル輸送用の防水フード付き長物車と、その後方にはスラブ・ブルームなどを輸送するための長物車(サイドポール付)が連結されています。製鉄所の製品・半製品輸送用の貨物列車であることがすぐにわかりますね。

隣国フランスと国境を接するザールラントは、その帰属を巡りドイツ・フランス両国が永年に渡り覇権争いを繰り返してきた土地です。この地域にはかつて多くの炭鉱や製鉄所があり、石炭・鉄鋼資源の利権争いがたびたび火種となっていました。過去の二度の大戦の教訓から、石炭・鉄鋼資源を周辺国で共同管理するための組織「欧州石炭鉄鋼共同体」が1952年7月23日に設立され、1958年に欧州経済共同体へ、1967年にヨーロッパ共同体へと統合を深化させ、1993年11月1日に現在のEU(欧州連合)が発足しました。ヨーロッパにとっての鉄鋼業は、戦争の歴史の一部であり、欧州統合の要でもあるわけです。

Saar02br185_2185

夕方にエンズドルフ駅でディリンゲン方面に行くために旅客列車を待っていると、同じ機関車BR185 218-5が戻ってきました。後ろの貨車はすべて空車ですから、ディリンゲンへ戻る途中でしょうか。

Saar03br162_005

こちらは駅間移動中にみかけた石炭輸送の返空と思われる列車。牽引するのはスウェーデンのヘクターレイルという貨物輸送会社の機関車で、型式はHCTOR162、元ドイツ鉄道151形電気機関車です。番号が162.005ですから元BR151 133-6ですね。ヘクターレイル所属の中古機関車の面白いところは、1両ずつ愛称が付けられている点です。この5号機は、妻面記号番号の下に「Herzog(ヘルツォック=公爵)」と記されています。

Saar04bb437036

さあいよいよシンボリックな組み合わせが出てきました。ドイツ鉄道の電車とすれ違う、フランス国鉄の電気機関車です。フランス国鉄は貨物輸送部門所属の機関車を「FRET」として区別し、外観も緑・白・シルバーの塗装で貨物用であることが一目でわかります。FRETの機関車は、型式の10万の位に4を付与しています。

ここで参考までに、フランス国鉄の電気機関車の形式命名規則をまとめましょう。

冒頭に車軸配置 → D形ならBB、F形ならCC

数字4ケタないし1万の位が0 直流1.5kV専用
        1万の位が1 交流25kV 50Hz専用
        1万の位が2

2電源対応
(直流1.5kVと交流25kV 50Hzの交直両用)

        1万の位が3 3電源対応
        1万の位が4 4電源対応

上写真の機関車は437036と記されていますので、FRET所属のBB37000形36号機ということになります。

3電源の内訳は型式毎に異なりますが、代表的なものはBB36000とBB37000ですね。

  • BB36000 →直流1.5kV、3kV、交流25kV 50Hzの3電源対応
  • BB37000 →直流1.5kV、交流25kV 50Hz、交流15kV 16 2/3Hzの3電源対応

というわけで、交流15kV 16 2/3Hzで電化されているドイツやスイスの国境近くで見かけるのは自ずとBB37000ばかりになります。

Saar05br1852

不意に逆方向から来たので先頭は撮り損ねましたが、面白い貨車が見られました。ドイツ鉄道の車輌限界は幅3,100mm前後なので、それを超える幅の積荷は日本の常識からすると運べないのですが、そこはヨーロッパ、車輌限界に対して対角線上に傾ければ車輌限界を超える幅の積荷でも輸送できてしまいます。

Saar06br1852

このため傾斜機構を備えた貨車がヨーロッパにはたくさんあります。積荷は厚板ですね。自動車のボディにするには厚すぎるので、建材用か造船用でしょうか。

Saar07cfl4012

早朝で写りは悪いですが、隣国ルクセンブルク国鉄の機関車もやってきました。CFL4000の12号機です。ボンバルディア社製の2電源対応機関車で、冒頭で登場したドイツ鉄道185形とほぼ同一性能の姉妹機です。

Saar08cfl4012

貨車はMARSLOGISTICSのコンテナがメインでした。いや、でもよく見るとこれはコンテナでは無いゾ!?

Saar09cfl4012

そう、トレーラーを貨車にそのまま載せているんです。これもヨーロッパの貨物列車の醍醐味ですね。

今回のザールラント訪問の主目的は別のところにあったので、本線を走行する一般の貨物列車はあまり撮れませんでしたが、石灰石輸送用の2軸のホッパー車や、自動連結器しか装備していない鉄鉱石輸送用貨車を一般貨物列車に併結する際に使用する、最高速度120km/hの2軸の控車が現役であることも確認できました。今度じっくり撮ってみたいですね。

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